子どもの心が弱くて心配 親にも大切な感情コントロール
更新日: 2023.01.04
投稿日: 2022.11.18
子どもが些細なことで泣いたり落ち込んだりする姿を見て、「この子は心が弱いのでは?」「こんなに弱くて大丈夫?」と心配になることはありませんか。
また「私の心の弱さが子どもに遺伝しているの?」「悪い手本を見せてしまっているかも…」と、不安に思うお母さん・お父さんもいるかもしれません。
でもそれは物事をネガティブに捉えてしまうことがあるので、ポジティブに考えれば、少しずつ心のたくましさを育てることができます。
今回は子どもにも親にも大切な「感情をコントロールする方法」について考えていきましょう。
もくじ
どんな時に「心の弱さ」を感じる?
「心が弱い」と感じてしまうのは、どんな時でしょう。
例えば親から見た時の子どもが…
・「自分にはできない」「無理だ」とすぐ弱気になってしまう。
・思い通りにならないと、「怒る」「機嫌が悪くなる」。
などの様子を見た時に感じてしまうかと思います。
また、大人である親でも…
・嫌なことがあると、すぐ落ち込む
・自分で決めた目標(ダイエットや資格取得など)を途中で諦めてしまう。
・子どもに穏やかに接することができず、すぐ怒る。
といったことがあると、「自分は弱い」「心がもろい」と感じてしまいます。
これらは何かが起こった時のとらえ方や考え方、反応の癖であり、一概に「心の弱さ」や「意志の弱さ」のせいとは言い切れないでしょう。
ただし、この反応をずっと続けていると、少しずつ心が疲れていき、最終的に落ち込みがひどくなってしまったり、立ち直りにくくなったりするので注意が必要です。
そうなる前に反応方法を変えて、たくましく大らかな気持ちを育てたいですね。
心が弱いと感じてしまう子どもや親には、どんな特徴や傾向があるの?
「心が弱い」と感じてしまう人には、以下のような考え方の癖や特徴があります。
◯ 完璧主義でまじめ
◯ 悲観的でネガティブ思考
◯ 人に優しく共感力が強い
◯ 自分の感情や気分に振り回されてしまう
◯ 自分に自信がない
完璧主義でまじめ
性格がまじめで完璧主義の子(人)は「こうあるべき」という考え方が強く、自分で自分にプレッシャーをかけてしまいます。
自分が設定した目標に届かないと落ち込んでしまい、自動的に負のサイクルに入りがちです。
しかも完璧主義な子にとっては、「テキトーに終わらす」「中途半端でやめる」ことがストレスになることも…。
親は結果よりも「プロセス」に注目して、頑張ったことや努力したことにフォーカスを当てるようにしましょう。
悲観的でネガティブ思考
クラスや習い事の代表などに選ばれても…「自分には無理」「絶対失敗する」と悲観的。
遠足や合宿などの楽しいイベントでも…「好きな子と班が分かれた」と自分にとっての悪いところしか見ない。
ネガティブ思考の子(人)は物事をプラスにとらえる事ができず、思考が悪い方に引きずられてしまいます。
過去に辛い思いをした経験から、「最悪の事態を想定しておけば、がっかりしなくていい」と自分に保険をかけているのかもしれません。
悪い部分に注目してしまう子には、「別の子と仲良くなれるチャンス」「苦手なことが克服できるね」と別の視点を投げかけてあげましょう。
また「◯◯ちゃんもできたから、あなたもやってみよう」「この前は大丈夫だったね」など、具体例を使って「最悪の事態は起こりにくい」ことを伝え、前向きになれるように誘導してあげられるといいですね。
人に優しく共感力が強い
そもそも悲しい人に同調して一緒に泣いてしまったり、苦しい気持ちになってしまったりするのは…優しい人・共感力が高い人が多いのです
これは見方を変えれば「共感力」「思いやり」といった社会的能力でもあるので、感情の切り分けさえできれば、すばらしい素養。
マイナスな気持ちに引きずられないように、「◯◯ちゃんは、辛かったんだね」と共感しつつも切り替えられるような言葉を伝えましょう。
悲しい気分を引きずるようなら、一緒に料理やゲームに楽しく取り組んだり、散歩をしたり、気持ちの切り替えができるような提案をしてあげたいですね。
自分の感情や気分に振り回されてしまう
予定通りに物事が進まなかった時、予想よりも悪い結果になった時、真剣に取り組んでいればいるほど、がっかりして自分を責めたり、逆に誰かのせいにしてしまったりすることがあります。
それは自分の感情に振り回され、支配されている状態です。
「別の方法だったらうまくいくかも」「次は別のアプローチでやってみよう」と気持ちが切り替われば、その経験を活かすことができます。
特に幼い子どもは、「失敗が成功につながる」という経験が少ないため、親が普段から上手にプラス転換する声がけをしてあげたいですね。
自分に自信がない
以前に失敗した経験を思い出してしまう。
友だちの意見や指摘を気にしすぎる。
など、自分に自信を持てない子(人)は、新しいことに挑戦するのを嫌がり、積極的に自分から働きかけることができません。
