誰もが通る悩みの種、親子で立ち向かう「小1の壁」
更新日: 2024.12.19
投稿日: 2024.12.20
「小1の壁」という言葉をご存知ですか?子どもが小学校に入学し、親が抱えるさまざまな悩みを示す言葉です。
学童保育の探し方、宿題のサポート、子どもの心の変化など、具体的にどのような悩みがあるのでしょうか。
それらを乗り越えるにはどうすればよいのでしょうか。
「小1の壁」との向き合い方のヒントについて紹介します。
もくじ
「小1の壁」とは
そもそも「小1の壁」とはなんでしょう。
「小1の壁」とは、子どもが小学校に入学するタイミングで、多くの家庭が直面する子育てと仕事の両立の難しさを表す言葉として知られています。
・学校の行事への参加や子どもの宿題のサポートなど、親の負担が増える。
など、「親目線の壁」、
・ 新しい環境で新しい活動をすることになじめない。
など「子ども目線の壁」
が存在するといわれています。
親子で感じるそれぞれの「小1の壁」
ここでは、親子で感じるそれぞれの「小1の壁」について、具体的にみていきましょう。
親目線の壁
仕事との両立、準備する学校の道具が多い、夏休みどうしよう…。「親目線の壁」には、どんなものがあるのでしょう。
学童保育の預かり時間が保育園に比べて短い
前述したように、保育園の延長保育では、夜遅くまで預かってもらえることが一般的ですが、学童保育は園に比べると利用時間が短いことが多いもの。
共働き家庭にとっては、子どもを迎えに行く時間との調整が大きな課題となります。
学校行事やPTA活動など保護者の出番が多い
小学校では、運動会や学芸会などの学校行事や学校公開などが年に複数回行われることが一般的。
これらに参加するためには仕事の調整が必要となり、特に共働き家庭では、どちらかが仕事を休まなければいけないケースもあります。
また、多くの小学校ではPTAが存在し、役員や委員を引き受けた場合はその活動のために時間をとられることもあり、負担が大きいと感じる保護者もいます。
夏休みなど長期の休暇がある
夏休みや冬休みなど長期の休暇中は、「子どもがどのように過ごすか」という問題に直面します。
学童保育は開いている期間や時間が限られていること、昼食を持参する必要があることが多いことなどから、仕事との両立が難しくなることがあります。
また、長期間の休み中、子どもが飽きずに楽しく過ごせるよう家庭でもイベントや遊びを計画する必要があり、金銭的な面からも負担に感じる保護者が存在します。
時短勤務がしにくくなる
保育園に通っている間は、時短勤務制度を利用している保護者も少なくありません。
しかし小学校に入学すると、時短勤務制度が利用できなくなる企業もあるため、フルタイムで働くことが求められるケースがあります。
特に共働き家庭では、どちらかの親が仕事を調整せざるを得ない状況になり、キャリアへの影響を心配する声も聞かれます。
宿題や翌日の準備など日常のフォローが必要になる
小学校では、毎日宿題が出たり、翌日の準備が必要になったりと、子どもだけで完結できないことが増えます。
そのため、保護者は子どもの学習をサポートしたり、持ち物の準備を手伝ったりするなど、日常的なフォローが必要になります。
中・高学年になると子ども自身でできることも増えていきますが、特に小1のうちは、親のサポートなしには学習を進めることが難しい場合も多く、親の負担は大きいと言えます。
子ども目線の壁
生活リズムの変化、新しい環境、新しい人間関係・・・。
ここでは、子ども目線からみた「小1の壁」について紹介します。
生活リズムが変わる
園の頃とは違い、小学校では早起きをして学校へ行く支度をし、登校するという規則正しい生活を送ることが求められます。
これまでとは違う時間に寝たり起きたり、食事をしたりするため、最初は戸惑う子どもも少なくないようです。
新しい環境で新しい活動をする必要がある
園では遊びが中心でしたが、小学校では宿題が出たり、自分で学校へ通ったりと、今まで経験したことのない活動が増えます。
特に、保護者の送り迎え生活から1人で登下校する生活は、子どもにとっては大きなチャレンジ。
新しくしなければならないさまざまな活動が、子どもの負担になる可能性があります。
新しい人間関係を築かなければならない
卒園し、小学校ではたくさんのクラスメイトと関わり、新しい友達との出会いがあります。
「新しい環境でみんなと仲良くできるかな」という不安を抱く子どももいるでしょう。
また、集団生活の中で、自分の意見を言ったり、周りの意見に耳を傾けたりするなどコミュニケーションの面でストレスを感じてしまう可能性もあります。
小1の壁を親子で乗り越える!
