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子どもの失敗、親はどう見守る?

更新日: 2023.01.04
投稿日: 2022.06.10

「失敗は成功のもと」「かわいい子には旅をさせよ」

子どもには失敗をさせた方がいいことは、誰もがわかっています。

しかし頭では理解していても、つい先回りをして「ものごとがスムーズに進むように」「がっかりしないように」と、親が子どもの失敗回避をしてしまうことはありませんか。

「失敗」を必要以上に恐れる子どもや、新しいチャレンジを避ける子どもは近年増えており、その原因は「失敗させない親」かもしれません。

子どもが「失敗」から学べることは山ほどあります。

その大切な機会を奪わないためには、親の覚悟も必要なのです。

今回は子どもの「失敗」について、一緒に考えましょう。

「子どもには失敗させた方がいい」、その理由とは?

自分の人生を振り返り、「失敗した時のこと」を思い出してみてください。

恥ずかしくて苦々しい思い出、後悔、「同じ失敗は2度としない」と固く心に誓ったこと、そして次から失敗をしないために取った行動。

そうです、失敗には成長につながる学びがたくさんあるのです。

だからこそ、子どもが失敗する権利を、親が奪わないようにしたいもの。

失敗の経験がなければ、失敗から立ち直る方法は身につきません。

そして、失敗→立ち直り→同じ失敗をしないように工夫する、という行動をくり返すことで、子どもは失敗を怖がらなくなるでしょう。

失敗を恐れない子、それは何事にもチャレンジできる「心の弾力性」が高い子。

わが子を、意欲的で挑戦を恐れない、柔軟な子どもに育てたいのなら、どんどん失敗を経験させましょう。

そのためには、先回りする癖や失敗の種を取り除く「親の行動」を見直す必要があります。

子どもを「失敗させない親」が、しがちな行動とは?

子どもは放っておけば失敗をする生き物。

親が先回りして障害物を取り除いたり、「危ないから」などとチャレンジをやめさせたりしなければ、自然と失敗を経験できるでしょう。

つまり親の言動が子どもの「失敗の経験値」にダイレクトに影響してしまうのです。

親が「子どもに失敗させたくない」と思う理由を以下にあげてみました。

○失敗より成功体験をさせてあげたい

○遠回りさせたくない(最短距離で成長させたい)

○かわいそうに感じてしまう

○子どもが挫折しそうで怖い

○させると手間がかかる

○自分が安心したい

失敗より成功体験をさせてあげたい

子どもにとって成功体験をすることは、とても大切。

「自分はできる」と自分自身を信じる力は、成功体験から生まれるからです。

しかし「失敗したあとに、立ち直る経験」も同じくらい大切です。

失敗を恐れなくなったら、もう怖いものはありません。

言葉で「失敗しても大丈夫」と教えるより、何度も失敗を繰り返せば立ち直り方も習得でき、失敗に対する免疫もつきますね。

遠回りさせたくない(最短距離で成長させたい)

失敗することが遠回りのように感じるお母さん・お父さんは多いでしょう。

「こうすれば早く答えに到達する」「この方法ならすぐ習得できる」と、最短距離を教えてしまいたくなる気持ちは、親にとっては甘い誘惑です。

しかし人間は自分で経験しなければ学べません。

手痛い失敗をすることが、一番の近道になることも多いのです。

かわいそうに感じてしまう

目の前の子どもが失敗して落ち込んでいたら、「助けてあげたい」「もう失敗させたくない」と思うのは、親なら当然のことですよね。

しかし子どもが中高大学生や社会人になってからも、親が失敗しないように手を尽くすことはできません。

子どもの失敗内容を思い出してみると、幼い頃の「転んで泣いた」「靴を左右逆に履いた」などの失敗は、今の子どもの失敗よりも他愛なくかわいいものでしたね。

つまり小さい頃の失敗の方が傷は小さく、深刻度が低いもの。

大人になって取り返しのつかない失敗をするより、子どものうちに失敗してもらう方が何倍も安心。

小さな失敗をどんどんさせて、失敗への耐性をつけておきましょう。

子どもが挫折しそうで怖い

子どもは本来、失敗しながら成長するもの。

失敗した時に大人が「学びのチャンス」と、プラスにとらえることができれば、子どもは失敗したことで挫折することはないでしょう。

「失敗しないように」という大人の考えが、「失敗はしたらいけないもの」「失敗したら取り返しがつかない」という意味に子どもに伝わり、失敗を恐れる子どもに成長してしまいます。

