子どものやる気アップ!スポーツや勉強への意欲を高めるポイント
更新日: 2024.02.22
投稿日: 2023.02.10
子どもがスポーツや習いごと、勉強を頑張っていれば、前向きに、やる気いっぱいで取り組んでほしいと思いますね。
実は親の言葉かけや行動によって、子どものやる気をアップさせたり、逆にダウンさせてしまうことがあります。
今回は、スポーツや勉強のやる気をアップさせる家庭での関わり方を考えます。
もくじ
やる気がある子とない子の違いって?
自分から前向きにどんどん挑戦していく子と、言われてもやらない子、やる気が見えない子。
この違いはなんなのでしょうか。
まずは混同されがちな用語から整理していきましょう。
やる気とモチベーションの違い
「モチベーションが下がっている」「もっとモチベを上げよう」など、やる気や意欲と同じように「モチベーション」という言葉を使っている場面をよく見かけます。
しかし本来モチベーションは、motivate(動機づける、興味を起こさせるの意)が語源の言葉。
やる気の原動力がモチベーションなので、モチベーション自体は上がったり下がったりしません。
例えば、コーチの上手なプレーを見たり、友達が難しい問題を解いているのを見て、
「うまくなるために、もっと練習するぞ!」「もっと勉強を頑張ろう」→ やる気・意欲
原動力であるモチベーションが高いほど、やる気や意欲が継続するといわれています。
外発的動機付けと内発的動機付け
行動のきっかけになるモチベーションですが、これを高めるには「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2種類があります。
外発的動機づけは、外部からの刺激や働きかけによって生まれるモチベーションのこと。
例えば「ホームランを打ったらごほうびをあげる」といった報酬や、「成績が下がったらおこづかいを減らす」などのペナルティー、「周囲からほめられたい」など自分以外のものから受けるものを目標にする場合もこれにあたります。
それに対し、内発的動機づけは自分の興味や関心、達成感、好奇心など、自分の中から生まれてくるもの。
「うまくなりたい」という向上心や具体的な目標、「これをやってると時間を忘れてしまう」「とにかく楽しい」喜びや達成感も内発的動機づけのひとつです。
外発的動機づけに比べて、やる気が継続しやすく高い集中力が発揮できるといわれています。
短期的な目標には向かないといわれますが、スポーツや勉強のように「長く続けること」が大切な分野には、自分の中にやる気の種を持つ内発的動機付けが重要になるでしょう。
主体性と受動性
自分からやりたいことを見つけて動く「主体性」に対し、人からの指示を待つ、言われてから動く「受動性」。
親としては「主体性を持ってほしい」と思いますが、まずは子どもが自ら動ける環境を整え、子どものなかに主体性を育てるのが第一歩。
大人から信頼され、行動を任せられた子どもや失敗しても叱られない、話をよく聞いてもらった子どもは、主体的に動けることが多いようです。
また、「うちの子は周囲に流されてばかり」「人に言われないと動かない」など、受動的に見える子どもも、心の中に主体性を育てている最中かもしれません。
子どもが自発的に動くまで大人は見守り、過剰に干渉せずに待つことも大切です。
子どものやる気を奪う「親のやりがち行動」
子どものやる気を奮い立たせても、親が気づかずにそれを奪ってしまってはもったいないですね。
子どものためを思っていても、実は子どものやる気をダウンさせてしまう親の行動には、どんなものがあるのでしょうか。
子どもを待ってあげられない
「早くしなさい!」「宿題、やったの?」と、常に急かされている子どもは人からコントロールされることが日常になり、やる気や意欲は下がってしまいます。
自分のペースで物事を進められないストレスは、大人も子どもも同じです。
見ていると口を出したくなる場合は、物理的に子どもから目を離すことも時には必要。
子どもの行動に口出し・手出しし過ぎる
子どもが「包丁を使いたい」と言っても「危ないから、また今度ね」や子どもが忘れ物をしないように、親が持ち物をすべてチェックするなど親が危険や失敗を恐れる行動が、子どもの意欲を減退させています。
怪我も忘れ物も失敗を重ねるからこそ、「次からはこうしよう」と学べます。
やる気のある子どもになってほしければ、子どもが「やりたい」と言ったことを尊重し、子どもの仕事は子ども自身に任せましょう。
プロセスではなく結果を気にする
試合でゴールを決められなかった
勉強を頑張ったのによい点が取れなかった