「小1の壁」という言葉が広く知られている今、保護者は漠然と、「小学校入学で大変なことが多いらしい」と考えてしまいがち。
しかし、どんな壁なのかは、家庭によりさまざまです。
「わが家にとって、壁となるのは何か」について、少しでも明確にすることが大切です。
ここでは、親子でどのように「小1の壁」と向き合ったらいいのかについて解説します。
パートナーや子どもと相談してみる
小学校入学は、家族にとって大きな転換期です。
まずは、子どもが学校生活について何を心配しているのか、どんなことを楽しみにしているのかをていねいに聞きましょう。パートナーとも、これを機会に現在の仕事状況や子育てに対する考えなどを話し合い、お互いに協力し合えるといいですね。
働き方や業務量の調整を検討・相談する
仕事と育児の両立が難しそうと判断した場合は、勤め先に働き方の工夫ができないか相談してみましょう。
時短勤務を利用することで、子どもの学習サポートなどに時間を割くことができ、仕事と育児を両立している人もいます。会社の制度によっては時短勤務やフレックスタイム制度、テレワークなど事前に会社の制度を確認することが大切です。
地域にある学童や習い事、児童館を確認する
放課後、子どもが安全な環境で過ごせるよう、地域の学童保育、習い事、児童館などの利用を検討してみましょう。
学童保育では、集団生活を通して社会性を育みながら、さまざまな活動に参加することができます。
ちなみに、学童保育には、主に以下の3種類があります。
・放課後子ども教室
文部科学省の管轄で、共働き世帯だけでなくすべての子どもが利用可能。
学校の空き教室や公民館などで活動を行っている。
土曜や休日は閉所している施設が多い。
・放課後児童クラブ
厚生労働省管轄で、年間250日以上子どもを預けられる。
仕事や一時的な病気など、利用には一定の条件がある。
利用料金が安い施設が多い。
・民間学童保育
民間の企業・団体などが設立・運営。
公営の学童保育にはない行き届いたサービスが期待できるが、利用料金が高い場合が多い。
学童のほか、習い事の教室、児童館の場所や活動内容を確認し、子どもの興味や生活サイクルに合わせて放課後の過ごし方を検討しましょう。
ママ友やパパ友、祖父母にサポートしてもらう
子育て中のお父さんお母さんの中には、仕事が急に忙しくなって子どもを預かってほしい時や、用事で家を空けたい時など、困ってしまう場面があるかもしれません。
そんな時、近所のお友達同士で協力し合い、お互いを助け合うのはとても良い方法です。
「少しの間、子どもを預かってくれないかな?」と頼んだり、逆に頼まれたりすることは、誰にでも起こりうることです。
お互い様という気持ちで、困っている人がいれば積極的に助け合い、自分が助けられたら、今度は別の誰かを助ける。
そんな関係を築くことで、子育ての負担を軽減することができます。
また、祖父母が近所に住んでいれば、事情を説明し、何かあったときの相談先として確保しておくのも一案です。
国や自治体のサポートを利用する
自治体が実施している子育て支援サービスの利用を検討してみましょう。
たとえば「ファミリー・サポート・センター」では、子どもの保育施設や学童クラブ、習いごとへの送迎などを行っています。冠婚葬祭や学校行事のときの子どもの預かりや、外出時、短時間就労時の預かりサービスなども行っています。
ただ、地域によって利用可能なサービスは異なります。
自分の住んでいる地域でどのような子育て支援サービスが利用可能なのかあらかじめ確認し、活用できるか検討してみてください。
子どもとの時間を作る
子どもとの時間を増やすことは、「小1の壁」を乗り越える上でとても大切です。
仕事や家事などやるべきことがたくさんあって、なかなか時間を作れないとは思いますが、「毎日、寝る前の15分間は必ず一緒に過ごす」など、日々のルーティンとすることでリズムができ、親子の関係が深まるでしょう。
事前に準備しておく
・ 校庭解放している日に一緒に学校に行き、親子で遊ぶ。
・ ランドセルの置き場所を決めたりなど、部屋の模様替えをする。
など、小学校での新しい生活がイメージできるよう親子で楽しく準備をすることで、子どもも安心します。
一人で抱え込まないことが大切
「小1の壁」で生じているさまざまな不安や悩みは、一人で抱え込まず、誰かと共有しておくことが大切です。
前述したように、たとえば、夫婦で話し合うことで、協力者を見つけることができます。
また、保護者同士で相談したり自分の親に相談したりしてもいいでしょう。
小学校生活の6年間は、意外と長いもの。
これから先、4年生くらいになると、子ども自身の成長段階による自我の目覚めや学童保育のサポートがなくなることで生じる放課後の子どもの居場所の問題などが原因で、保護者や子どもにストレスのかかる「9歳の壁」もやってくるかもしれません。
小さなことから大きなことまで、子どもの成長にはさまざまな課題がつきものです。
長い道のりだからこそ、焦らず、子どもの成長を温かく見守り、親としても成長していきたいものです。
・「小1の壁」は、親目線の壁、子ども目線の壁、2種類存在する。
・小学校入学を「家族の転換期」ととらえ、作戦会議を。
・周りの人の助けを借りながら、親としても成長しよう。
参考文献)
「親も子どもも直面する小1の壁はなぜ起きるのか?原因と乗り越えるための8つの方法をご紹介」(出典:comottoコラム)
「小1の壁とは? 体験談と専門家アドバイスから考える対策と乗り越え方」
(出典:ベネッセ教育情報)
「【小1の壁】子どもにとっての壁はどんなこと?入学後の3ヶ月間をまず乗り切るために準備しておきたいこと」(出典:おやこのへや)
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フリーライター・エディターとして、育児、教育、暮らし、PTAの分野で取材、執筆活動を行っています。息子が所属していたスポーツ少年団(サッカー)では保護者代表をつとめ、子ども時代に親子でスポーツに関わることの大切さを実感しました。PTA活動にも数多く携わり、その経験をもとに『PTA広報誌づくりがウソのように楽しくラクになる本 』(厚有出版)などの著作もあります。「All About」子育て・PTA情報ガイド。2 児の母。