非認知能力

子どもがスポーツで培った力は、将来どこで役に立つ?

更新日: 2026.04.10
投稿日: 2026.04.07

子どもがスポーツで培った力は、将来どこで役に立つ?

スポーツで身につくのは、体力や運動能力だけではありません。

スポーツで経験する「他者との付き合い方」や「壁の乗り越え方」「時間配分のしかた」などが、小中高校〜社会人と成長するうえでも、非常に役に立ちます。

今回は、スポーツで培った力が具体的に将来、どんな場面で役立つのか考えてみました。

子どもがスポーツから得るのは「体力」だけじゃない!


スポーツに取り組むと、体力や運動能力、心肺機能、持久力、瞬発力などのフィジカルの力が身につきます。

実際、スポーツを始めて「子どもが風邪をひかなくなった」「夜、よく寝るようになった」という声が多く聞かれます。

しかし実際、子どもがスポーツで身につけるのは、目に見える力だけではありません。

実はスポーツに取り組むことで、生きていく底力になる、人との関わり方のヒントや人間力の種になるような能力を身につけています。

そしてこの力こそが、将来、部活動や受験、社会人になった後の人間関係や目標達成に大きく影響します。

具体的に、「チームスポーツ」「個人スポーツ」「スポーツ全般」の3つの観点で、子どものなかに育つ力について考えてみましょう。

チームスポーツで身につく力と将来どう役立つか


仲間と励まし合い、協力し合って試合をつくりあげる「チームスポーツ」。

まさにスポーツの醍醐味がギュッと詰まっているといえるでしょう。

チームスポーツで身につく力と、それが将来どう役立つかについて紹介します。

◯ 役割を全うする力
 
◯ 仲間を信頼する力
 
◯ 問題解決能力
 
◯ 対話力とコミュニケーション力
 
◯ 人間性
 

役割を全うする力

チームスポーツでは「得点を入れる」「それをサポートする」「鉄壁に守る」など、役割がそれぞれあります。

「あいつ、目立っていいなぁ」などと考えていたら、競技になりません。

チームスポーツに取り組むことで、自分が主役でなくてもチームのために動く習慣が身につきます。

これは社会に出た際、自分の役割を最後まで全うできる信頼できる人物になるために大切な力になります。

そして「どんな役割にも大切な意味がある」と知ることで、自己肯定感や自信を身につけるでしょう。

仲間を信頼する力

チームスポーツは、自分ですべてやりたくてもできないので、仲間を信頼して任せることを半ば強制的に学びます。

そうして「一人で抱え込まないこと」「人に任せる勇気」「支え、支えられること」を体で覚えていきます。

中学・高校の部活、そして社会人になった時、周囲を信頼して程よく任せられる人は、結果的に大きな成果を出すことがあります。

また一人で抱え込まない習慣、誰かに相談する習慣があると、視野を広げることができ、メンタルヘルス上でもよい影響があります。

問題解決能力

チームを組んで練習や試合をしていると、予想外の事態が起こったり、問題が勃発することもあります。

そんな状況に直面するたびに、子どもたちは「どうしたらいいか」を自分で考え、解決しようとするでしょう。

そこで養われた「問題解決能力」は、中学・高校の学習や学校生活、社会生活を送るうえでも力を発揮します。

トラブルが起こっても冷静に状況判断し、原因を突き止め、解決するために行動することができるようになります。

「逃げない人」「逆境に強い人」「辛抱づよく問題に取り組む人」になって、どんな状況でも自分なりの答えを見つけられるようになるでしょう。

対話力とコミュニケーション力

チームメイトと連携しながら試合を進めるチームスポーツでは、「対話力」と「コミュニケーション力」が自然と育まれます。

そしてこの「自分の気持ちを伝えること」「相手の話を聞くこと」「相手の意図を汲み取ること」こそが、その後の子どもたちの人間関係の基盤になります。

特に社会に出た後は、この対話力・コミュ二ケーション力が誤解や行き違いを事前に防ぎ、円滑な仕事の進行に大いに役立つでしょう。

この「対話力」と「コミュニケーション力」を身につけることの難しさが課題となっている現代社会において、チームスポーツを経験することで得られるものは大きいのです。

人間性

親や祖父母、仲のよい友だちだけで心地よい付き合いをしているだけではなかなか養えない「人間性」が、チームスポーツではしっかり育ちます。

チームにはさまざまな個性ある人たちが在籍しているため、考え方やスポーツへの取り組み方、仲間への態度など、自分とはまったく違う人たちと交わります。

日常生活では価値観の違う人とは距離を置けば済みますが、同じチームでプレーしていれば関わらずには済みません。

その葛藤を乗り越えて同じ競技をプレーすることで、子どもの内面はより強く、たくましく成長します。

「約束や時間を守る」「簡単にあきらめない」「人を信じる」「周囲を気遣う」といった、簡単なようで身につけるのに時間も労力もかかる「人間性」は、その後の学校生活はもちろん、社会に出てからも、わが子を信頼される人に押し上げてくれます。