子どもの行動について、親はつい結果を見てしまいます。
親が子どもの頑張り(プロセス)ではなく結果ばかりを気にしていると、子どもはよい結果が出せなかった時、「自分は価値がない」と思ってしまいます。
「(結果は出なかったけど)練習や勉強をがんばったね」「その努力が一番大切」と、大人がしっかり伝えてあげましょう。
親がいつまでも満足しない
「試合のメンバーに選ばれた!」と言えば、「試合で活躍しないとね」
「点数あがった」と言えば、「次は100点取ろうね」
「一緒に喜んでもらえる」「ほめてもらえる」と思ってよいニュースを報告しても、親が喜ぶどころか、次なる目標を提示してしまうと、子どもは「嬉しくないのかな」とがっかりしたり、「いつまで頑張ればいいんだろう」と無力感を感じてしまいます。
子どもは親を満足させるために存在しているわけではないので、子どもからのよい知らせには、子ども以上に喜びましょう。
子どもがやる気を発揮できない環境
例えば、子どもが自主練をしようとするときに、「弟や妹と一緒にやって」とつい面倒を見させてしまったり。
兄弟姉妹の習い事を優先して、本人のやりたいことを後回しにしてしまったり。
塾に行きたいと子どもが言い出しても、「ほんとに勉強するの?」とまず疑ってしまったり。
子どもにやる気があっても、環境が整っていないとその気持ちが持続できないこともあります。
また、親のマイナス思考や消極性がやる気を削いでしまうこともあるので、「きっと無理」「やっても無駄」など否定的な言葉かけは避けましょう。
ついやってしまう…やる気をダウンさせる行動の改善策とは?
頭ではわかっているのに…つい子どものやる気を奪ってしまう言葉や行動をしてしまう…。
毎日の忙しい生活では、なかなか「褒める」「怒らずに伝える」などの理想的な保護者ではいられませんよね。
そんな時、身近な人を参考にしたり、気持ちをリセットしてみると、歯車が噛み合うことがあります。
簡単にできる行動改善策を紹介します。
先生やコーチなどの指導者に相談してみる
親子や家族では関係が近すぎてつい感情的になってしまうことも、第三者なら冷静かつ客観的なアドバイスがもらえるかもしれません。
普段、子どもの様子を見ている先生やコーチなら、子どもの「やる気エンジン」のかけ方を理解しているはず。
もしかしたら「やる気」を感じられないのは保護者だけで、実は学校や習いごと先など見えないところでは「やる気」を見せているかもしれません。
そして「他人」「第三者」から見たわが子の様子を聞くことも大切なこと。
煮詰まったら、子どもの周囲の大人に相談や話をしてみるのもいいですね。
やる気がある子の保護者を真似てみる
「親にガミガミ言われなくても前向きに取り組む子」「自ら進んで積極的に頑張る子」を見て、「なぜうちの子はできないの…?」と不思議に思う保護者がいるかもしれません。
そんな時はその子のことはもちろん、保護者の様子もちょっぴり観察してみましょう。
・意外に放任
・成績をあまり気にしていない様子
・いつも楽しそう
など、真似できるポイントが見つかるかもしれません。
例えば、「しっかりしている子」の保護者に限って、うっかりミスや天然の人が多いことはありませんか。
もしかしたら子どもは保護者がサポートするよりも、ある程度任せられて、失敗の経験をしている方が自分で考える癖がつくのかもしれません。
家族の役割分担を変化させてみるのも、時には有効です。
周囲の保護者の様子を観察して、参考にできる部分を真似てみましょう。
一度きっぱり口出しをやめてみる
「やる気」の主導権は子どもにあります。
なのに「自分はなぜ子どもにやる気を出させようと考えているのだろう」と改めて考えてみるいい機会かもしれません。
もしかしたら保護者の気持ちが、子どもの気持ちより先走ってしまうと、子どもは「やる気」になれなくなってしまうのかも。
「今年の夏休みの宿題には一切関わらない」「1ヶ月間は勉強への口出しを我慢する」など、カテゴリーや期間を決めて子どもの行動に口出しするのをやめてみるのも方法です。
一度口出しをやめると、「なぜ自分はあんなに躍起になっていたんだろう…」と不思議なほどすっきりすることもあります。
そして子どもは「何も言ってもらえない」とわかると、自分でどうにかしようという気持ちに変化するでしょう。
「自分で考えて、自分で行動して、失敗も成功も自分の責任」という考え方は、これから育っていく子どもにとってもプラスになります。
子どもに口うるさく言ってしまうお母さんの話
スポーツや勉強に関して、親の方がつい真剣になりすぎてしまうこともあります。
先輩お母さんたちの「失敗談」を聞いてみましょう。
