「うちの子、本番でガチガチ…」を卒業!自信を育む親の魔法の言葉
更新日: 2025.07.04
投稿日: 2025.07.22

運動会や発表会、試合、テストなど、成長するにつれ、園や学校、習い事など「本番」の機会が増えていきます。
親としては、我が子は「本番に強い子」であってほしいと思うものですが、ひっこみ思案タイプなど、その子の気質や性格によっては、本番で力を発揮できないこともあります。
本番に強い子に育てるには、自己肯定感を高めることや、自分の感情とうまく向き合う自己管理力を育むことに関係があるといわれています。
本番に強い子に育てるための親の関わり方について、紹介します。
もくじ
「本番に強い子」ってどんな子?
試合の前や学校のテストの前など「本番」の前、どんな気持ちになりますか?
子どもも大人も、「失敗したらどうしよう」「良い点とれるかな」など、「緊張する」という人が多いのではないでしょうか?
緊張というのは、慣れない物事に直面して心がはりつめ、体が固くなることです。
「心理的な緊張」と「身体的な緊張」の2種類がありますが、どちらも無意識のうちにわきあがってくるものです。
身体的な緊張は、深呼吸やストレッチなどである程度改善することができますが、「心がはりつめる」といった感情は、自分の力で100%打ち消すことや、別の感情に切り変えることは難しいものです。
しかし、「緊張する」=悪いこと、というわけではありません。
スポーツの世界でもそうですが、オリンピックなどの大舞台で、前代未聞の高記録が生まれるシーンを目にしたことがある人も多いと思います。
心理学者のロバート・ヤーキーズとJ.D.ドットソン氏がネズミを用いて行った研究によると、ストレスなど適度な緊張が脳に存在するほうがパフォーマンスは上がり、刺激がないとパフォーマンスは下がるという結果が出ています。
「本番に強い」というのは「緊張しない」ということではなく、「緊張している状況で実力が発揮できるかどうか」の違いなのです。
「本番に強い子」というのはつまり、「緊張していても実力が発揮できる子」といえます。
子どもに「自分の感情」をしっかり自覚させることが大切
本番を控えて緊張しているわが子に対し、
「リラックスね!」
「焦らないで!」
「平常心で!」
などと励ましていませんか?
「子どもの緊張を少しでもやわらげてあげたい」という純粋な親心からこのような言葉が出ると思いますが、実は、このような言葉は、子どもにとっては逆効果となります。
なぜなら、これらの言葉は、「感情を押し殺しなさい」と言っているのと同じだからです。
大切なことは、感情を押し殺すのではなく、正直に受け入れることです。
「自分は今、緊張しているな」など、子ども自身が自分の感情に気づき、向き合う力が、本番で実力を発揮するための大事な最初のステップなのです。
親はまず、わが子のありのままの姿をありのままに受け止めましょう。
子どもが「本番に強くなる」ためにできること
「本番に強い子」に育てるための親の関わり方で大切なことは、子どもが自分自身を認め、「緊張しているけど、大丈夫」と思えるような対話を心がけながらサポートすることです。
以下、3つのポイントを紹介します。
「緊張していてもできた!」という経験を積み、緊張に慣れる
園や学校生活、習いごとなど、子どもが緊張と向き合う場面はたくさんあるでしょう。
さまざまな体験を親子で振り返りながら、
・ 運動会のかけっこの前、緊張したけど最後まで走れた。
・ サッカーの試合、緊張したけどパスをうまく回せた。
など、それぞれの体験の“結果”はさておき、「緊張していてもできたこと」のほうに意識を向けて対話を重ねながら「成功体験」として認識させ、自己肯定感を少しずつ育んでいきましょう。
「今の自分が確実にできること」をOKラインに設定し、小さなチャレンジを積み重ねる
実力を発揮したい場面だけでなく、日常生活の中でさまざまな「緊張の場面」を考え、それぞれの場面でどのように行動できればOKか、目標設定しながら生活する習慣を取り入れましょう。
たとえば、子どもが「日直で朝の挨拶のとき、緊張してひと言も話せなかった」と言ってきたとします。
親はそこで、「朝の挨拶くらいで緊張するなんて、臆病な子ね!」などと否定して終わり、とするのでなく、「みんなの前で挨拶するって、緊張するよね。今度日直になったとき、どういう風に挨拶したい?」などと言葉をかけてみましょう。
そこで、
・ 日直の前の日に、何を言うか考えて、家で練習する。
など、「OKライン」を決めます。
OKラインの基準は、あくまでも子ども自身にあります。
子どもとたくさん対話しながら「今の自分が確実にできること」を子どもにじっくり考えさせ、決めましょう。
OKラインをクリアすることで子どもは“できた感”を味わい、自分に自信がついていきます。
そのたびに「できたね!」と子どもを認め、少しずつOKラインのレベルをあげていきましょう。
それらを一つひとつクリアしていくことで、「緊張していてもできること」の幅が広がります。