個人スポーツで身につけられる力と将来どう役立つか


水泳、陸上、テニス、ゴルフなど、個人スポーツに取り組むことで、子どもは自分と向き合いながら、自立心旺盛に育っていきます。

子どもが個人スポーツで育む力と、それが将来どう作用するかを考えてみましょう。

◯ 自己管理能力
 
◯ 自己分析力
 
◯ プレッシャーを跳ね返す力
 
◯ やり切る力
 
◯ やる気の維持
 

自己管理能力

個人スポーツでは、練習方法や体調管理、そのスポーツにどう取り組んでいるかが結果にダイレクトに表れます。

チームメイトに注意されることもなく、お互い励まし合うこともできないなか、自分自身を律してモチベーションをキープしなければいけません。

つまり個人スポーツでは「自己管理能力」がしっかり身につくということ。

中学・高校と進学しても、コツコツ進める普段の学習から試験前勉強、友人との関わりで大いに役立ちます。

そして社会に出ると「期限の厳守」「体調管理」「感情のコントロール」といったあらゆる場面で、この自己管理能力が底力になって支えてくれます。

自己分析力

個人スポーツでは自身の結果と日々向き合うことになります。

「なかなか結果が出ない」「思うように記録が伸びない」「いつもの力を試合で発揮できない」などの悩みにも、自分で考えて解決していかなければいけません。

そこで養われるのが「自己分析力」。

自分の強みや弱み、得手不得手を分析して客観的にとらえ、次に活かす「発想の転換」も必要になります。

この自己分析力は、中学・高校に進んだあと、学習面の苦手克服や進路選択の場面で、他者と差がつくところです。

また社会生活においても、この自己分析力があることで「自分の適性はなにか」「どうキャリア構築していくか」といった客観的な視点で自分を理解できます。

また関わるプロジェクトにおいてもチーム全体を客観視でき、冷静な判断で仕事を進めることができるでしょう。

この自己分析力が身につくことで、未来の選択肢も広がっていくのです。

プレッシャーを跳ね返す力

個人スポーツでは、練習や試合、その結果を一人で引き受けなければいけません。

本番で、「緊張していつも通りにできなかった」「プレッシャーで失敗してしまった」といった経験を積み重ねることで、気持ちの切り替えや落ち着くためのルーティン、試合前の過ごし方などを工夫するようになるでしょう。

そうして培われた「プレッシャーを跳ね返す力」は、中学・高校に進学したあとも、スポーツ・学習面で発揮されます。

人前で発表しなければならない時、受験や資格試験などの際も、プレッシャーをうまく力に替える技術がモノを言います。

仕事でもプレッシャーとは切り離せません。

大きな仕事を任された時、重要な判断を求められた時など、「プレッシャーを跳ね返す力」は子どもの緊張や不安をやわらげてくれるでしょう。

やり切る力

自分自身と戦い、同時に励ましながら、成長しなければならない個人スポーツ。

うまくいかない時期も腐らず、投げ出さず、地道に最後まで取り組むことで「やり切る力」が育ちます。

「やり切る力」は、山あり・谷ありの人生を通じてもっとも大切な力のひとつ。

「すぐに結果が出ない時」「うまくいかない時」も投げ出さず、最後までやり抜く経験を重ねていくことで、子どもは自信をつけていきます。

この長い時間をかけて重なった自信は、多少のことでは揺るぎません。

やる気の維持

チームスポーツのように「仲間と励まし合う」「お互いに声がけする」という場面が少ない個人スポーツでは、練習を続ける原動力も自分のなかに見つけなければいけません。

やる気が出ない日も、調子があがらない時も、自分をリセットして行動する。

これを繰り返すことで、「やる気を維持する力」が身につきます。

中学・高校と進学し、社会人として仕事を始めても、「やる気」や「モチベーション」をキープできる人は、波がなく安定した結果を出すことができ信頼されます。

「ごほうび」や「褒められること」など外からの働きかけでやる気を出すのではなく、自分自身のなかにやる気のエンジンを持つ人は自家発電のような継続力で成長を続けるでしょう。

