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子どもの「やる気エンジン」、かけ方のコツ

更新日: 2024.05.21
投稿日: 2023.11.14

保護者の間でよく語られる、わが子の「やる気スイッチ」という言葉。

実は脳科学の分野では、人のやる気はカチッと押したら入る「スイッチ」ではなく、まずは動いてみてかかる「エンジン」だと言われています。

「自分には無理」「どうせできない」といった消極的な気持ちから、「自分にはできる」と自己効力感を感じ、夢中で取り組む機動力になる「やる気エンジン」。

周囲の仲間たちと協力し合い、人生を前向きに楽しむ力になる「やる気エンジン」をかけ方を紹介します。

子どものやる気は「スイッチ」ではなく「エンジン」


いまいちやる気が見えない子、「どうせ無理だし」と最初から諦めモードのわが子を見ると、「うちの子の背中にもやる気スイッチがあればいいのに…」と思いますよね。

でも人のやる気は「スイッチ」ではなく、「エンジン」のように、まずはやってみることから生まれるのを知っていますか。

東京大学薬学部の池谷裕二教授によると、脳科学の考え方ではそもそも「やる気」というものはなく、まず行動を起こすことで気分が乗って、作業や勉強がはかどるものなのだそう。

たとえば笑うという行為も、楽しいから笑うと思いがちですが、実は笑顔になったから「楽しい」と感じているということがわかっています。

まず最初に行動があって、後から感情がついてくるのが人のやる気システム。

やる気になるのを待っていたら、いつまで経っても行動は起こせないままになってしまいます。

子どもが前向きに物事に取り組むようになるには、まずは「動く」「やってみる」「始める」がポイントなんですね。

子どものやる気エンジンをかけるコツとは?


「こんなにやる気がなくて、うちの子大丈夫?」と、日々心配を感じている保護者も多いでしょう。

どうしたら行動させられるのか、その行動を継続させるにはどうしたらいいか、ここでは「車」になぞらえて考えてみましょう。

○ 運転席に座らせる(とりあえず始める・行動する)

○ 時々、ガソリンを入れる(周囲は褒める・励ますに徹する)

○ アクセルを踏みすぎない(急がない・完璧を求めない)

○ メンテナンスを大切に(時には休むことも大切)

○ 保護者は助手席(子どもに任せる)

運転席に座らせる

運転する気のない子を、とりあえず運転席に座らせるのは、なかなかの大仕事。

でもこの0を1にさえしてしまえば、後は軽い動力で進むはずです。

たとえば夏休みや冬休みの長期休暇の終盤なら「宿題をする」、サッカーチームのスタメンになりたいなら「自主練をする」など、「何に取り組むか」は子どもに決めさせましょう。

まずは、
・机に座ってノートを開いてみる。
・ボールを持って外に出てみる。
・ピアノの前に座ってみる。

明治大学の堀田秀吾教授によると、「やりたくない」「面倒くさい」という本能を司る脳に、「やらなきゃダメ」という理性の脳が打ち勝つまでには約5〜6秒かかると言われています。

つまりイヤイヤ始めても5〜6秒乗り越えてしまえば、エンジンがかかる可能性が高いということ。

まずは「運転席に座らせる」ところまでは、頑張ってクリアさせましょう。

時々、ガソリンを入れる

エネルギー切れを起こさないように、時々は様子を見ながら「よく頑張ってるね」「成果が出てるよ」と褒めたり、励ましましょう。

人は頑張りが認められると、がぜんやる気になります。

集中力が切れそうになったり、やる気が下がっている様子が見えたら、小休止やおやつタイムも効果的です。

つい「もっと頑張れ」「まだ○分しか経ってないじゃない」などとお尻を叩きたくなりますが、褒めたり励ましたりする方がやる気を刺激するものです。

子どもの自尊心を刺激しつつ、エネルギー補給をすると効果があります。

アクセルを踏ませすぎない


親が子どもにやらせようと躍起になるほど、子どもは冷めていくもの。

そして子どもが頑張っているのに、「もっと結果を出せ」とダメ出ししたり、「もっとできる」と完璧を求め過ぎると、子どものやる気はどんどん削がれていきます。

車は子どもが運転しているのですから、ある程度は信じて任せれば、子ども自身が考えて工夫をするはず。

「気づいた時に子どもの様子を見る」くらいの気持ちで、子どもを後ろからサポートしたいですね。

メンテナンスを大切に

子どもはエネルギーの塊のように感じますが、疲れることもあります。

・いつもより集中力が保てない
・疲れている
・悩んでるような様子がある

そんな時は子どもも「やる気エンジン」を全開にはできません。

「学校でなにかあった?」「話したいことがあれば聞くからね」と声をかけて、子どもの様子を注意深く観察しましょう。

子どもは話を聞いてもらったり、「それは悲しかったね」「疲れたね」と共感してもらうだけで、気持ちがすっきりすることがあります。

時には思いっきり遊んだり、ゆっくり体を休めたり、メンテナンスをするのも大事なプロセス。

メンテナンス後は、エンジンのかかりもまた良好になるでしょう。

保護者は助手席

自分が運転している時に、横から「もっとスピード上げて!」「ブレーキが遅い!」などと口うるさく言われたら、イライラして運転する気がなくなりますよね。

子どもの運転を見てしまうと気になることばかりなので、保護者は窓の外に目をやりつつ、子どもを信じて命を預けましょう。

任せられれば子どもは自分で判断して行動し、失敗やミスの挽回も自分でしようとするはずです。

「○日までにはこの宿題を終わらせよう」「今月中に○メートルを○秒でドリブルできるようにしよう」など、目標とタイムリミットだけは伝えておけば、子どもは自分なり工夫するでしょう。

子ども自身が考えて判断する余地を残しておくことも、エンジンを持続させるポイントですね。

やる気エンジンのかけ方さえわかれば子どもは無敵に!


子どものやる気エンジンをかけるには、まずは難しいことを考えずに行動することがポイント。

その行動の副産物として、気持ちが乗ってきて「やる気」「楽しい気持ち」を感じ、いつの間にか積極的に取り組めるようになることがわかりました。

わが子の「やる気スイッチ」がいつまで経っても入らない理由が、これでクリアになりましたね。

「やる気エンジン」の仕組みがわかれば、あとは行動あるのみ。

そして「ひとまず行動」を習慣化してしまえば、「やる気」がなくても、やるべきことをルーティンとして次々取り組むことができるでしょう。

その行動の習慣化から、ワクワクする気持ちや好奇心が引き出せれば、これ以上のやる気エンジンはありません。

「まずは行動」でやる気エンジンをかけられるようになれば、子どもは前向きにたくましく無敵に成長できるでしょう。

まとめ

・子どものやる気はスイッチではなく、動き出すとかかる「やる気エンジン」。
・脳科学では、まず行動を起こすと感情が後からついてくると考えられている。
・やる気になるのを待つのではなく、とりあえず行動するのがポイント。
・子どものやる気エンジンをかけて継続するには、子どもに運転を任せ、周囲は励ましたり、疲れたら休ませたりするのがコツ。

(参考文献)
・『世界最先端の研究が導き出した、「すぐやる」超習慣』堀田秀吾著(クロスメディア・パブリッシング)
・ロート製薬 太陽笑顔fufufu | 脳があなたを悩ませる! 困ったときの脳科学
・プレジデントオンライン | やる気は“スイッチ”ではなく“エンジン”だった…世界最先端の研究が導き出した「最初の5秒」の重要性
・in source | 仕事の報酬は仕事
・新R25 | 「簡単にやる気を出す方法を教えてください!」→脳研究者「やる気なんて存在しない」

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