子どもの「読書離れ」を防ぐには
更新日: 2024.10.30
投稿日: 2024.11.05
「読書の秋」という言葉が定着しているいっぽうで、子どもの読書離れが進んでいます。
ベネッセ総合研究所が東京大学社会科学研究所と共同で実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」によると、子どもの約半分の読書時間が0分であることがわかりました。
この記事では、子どもの読書離れを防ぐ方法とこの秋に親子で読みたい本を紹介します。
もくじ
子どもの「読書離れ」が進んでいる!考えられる背景とは
「本好きな子どもに育ってほしい」。
そう願う保護者は多いのではないでしょうか。
しかし残念なことに、近年、子どもの「読書離れ」が進んでいます。
ベネッセ総合研究所が東京大学社会科学研究所と共同で実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」(2015年から2022年までの計8回、約2万組の調査モニターを対象に実施。同一の親子を継続して追跡する形で実施)によると、平日、子どもの約半分の読書時間が0分であることがわかりました。
性別では男子の方が、学校段階別では学年が上がるほど0分の割合が多く、「小学校低学年では、およそ4人に1人が平日の読書時間0分」「小学校高学年では、およそ2人に1人が平日の読書時間0分」という結果が出ています。
子どもの「読書離れ」が進んでいる背景について、以下のように考えられています。
・ゲームや動画など、子どもたちを惹きつけるコンテンツが手軽に楽しめるようになり、読書よりもデジタルデバイスに時間を費やす子どもが増えている。
・書店の減少、図書館の利用率低下により、気軽に本に触れる機会が減っている。
・塾や習い事など子どもたちの選択肢が増え、読書にかける時間が減少している。
・デジタルネイティブ世代の子どもたちは、紙の書籍よりもデジタルコンテンツに親しみやすく、読書の楽しさを実感しにくいことがある。
読書で得られる効果と、子どもに読書習慣をつけるコツ
読書は、単に文字を追うだけでなく、子どもたちの心を豊かにする素晴らしい体験です。
ここでは、読書がもたらす効果と、子どもに読書習慣をつけるコツについて紹介します。
まずは、読書で得られる効果について紹介します。
表現力が豊かになる
本の中には、普段私たちが話さないような言葉がたくさん隠されています。
読書を通して新しい言葉に触れることで、語彙力が豊かになります。
語彙力が増えると、自分の考えをより豊かに表現できるようになり、周りの人とのコミュニケーションもスムーズになるでしょう。
共感力や想像力が育まれる
主人公と一緒にドキドキハラハラしたり、悲しい気持ちになったり、嬉しい気持ちになったり。読書を通して、共感力や想像力が育まれます。
問題解決力が育まれる
物語を追っていくうちに、自然と「どうしてこうなるんだろう?」「この人はどう思うかな?」などと考えるようになります。
そうすることで、論理的な思考力や問題解決能力が養われます。
集中力が高まる
面白い本を読むときは、周りのことを忘れて夢中になることもありますよね。
読書は、集中力を高めるためのトレーニングにもなるといえるでしょう。
知的好奇心が高まる
読書を通じ、歴史、科学、冒険、ファンタジーなどさまざまな世界に出会えます。
読書を通してたくさんのことを学び、知的好奇心が高まります。
リラックスできる
好きな本を読むことは、心地よいリラックスタイム。楽しい物語の世界に浸ることで、心も体もリラックスできます。
次に、子どもに読書習慣をつけるコツについて紹介します。
家庭で読書習慣を
親が読書を楽しむ姿を見せることは、子どもにとって大きな影響を与えます。
可能な範囲で、寝る前の読み聞かせや、毎日に一緒に本を読む時間などを設け、親子で読書を楽しむ時間をつくりましょう。
子どもの興味関心に合わせた本を選ぶ
子どもが好きなキャラクターやテーマの本を選ぶと、自然と読書を楽しめます。
たとえば、虫が好きなら虫をテーマにした絵本、虫図鑑などでもOK。
最初から文字を読ませようとするのではなく、絵や写真から興味をもつことも大切です。
読書を楽しむ環境を作る