スポーツ全般で身につく力と将来どう役立つか


チームスポーツ・個人スポーツで、それぞれ身につく力を解説しましたが、これ以外にも、スポーツに取り組むことで育まれる力があります。

人目をひく派手な能力ではないかもしれませんが、子どもの将来を下支えする大切な能力です。

待つ力

意外かもしれませんが、スポーツをしていると「待つ時間」が多いことに気づくと思います。

それは「いつ出番が来るかわからない状態で準備する」「チャンスが来た時のために万全に整える」ための時間。

自分がスタメンに選ばれなかったからといって不貞腐れたり、試合に出られないからと後ろ向きな態度でいたら、チャンスが活かせません。

もしもの時のために「待つ力」「準備しておく力」を身につけておくと、その後の人生でも虎視眈々とチャンスを活かす機会を狙えます。

注意を受ける力

スポーツでは指導者から「注意」や「指導」が多くなります。

目を逸らしたい部分こそ注意されるため、「わかってるよ」「うるさいなぁ」と感じることもあるでしょう。

しかしそんなアドバイスや注意も、スポーツをするうえでは「自分の苦手を克服するためだ」「改善すればメンバーになれるかも」という前向きな気持ちで受け止めることができるようになります。

「注意されること」は、否定されたわけでも、拒絶されたわけでもありません。

指導者や目上の人のアドバイスは「自分のプラスになる」と理解できると、「注意されること」「指導されること」に抵抗がなくなり、人の話を素直に聞けるようになります。

負ける力

スポーツで永遠に勝ち続ける人はいないので、競技を続けていれば必ず「負け」を経験します。

テレビゲームでも気軽な遊びでもなく、真剣に取り組んだスポーツで負けを経験すると、心の底から悔しくて感情のコントロールが難しくなる場面もあるでしょう。

しかしそれを乗り越えて、「言い訳をしない」「なぜ負けたかを探る」「次に何ができるかを考える」を繰り返すことで、「負ける力」が身につきます。

「負けるのは力ではなく、ただの結果でしょ?」と思いますか?

・結果を審判や仲間のせいにせず、正面から敗退を認めること。
・悔しさ・恥ずかしさを受け止めること。
・なぜ負けたかを考えて、行動にうつすこと。

これらは大人になったあと、「失敗した時」「挑戦に尻込みしてしまう時」に応用できる力。

実は負けた時こそ、心の体力を身につけられるチャンスなのです。

運動習慣

順天堂大学スポーツ健康科学部の鈴木宏哉先生によると、体力や運動習慣の調査では中高生は幼少期の運動経験が土台になり、成人は若い頃の運動経験が土台になっていることがわかっています。

つまり幼少期〜小学校で運動の経験がないと、その後、中学〜高校〜大学〜社会人と成長をして「運動をしましょう」と呼びかけられても、「なかなか運動を始められない」「スポーツを継続しにくい」ということです。

適度な運動は、生涯を通じて健康な体・健全なメンタルを維持するために大切な習慣です。

幼少期〜若い頃の運動経験は、生涯の運動習慣を手にいれるための、大切な布石になるでしょう。

スポーツは体と心を同時に育てられる


子どもの時からのスポーツ経験は、体力をつけ、健全なスポーツマインドを身につけるよい機会です。

チームスポーツでは仲間と信頼関係を築き、役割をしっかり果たすことで、人と関わる力が磨かれます。

また個人スポーツでは自分と向き合い、律することで、自分自身を鍛えることができるでしょう。

「子どもの頃からスポーツをすると運動習慣が身につく」「一度鍛えた筋肉はトレーニングで復活しやすい」など、スポーツをするメリットは一生涯続きます。

このように「心」と「体」を同時に育てられ、その後の人生にもよい影響のあるスポーツ。

堅苦しく考えず、まずは親子で体を動かすことから始めてみませんか。

まとめ

・スポーツは体だけでなく、見えない力や非認知能力を鍛えられる。
・チームスポーツでは「人との関わり方」や「問題解決力」を、個人スポーツでは「自己管理能力」や「やる気の維持」などを身につけることができる。
・スポーツで身につく能力は中学・高校と進学したあとの部活や学習、社会に出たあとの仕事で役立つ場面がたくさんある。
・スポーツを経験させることで、心と体を同時に育てて成長させることができる。

(参考元)
・A Healthier Michigan | Benefits of Playing Youth Sports
・ACPガイドブック | 子どもの身体活動の意義
・郡上市総合スポーツセンター | チームスポーツのメリットとデメリット
・順天堂ヘルスジャーナル | 幼児期の”運動遊び”の経験が、未来へつづく元気な体を育む!

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