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非認知能力

「小1プロブレム」を乗り超えるのに必要な「コミュニケーション能力」の育み方

更新日: 2025.03.06
投稿日: 2025.03.07

園から小学校へ移り変わる中で、子どもたちが小学校での授業や生活に馴染めず、問題行動を継続的に起こしてしまう「小1プロブレム」。
問題行動には、先生の話や指示を聞くことができない、集団行動をとれない、授業中席についていられないなどさまざま々なケースがあり、学級崩壊が起こることも少なくないと言われています。

表面には出ていなくても、すべての子どもが小さな「小1プロブレム」を抱えています。「うちの子は毎日元気に通っているから大丈夫」と考えていても、突然大きな問題行動を起こしてしまうこともありますので、注意が必要です。
小1プロブレムの大きな原因のひとつとして、「環境の大きな変化に馴染めない」ということが挙げられます。

しかし、幼児期からコミュニケーション能力を育んでおくことで、「小1プロブレム」はある程度解消できるといわれています。

この記事では、「小1プロブレム」との関係が深く、非認知能力のひとつとして知られるコミュニケーション能力の重要性や、その育み方について、紹介します。

「小1プロブレム」はなぜ起こる?その背景とは

「小1プロブレム」が指摘され始めたのは、2005年頃です。

園から小学校という環境の変化にうまく馴染めず「授業中に勝手に動き回る」「友達とトラブルを起こす」などの子どもの行動が、社会問題となりました。

その背景については、長年「園や家庭のしつけが不十分であるから」という見方が示されていましたが、専門家による調査の結果、「小1プロブレム」は、しつけだけではなく、

・これまでの「遊び」中心の生活から、座学や一斉授業中心の学校教育への戸惑い。
・授業の間、(45分)ずっと座っていなければならない。

など、 “過ごし方の大きな変化”も挙げられるようになりました。

加えて、

・学童期はよく遊ぶことが大切な反面、学歴を重視する社会の圧力を子どもが敏感に感じとり、学習に対してストレスやプレッシャーを感じてしまう。
・子どもたちがスマホやタブレットといったデジタルメディアにふれる機会が増えたことにより、ゲームに熱中して学習に集中できないなどの弊害が出てきている。

なども、背景のひとつとして考えられています。

ある程度、自由があった園生活。

しかし、小学校に上がると、授業中はじっと座って先生のお話を聞き、質問されたら答え、大事だと言われたことを覚えるように訓練され、「学び方はすべて先生が示す」というスタイルの生活に変化します。

確かに、6、7歳の子どもにとって、苦痛と感じられることもあるでしょう。

このような問題を解決するために、教育の世界では、幼児期の教育から小学校教育に円滑に接続するような「保幼小接続」の必要性が叫ばれるようになりました。

「入学後しばらくは、45分の授業の枠組みを15分、20分単位に分割して行う」など、さまざまな自治体でさまざまな取り組みが行われるようになったのです。

保護者として、「小1プロブレム」にどう対応する?


ここでは、家庭でできる「小1プロブレム」対策について紹介します。

日々の生活リズムを整える

起床時間、食事の時間、夜寝る時間を大体決め、生活リズムを整えることは、子どもの精神状態の安定につながります。特に、睡眠時間の確保が大切。
低学年時の睡眠時間は、10時間前後といわれています。
寝る1〜2時間前のゲームも避けましょう。

時間やルールを意識して過ごせるよう関わる

「6時になったら夜ご飯だから、片付けようね」「宿題は何時からやる?」「8時になったよ。次は何をする時間かな?」など、家庭においても子どもが時間やルールを意識するような声かけを意識するとよいでしょう。

他の子どもと交流する機会を作る

公園や子ども向けのイベントなど、いつもとは異なるコミュニティで過ごせる場所に出かけ、さまざまな子どもと接する機会を増やしましょう。
同年代や異年齢の子どもたちと遊ぶことで、他の子と関わり、協力しながら遊ぶ楽しさを味わえます。

「小1プロブレム」と「小1の壁」の違い


「小1プロブレム」と並んでよく聞くのが、「小1の壁」。
「小1プロブレム」は子どもがぶつかる問題なのに対し、「小1の壁」は親がぶつかる問題で、子どもが保育園に通っていた場合に起こりやすいと言われています。

保育園では、保護者は基本的にフルタイムで働いていることが前提のため、出勤・退勤時間に合わせて預かってもらえたもの。
しかし、入学後に入所する放課後の学童保育は18時で終了することが多く、フルタイム勤務で職場が遠いと子どもが1人で帰ることになったり、夏休みには給食がないため毎日お弁当を作って持たせたりと、保育園に比べて安心してフルタイムで働けないような場面が増えます。
こうした困りごとが、「小1の壁」と呼ばれています。