逆に自信のなさから、必要以上に強気に出てしまったり、威張ってしまう傾向も。
小さなことでもいいので、本人が「やりたい」「やってみよう」と自発的に動いたことを応援して、ひとつひとつ小さな成功体験を積み上げ、自信をつけさせてあげましょう。
子どもの不安や気持ちを軽くする親の考え方・伝え方
心配性の子、凹みやすい子が大らかにたくましくなるには、地道な日々の積み重ねが必要です。
子どもは親の考え方の影響を受けやすいので、日常的な考え方や伝え方を少し工夫してみましょう。
感情のコントロールができるようになると、精神的に安定し、常にリラックスした気持ちで毎日を送れるようになります。
ポイントは3つ。
◯ 客観的に見る癖をつける
◯ 感情を記録する
◯ 気持ちをそらす力をつける
客観的に見る癖をつける
・大切な試合でミスをしてしまった。
・友だちに嫌なことを言われた。
失敗やトラブルも「客観的に見たら大したことがない」「小さいこと」と考えられれば、気持ちが少し楽になります。
また「もし相手の立場だったら」「関係ない人から見たらどうなんだろう」と別の視点が生まれると、冷静に落ち着いて考えられます。
友だちとのいざこざなら、「どうして○○ちゃんは、そんなこと言ったのかな」「もし自分が◯◯ちゃんだったらどう思う?」など、相手や第三者の視点を提案してみましょう。
また試合でミスした時の様子をビデオなどで見せてあげれば、「次は〇〇してみよう」「仕方がないミスだった」と理解できるかもしれません。
自分のことや自分に起きた出来事を客観視できるようになると、感情の振れ幅が小さくなり、精神的に安定します。
感情を記録する
落ち込んだ時の気持ちや傷ついた原因などを、あえて日記や記録に残しましょう。
子どもといえども親に言いたくないこともあるはずなので、「見せなくてもいい」と伝えて内緒のノートに書いてもらいます。
書くのは「具体的なできごと」と「思ったこと」の2つ。
何があったか、そして自分がどう感じたかを具体的に書くことで、心の中が整理でき、不思議と気持ちが落ち着き、ストレスが軽減されるのだそう。
また心が安定し、感情のコントロールがうまくなるという研究結果もあります。
毎日でなくても、辛いことがあった日、嫌な気持ちになった時だけでも、日記や記録をつけると、苦手なことをやり過ごす強い心が少しずつ養えます。
気持ちをそらす力をつける
心が傷つく出来事を避けて通ったり、攻撃的な友だちから距離が取れたらベストですが、なかなかそうはいきません。
ならば、攻撃をスルーしたり、気持ちをそらしたり、切り替えができる技術を身につければ、今後の人生にも役立ちます。
例えば、
・「自分には無理」と弱気な発言をしたら、「じゃあどうやったらできるかな」「一緒に考えてみよう」と実現までのステップを具体的に紙に書き出す。
・「マイナス思考ストップ」のおまじないやスイッチを決める。大きな丸を書いて破いて捨てるでも、「1、2、3、ダー!」と大声でパンチするでもOK。
上記以外でも、子どもや自分に合う「感情コントロール方法」が見つかれば、それがベストです。
「人は人、自分は自分」の切り分けをして、感情のコントロールができるようになると、自分の感情に飲み込まれずに安定した気持ちで日々過ごせますね。
・落ち込みやすいのは「心が弱い」のではなく、考え方の癖のせい。
・真面目で優しい性格、ネガティブ思考など、落ち込みやすい人には特徴がある。
・考え方の「癖」を修正すると、凹みにくくなる。
・客観視、感情の言語化、気持ちの切り替えができるようになると、大らかで強い気持ちが育つ。
自分自身に自信を持って行動することができなかったり、嫌なことを断れなかったりと一歩踏み出す勇気を持てない子どもっていますよね?そして、ある一定の境界線を越えると感情的になってしまう子どもは皆さんの周りにもいないでしょうか?このコラムを読んで難しい部分でもあるなと思います。心の弱さは、心の優しさの部分もあると書かれていましたが、まさにそうだなと思いました。この様な子どもたちにとって大切になるのは、やはり!親の存在です。親の寄り添い方や接し方次第で、子どもが変わっていくということを感じました。子どもの状況や状態をしっかり親が汲み取り、その子に合わせたフォロー、サポートをしていきましょう。
(参考文献)
・東洋経済オンライン | 悲しいほど「心が弱い人」に共通する3つの特徴
・ドマーニ | メンタルが弱いと感じたときに見直したい考え方は?
・STUDY HACKER | 「感情日記」を書いてみたら、常に頭の片隅にあった心配事がどんどん浄化されていった話
*Klein, Kitty and Adriel Boals (2001), “Expressive writing can increase working memory capacity,” Journal of Experimental Psychology General, Vol. 130, No. 3, pp. 520-533.