「子どもが挫折しそうで怖い」のではなく、大人が「失敗する子どもを見たくない」だけなのかもしれません。

失敗させると手間がかかる

例えば「皿洗い」や「料理」など、親がやってしまった方が早くてきれいにできることは多いですよね。

お皿を割ったり、料理を焦がしてしまうと、片付けや作り直しは親の仕事。

「失敗を経験させる」のは言うほど楽ではありません。

しかし割ったお皿を片付けるお父さんや、料理を作り直してくれるお母さんの姿を見ながら、「失敗してもリカバリーできるんだ」「次は失敗したくない」と子どもは感じるでしょう。

子どもが失敗した時こそ、「失敗も経験のうち」というメッセージを伝えるチャンスです。

自分が安心したい

どうしてもマイナスなイメージが払拭できない「失敗」という言葉。

子どもに失敗経験は大切だと知りながら手を出してしまうのは、「失敗しない子ども=うまく子育てしている」と親が実感したいからかもしれません。

厳しいかもしれませんが、それは親の自己満足です。

「子どものため」「親の責任」という言葉に惑わされず、「自分の行動が本当に子どものためになるのか」と、常に自分に問いかけましょう。

子どもが失敗した時、親はどうすべきなのか?

親が先回りや手出しをやめれば、子どもは次々とミスや予想外の行動をするでしょう。

そんな時、親が本当に「失敗は子どもに大切」と思っているかどうかを試されます。

子どもが失敗してしまった時、子どもに「それでOK!」と伝える方法を紹介します。

◯否定しない

◯安易に助け舟を出さない

◯改善点を考えさせる、または一緒に考える

失敗を否定しない

「だから言ったじゃない」「やっぱりね」などと、子どもの行動や挑戦を否定してしまうと、子どもは失敗を回避しようとチャレンジをやめてしまいます。

また自分の子でなくても人の失敗をあげつらったり、噂をするのは「失敗は人に笑われる恥ずかしいこと」と伝えているのと同じです。

大人の心の中から、「失敗=マイナス」のイメージを追い出しましょう。

安易に助け舟を出さない

失敗から学んでほしいなら、簡単に助けてしまっては本末転倒。

自分で考え、立ち直るからこそ、失敗の経験が子どもの力になるのです。

一番大切なのは、温かく「見守る(放っておく)」ことかもしれません。

改善点を一緒に考える

子どもの失敗が深刻な時や、努力の結果が出ない時など、タイミングを見計らって改善点を一緒に考えるのもいいですね。

「どこに置いたら、学校に忘れないで持って行かれるかな」
「試合でエラーをするのは、いつもどんな時?」

など、親が思う正解を与えるのではなく、子どもと一緒に答えを探せば、子どもは自分で次へのステップを考える習慣がつきますね。

失敗を経験した子は、「優しく」「強く」なれる!

失敗をすると、子どもであっても傷ついたり、悲しい気持ちになりますよね。

辛い気持ちをしっかり味わった子は、他人の痛みがわかるので人に優しくなれます。

そして学校や習い事、公園などで失敗すれば、周囲から助けてもらったり、許してもらう機会も増えるはずです。

その経験から、友だちの失敗にも寛容になり、励ましたり、サポートすることができるでしょう。

また失敗から自分の力で立ち直り、「次は頑張るぞ」と前向きな気持ちになるまでには、さまざまな葛藤も味わうはずです。

それを乗り越える間に、精神的な回復力(レジリエンス)が養われ、強くたくましい子に成長します。

「失敗」は、親が教えるよりももっと色々なことを教えてくれる先生のようなもの。

怖がらずにどんどん失敗を経験させて、成長のチャンスを逃さないようにしたいですね。

まとめ

・子どもが失敗し、そこから立ち直る経験はとても大切。
・親は助けたい気持ちを我慢して見守に徹すると、子どもは失敗から多くを学ぶ。
・親が失敗へのマイナスイメージを払拭することが大事。
・子どもが失敗した時は、過剰な反応はせず温かく見守る。

編集部より

親として、子どもが失敗することも成長していく上で大切な経験と頭では分かっている人は多くいると思います。ですが、実際は失敗することで、「トラウマになったらどうしよう」「嫌いになったらどうしよう」「自信をなくしたらどうしよう」といったリスクを考えてしまい、失敗をしないように手や口を出してしまうこともあるのではないでしょうか?しかし、やはり今回のコラムで失敗をすることの大切さが分かりました。親として大切なのは、失敗をさせないことではなく、失敗した後にどのように子どもが失敗を捉えることができるか、またその失敗から今後の成長に繋げることができるかをサポートすることではないでしょうか?失敗は成功の基!親が子どもの失敗を怖がらずに受け止めて、サポートしていきましょう!

 

(参考文献)
・『成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社) 中曽根陽子著
・こどもまなびラボ | 失敗を成長の糧にするためのポイント。親はわが子の失敗とどう向き合えばよい?
・東洋経済オンライン | 「挫折に弱い子ども」と「強い子ども」の決定的差

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