・参観や保護者会・音楽会など学校に行く機会が保育園より多い。
・PTA活動で平日昼間に仕事を休まなくてはならない。
・保護者向けのプリントや提出物が多い。
・宿題や持ち物を忘れていないかチェックが必要。

なども、「小1の壁」の要因のひとつとしてよく聞かれる声です。

対応策としては、

・時短制度を確認し、働き方を見直せないか相談してみる。
・民間学童、シッターサービス、家事代行など民間のサービスを使う。
・保護者同士で情報交換をする。

などがあげられます。
子どものすこやかな育ちを第一に、夫婦で話し合い、周りの人に助けてもらいながら乗り切れるといいですね。

「小1プロブレム」防止に必要なのは、「コミュニケーション能力」


「小1プロブレム」は、前述したように、園から小学校への環境の変化の度合いを少なくし、段階的に小学校生活に慣れていくような取り組みに加え、幼児期のうちから“ある力”を育んでおくことで防止しやすくなると言われています。

“ある力”とは、コミュニケーション能力です。

コミュニケーション能力とは、文字通り、周りの人とコミュニケーションを図る能力で、非認知能力のひとつです。

このコミュニケーション能力には、
①人間関係を維持する力
②課題に集中し、人と協力していく力
2つの側面があります。

①の「人間関係を維持する力」というのは、周りの人と仲良くすることや、いざこざが起きても解決する力、②の「課題に集中し、人と協力していく力」は、学習とポジティブに向き合い、周りの人と協力しながら課題を解決する力をさします。

コミュニケーション能力が身についていれば、授業中わからないことがあったり、先生の言葉を聞きもらしてしまったりしても、周りの子に聞いたりして助けてもらうことができます。

また、友達同士で何かトラブルが起こっても、相手の意見を聞いたり自分の考えを伝えたりすることで、解決に導くことができるでしょう。

幼児期からコミュニケーション能力を育む3つのポイント

幼児期から子どものコミュニケーション能力を育むポイントを、3つ紹介します。

その日の出来事を話題にし、自分の気持ちにも気づくようにする

日頃から、その日の出来事を話題にしましょう。

「そんなことがあったんだね。そういうときって、⚪⚪な気持ちになるよね」など、気持ちに触れる言葉も使うことで、子どもは自分の気持ちを十分感じながら、相手を思いやる気持ちを育むことができます。

子どもの話を最後まで聞く

幼少期の子どもはボキャブラリーが少ないことに加え、自分の話したいことがまとまらず、たどたどしくなりがちです。

しかし、そこで親が先回りして「⚪⚪️なんでしょ」などと会話を終わらせてしまうと、「伝える力」が育ちません。

子どものペースに合わせ、最後まで耳を傾けましょう。

I(アイ)メッセージで話す

「他の誰か」ではなく「自分」を主語にして話すだけで、思いの届き方が変わってきます。

たとえば、子どもに「またオモチャ出しっぱなしにして!」というのはYOUメッセージ。

子どもにとっては「また怒られた」というネガティブな気持ちしか残りません。

一方、「遊んだあと、すぐに片付けてくれたらママは嬉しいな」というのがIメッセージです。

親子が対等で、健全なコミュニケーションを重ねていくことで、子どものコミュニケーション能力が高まります。

まとめ

・「小1プロブレム」は、園と小学校での「過ごし方」の違いから起こることが多い
・幼児期からコミュニケーション能力を育むことが、小1プロブレムの防止につながる
・その日の出来事を話題にし、子どもの話を最後まで聞こう

編集部より

幼稚園を卒園し、小学校に入学するにあたり「小1プロブレム」という現象があることが分かりました。
子どもたちにとって、幼稚園の時と小学校入学時の生活や環境の変化は、大人が想像する以上に大きなものです。
これを少しでも軽減するために必要になるのが、「コミュニケーション」です。「コミュニケーション」を身に付けることで、人間関係や課題解決力にも繋がります!
そのためにも親が子どもたくさんコミュニケーション!特に聞いてあげる、受け止めてあげるコミュニケーションを身に付けましょう!

(参考文献)
・幼児教室はまキッズ「はまキッズオルパスの窓」|幼児期にコミュニケーション能力を育てるには
・ベネッセ教育総合研究所|なぜ今、「幼保小接続」に注目するのか(無藤 隆監修)
・ベネッセ教育情報サイト|小1プロブレムを乗り越える〜背景から原因を探る〜(汐見稔幸監修)
・子どもが強くなる認め方(井上知子監修「PHPのびのび子育て 子どもが幸せになるお母さんの言葉)

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