リビングの照明を調整したり、クッションを置いたりするなどして、家の中に読書が気軽に楽しめる環境を作るのもよいでしょう。
読書イベントに親子で参加する
図書館や書店で開催される読み聞かせなどのイベントに親子で参加することで、読書の新たな楽しみ方を発見することができます。
読書の習慣は、一朝一夕に身につくものではありません。 子どもが読書を「楽しい!」と感じ、自ら進んで本を手にとるような環境作りや保護者からの働きかけが何よりも大切です。
小学校低学年のうちに読んでおきたい名作10選
ここでは、小学校低学年のうちに読んでおきたい名作を、 ひとり読みにチャレンジしたい本、保護者が読んであげたい本、合わせて10冊紹介します。
ひとり読みにチャレンジしたい本
「ふたりはともだち」
仲良しのかえる、がまくんとかえるくん。ふたりの間で、楽しくて、おかしくて、ちょっと切ないエピソードが繰り広げられます。小学校の教科書にも載っている大人気のシリーズ。
⭐アーノルド・ノーベル作/三木卓 訳(文化出版局)
「おおきなきがほしい」
「りすや小鳥が住み、見晴台がついている大きな木に登ってみたい」と願う、子どもの夢を描きます。男の子のどこまでもふくらむ想像を読者もいっしょに楽しめる、夢いっぱいの絵本。
⭐さとうさとる著/村上勉 絵(偕成社)
「歯みがきの絵本 サンジャーム船長~7つの海の大冒険~ 虫歯編」
ハブラシ剣を持つサンジャーム船長が、ラピス号という船に乗って多くの仲間と宝物を求めて7つの海を冒険する物語。
歯科医の先生自らが創った親子で読める教育絵本。
⭐新谷哲生文/ギャラリーおうち 絵(Gakken)
「みやにしたつやのさんすうえほん プラスマンとカズカズせいじん」
人気絵本作家の宮西達也氏初のさんすう絵本。楽しい絵とストーリーの絵本で、算数を楽しみながら学べます。
かずかずせいじんとプラスマンが登場。
⭐宮西達也著・絵(Gakken)
「たんたのたんけん」
たんたの誕生日に、ふしぎな地図がまいこみました。矢じるしや△じるしの書いてある、たんけんの地図。たんたは、さっそく出発。
夢いっぱいの楽しい童話です。
⭐中川 李枝子著/山脇 百合子 絵(Gakken)
親が子どもに読んであげたい本
「エルマーの冒険」
りゅうの子を助けに行った9才の男の子エルマーが、機転をきかせながら危機をのりこえていく冒険物語。
1948年から51年にかけてアメリカで出版され、半世紀以上たった現在でも、多くの子どもたちに読み継がれているシリーズです。
⭐ルース・スタイルス・ガネット著/ルース・クリスマン・ガネット 絵(福音館書店)
「ぞうのたまごのたまごやき」
卵が大好きな王様がいました。
王様が王子誕生のお祝いに出した命令は…「ぞうの卵を探せ!」。意外性とユーモアあふれる、寺村輝夫氏の代表作です。
⭐寺村 輝夫作 / 長 新太 画(福音館書店)
「大きい1年生と小さな2年生」
からだは大きいのに泣き虫の1年生のまさやと、からだは小さくてもしっかりしている2年生のあきよ。
ふたりの友情と自立の物語。
⭐古田 足日作/中山 正美 絵(偕成社)
「じごくのそうべえ」
上方落語の「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」。
2015年3月に亡くなった人間国宝・桂米朝師匠の十八番として知られた演目を田島征彦氏が独自に翻案、創作して、子どもも楽しめる絵本に仕上げました。
⭐田島 征彦作・絵(童心社)
「しっぱいにかんぱい」
失敗をしてもいいんだ、失敗はだれでもするものなのだ、ということを、子どもたちにも面白く、わかりやすく伝えてくれるお話です。
⭐宮川ひろ著・小泉るみ子 絵(童心社)
深まる秋の夜長、お子さんと、読書時間をゆったりと楽しみましょう!
・共感力、想像力、課題解決力など、読書で得られる効果はたくさん!
・子どもを読書好きにするには、親からの働きかけと環境づくりが大切
・深まる秋。親子で本と向き合う時間をつくろう。
参考文献)
「読書離れ深刻 : ベネッセ・東大の共同調査で子どもの半数が読書時間0分」(出典:nippon.com)
「子供の本離れではなく本の子供離れが課題…読書調査」(出典:リセマム)
「イチ押し絵本情報」(出典:ミーテ)
「読書で得られる効果とは? 子どもに読書習慣をつけるためにできること」(出典:学研教室)