事例①子どものプレーや勉強に対してつい口を出してしまう
事例②やる気が見えないと、つい「やめさせる」などと言ってしまう
事例③やる気を引き出そうとして逆効果
子どものやる気を引き出すポイント5つ
子どものやる気を引き出すため、親としての関わり方にちょっぴり工夫してみましょう。
ポイントは5つ
◯ 「アドバイス」よりも「観察」を
◯ 子どもの気持ちや考えを引き出す質問をする
◯ 子どもを「先生」にする
◯ とことん話を聞く
◯ 子どもの体を「元気」にする
「アドバイス」よりも「観察」を
「次の試合は◯◯してみたら?」「先生の話はよく聞いてね」など、子どものやる気を引き出そうと、親はついアドバイスをしてしまいます。
しかし普段から子どもをよく観察しておけば、子どもの「やる気」のリズムが見え、元気がなくなるタイミングがわかることも。
そして観察する癖がつくと、無駄に叱ったり小言を言うことが減るので、子どもは「信頼されている」と感じ、自分から積極的にチャレンジできるようになります。
子どもの気持ちや考えを引き出す質問をする
「今日はどうだった?」「練習は楽しい?」といった漠然とした質問だと、「まあまあ」「楽しい」と通り一遍の返事をして会話は終わってしまいます。
・勉強やスポーツのどんな部分が楽しいのか
・今、一番興味があるのは何か
・どんなテクニックを身につけたいのか
・もともと知らなかったけど、教えてもらったことで学んだことはあるか
・どの選手の、どんな技術を真似したいか
など、子どもが自分自身を深掘りしなければ答えられないような質問をしてみましょう。
質問をされることで、子どもは「どうなんだろう?」「自分は何が好きなのかな」と考える癖がつきます。
子どもを「先生」にする
例えば子どもの練習や試合を見た後で、「あの時、どうしてA君はB君にパスしたのかな」「なぜあの得点は認められなかったの?」など、子どもを先生に見立てて、疑問や質問をどんどん投げかけてみましょう。
チームの仲間だからこそわかることやプレーヤー独自の考え方があり、それを言葉で説明することで第三者的な視点を養うことができたり、伝える力も身につきます。
また子どもが習っていることや勉強について、もう一歩踏み込んだ質問をしてみると、子ども自身が考える力が身につきます。
そして自分の考えを人に説明することで、伝える力や語彙力、コミュニケーション力を鍛えるチャンスにもなります。
また自分が好きなスポーツや関心ごとに、親も興味を持ってくれていることは嬉しく感じるはずです。
とことん話を聞く
子どもが話をしてくれるなら、とことん耳を傾けて子どもに寄り添いましょう。
この時、助言したり否定したりせず、「そうだよね」「よくわかるよ」「すごいね」と聞くことに専念することが大事。
話を聞いてもらうことは単なる報告とは違い、「相手を受け入れること」です。
自分を全面的に肯定してもらい受け止めてもらうと、やる気がムクムクと芽を出し、挑戦する気持ちが生まれます。
また話を聞いてもらうだけですっきりして、問題が解決することもあるでしょう。
子どもの体を「元気」にする
習い事ばかりで子どもが疲れていたり、スマホやゲームのやり過ぎで慢性的な睡眠不足だったり…。
子どもに元気がなければ、やる気は起こりません。
子どもに疲れている様子があれば、時には習い事やお出かけを控えて体を休ませることも必要です。
規則正しい生活と栄養のある食事で、子どもの体に元気を取り戻させましょう。
・「モチベーション」は行動を起こすきっかけを指し、「やる気」は前向きに取り組もうとする気持ちや意欲のこと。
・外部からの刺激でやる気になることを「外発的動機づけ」、自分の内面からの興味や好奇心でやる気が出てくることを「内発的動機づけ」といい、内発的動機づけの方がやる気が持続する。
・親が過剰に干渉したり、結果ばかりを気にすると子どもの意欲を萎えさせてしまう。
・子どものやる気を引き出すには、子どもの話に耳を傾け、子どもを信頼することが大事。
・子どもは安心できる環境でなら、自発的にやる気になる。
(参考文献)
スポスル | 【親必見】スポーツをする子供のやる気を引き出す方法とは!?
おやこのくふう | 【やる気スイッチはどこ?】勉強、スポーツ、習い事…おやがやる気にさせようと思うほど子どものやる気が下がるという残念な事実!
子供のためにできる108のこと | 【内発的動機づけ】スポーツをする子供のやる気を引き出す6つの法則
カイタク本屋 | モチベーションとやる気の違いとは?この2つを爆上げする方法
GOLD MENTAL | スポーツをしている子供のやる気スイッチを入れるには? 主体性を育むには親の関わりが必須!