その結果、「緊張した状態で自分がどう行動すればよいか」に意識を向けることができ、「緊張しているけど大丈夫」と思えるようになり、本来の実力が発揮できるようになるものです。
子どもとの対話をじっくり楽しみながら、少しずつ、「本番に強い子」に育てていきましょう。
子どもが本番当日のイメージを持てるようにする
人は、未知の状況や予測できない事態に直面すると、不安や緊張を感じやすくなるもの。
特に子どもにとっては、初めての試合などは計り知れないプレッシャーとなることがあります。
本番の状況をできるだけ具体的に言葉や行動で伝え、以下のように一緒にシミュレーションしてみましょう。
・場所のイメージ: 「〇〇の会場の、あの部屋でやるんだよ」「グランドのどのあたりで待機するのかな?」など具体的な場所の情報を伝えます。
・時間の流れのイメージ: 「朝〇時に起きて、〇時に家を出て、〇時に会場に着くよ」「集合してから〇分後に本番が始まるから、その前にトイレに行っておこうね」など、当日のタイムスケジュールを確認します。
・周囲の状況のイメージ: 「たくさんの人が見に来てくれるけど、みんな応援してくれてるんだよ」「友達も一緒に頑張るから心強いね」など、観客や周りの人々の存在についても触れておくと、当日の驚きが減り、安心感につながります。
このように、様々な角度から具体的なイメージを共有することで、子どもは「本番」という漠然としたものに対し、「こうなるんだな」という具体的な見通しを持つことができます。
親自身の言葉かけや心構えも重要
子どもが本番で力を発揮できるかどうかは、練習の成果だけでなく、親の関わり方も大きく影響します。
時に親の無意識の言葉が、子どもに過度なプレッシャーを与えてしまうことも。
ここでは、子どもを応援しながらも、不必要な重荷を与えないための親の心構えと、言葉かけのヒントをご紹介します。
子どもに完璧を求めすぎない
前述した「落ち着いて」などの励まし言葉に加え、
・「ここで決めないと、今までの努力がムダになるよ!」
・「みんなが期待してるんだから、しっかりやってね!」
などの言葉は、かえって子どもの緊張を高めてしまう可能性があります。
親の期待に応えようとするあまり、本来の力が発揮できなくなってしまうことも少なくありません。
では、子どもが安心して本番に臨めるよう、親はどのように接すれば良いのでしょうか。
親自身の心構えとして大切なのは、「完璧」を求めすぎないことです。
本番は、練習の成果を発揮する場ではありますが、結果が全てではありません。
たとえ失敗したとしても、その経験から何を学び、次にどう活かすかが重要であると捉えることが大切です。
プレッシャーを和らげ、力を引き出す言葉
子どもが本番前に緊張している時や、普段から声かけをする際に意識したい具体的な言葉の例をいくつか紹介します。
「練習したことが出せればそれでOKだよ。結果はどうでもいいから、楽しんできてね!」
結果よりも、プロセスや経験そのものを楽しむことに焦点を当てる言葉です。
「ここまでよく頑張ってきたね。その努力が一番素晴らしいことだよ」
結果ではなく、そこに至るまでの努力や過程を認め、労う言葉です。
子どもの自己肯定感を高めます。
「〇〇が、今の自分にできる精一杯のことをやれば、それで十分だよ」
子どもの今の実力を認め、それ以上の無理を強いない姿勢を示します。
「パパ(ママ)は、〇〇がどんな結果を出しても、ずっと応援しているからね」
無条件の愛情とサポートを伝え、子どもに安心感を与えます。
「緊張するのは当たり前だよ。パパ(ママ)も、大事なことの前はいつも緊張するよ。でも、それが頑張っている証拠だね」
緊張する気持ちに寄り添い、共感を示すことで、子どもは「自分だけじゃない」と感じ、孤独感や不安が和らぎます。
本番は、子どもにとって成長の貴重な機会です。
親が焦りや不安を子どもに転嫁することなく、温かく見守り、適切な言葉でサポートすることで、子どもはプレッシャーを乗り越え、自身の力を存分に発揮できるようになるでしょう。
・「本番に強い子」とは、「緊張の中でも自分を発揮できる子」
・緊張している子どもに「落ち着いて!」「焦らないで!」という言葉はNG
・「緊張している」という感情を素直に受け止めさせる関わりを
・「緊張してもできた!」という経験を積み重ねることが大切
本番に強い子=緊張をしない子ではなく・・・緊張しながらも自分の力を出すことができる子ということが分かりました。
緊張は特に子どものころはみんなが経験するものです。
その緊張感の中で実力を発揮することが大切であり、その力を身に付けるためには、子ども自身が今どんな感情なのかを自覚すること、もしくは親が聞いてあげて自覚させてあげることが大切です。
そして、緊張に強くなる2ステップ①できたということの自信を持たせる②少しチャレンジすればできるOKラインを作る、この2ステップを実行できるように親はサポートしてあげましょう!
(参考文献)
・本番に強い子の育て方(森川陽太郎著・ディスカヴァー・トゥエンティワン)
・サカイク|緊張しても失敗しない!子どもの自信を育てるメンタル・トレーニング
・Wikipeda|ヤーキーズ・ドットソンの法則