準備をすれば怖くない!気圧変化による頭痛や体調不良とのつき合い方
更新日: 2022.11.08
投稿日: 2022.05.31
「低気圧が来る前は頭が痛くなる」「雨が降ると古い傷がしくしくする」など、天気や気圧の変化によって体調不良や痛みが起こることは「天気痛」「気象病」と呼ばれています。
女性に多いイメージですが、実際は男性や子どもでも天気による体調の変化を感じる人は一定数いるのです。
ひと昔前は「気の持ちよう」「気合いが足りない」などと、理解が得られなかったこれらの体調不良は、近年、メカニズムが解明されつつあります。
実はこれらの症状は前もって予測し準備をすることで、軽減されることがわかってきました。
「天気痛・気象病」を、少しでも軽くするための対処や予防法をご紹介します。
もくじ
なぜ起こる? 天気と頭痛・体調不良の関係
天気が変わる前は「気圧」も変化することが多いですよね。
この気圧の変化を、耳の奥にある「内耳」がセンサーとなって感じ取ります。
「内耳」が気圧の変化を察知すると、脳を刺激し血管が広がって痛み物質が放出され、頭痛を引き起こします。
では頭痛以外の体調不良はなぜ起こるのでしょうか。
目には見えない「気圧」ですが、これは人の体全体に外側からかかっている圧力のこと。
人はそれと同じだけの圧力を体の内側から外側にむかってかけることで、体を潰されないようにコントロールしています。
気圧が変化すると、体の内側の圧力を微妙に変化させるため、体にストレスがかかり、自立神経も乱れて肩こりや倦怠感、めまいなどのさまざまな体調不良を引き起こしているのです。
「頭痛&不調バイオリズム」を知って予防を!
まずは自分が頭痛や体調不良になった時の日にちや時間、どの程度痛かったか、どれくらい続いたかなどを記録することから始めましょう。
特に頭痛は痛みの種類を細かくチェック。
頭の片側か全体が締め付けられるように痛いのか、ズキズキと波打つような痛み、後頭部に痛みが集中しているなど、なるべく詳しく書いておくことがポイントです。
2〜3ヶ月記録すると、「低気圧が近づく前に頭痛になる」「雨が降り始めるとだるくなる」など、自分の不調パターンが見えてきます。
低気圧だと思っていた原因が、実は「仕事の忙しさ」や「夫(妻)の実家に帰省するタイミング」と重なっていて、ストレスが原因だったことがわかることもあります。
原因がわかれば、痛みを感じる前に頭痛薬を飲んで対処したり、大切な予定をずらしたり、ゆっくり休養を取ることも可能です。
また痛みを冷静に分析することで、「心構えができて恐怖心やストレスがなくなった」「症状が軽くなった」という人も多いのだそう。
最近は頭痛予報アプリ(「頭痛―る」)などもあるので、上手に利用して、より早く情報を入手できれば安心です。
敵を知り己を知ることは、対策の基本。
まずは自分だけの「痛み&不調の記録」を作ってみましょう。
それでもやってくる痛み・不調には、3つの対処で撃退!
バイオリズムを把握し、頭痛や体調不良の予測ができても、完全になくならないのが気象病・天気痛の辛いところ。
普段から、「耳マッサージ」「ツボ押し」「ストレッチ」などを行い、痛みや不調に備えましょう。
耳マッサージ
気圧の変化は、耳の奥の内耳がセンサーになって感知しています。
耳周りの血行が悪くなると内耳がむくんで過敏になり、天気痛や気象病になりやすくなります。
そこで効果的なのが、耳周辺の血行をよくする「耳マッサージ」。
4つの動きをそれぞれ15秒ずつ行いましょう。
① 耳の上の部分をつまんで上にぐっと引っ張ります。
② 次は耳の中央をつまんで、後ろに引っ張ります。
③ 耳たぶを持って、下に引っ張ります。
④ 最後に手の平で耳全体を覆ってぐっと押し付け、そのままぐるぐると回します。
朝・昼・晩に一度ずつ行うことで、内耳の血行が改善されるはずです。
ツボ押し
頭が痛い時は、こめかみや頭のてっぺんなど、自分が押して「気持ちいい」と感じるところを刺激するといいでしょう。
また首の後ろや後頭部には頭痛のツボが集まっているので、両手で刺激してみましょう。
・天柱(てんちゅう)
頭から首にかけてある2本の太い筋肉の外側のくぼみ。髪の生え際。
・風池(ふうち)
天柱から耳の後ろに向かって少し上がった骨の部分。
などを息を吐きながらゆっくり押すと、痛みが和らぐことがあります。
また、普段から自律神経を整えるツボを押して、気圧の変化に負けないようしておくことも大切。
・爪もみ
爪の周囲にはツボがたくさんあり、刺激をすると、自律神経を整えたり免疫力がアップしたり、全身の血行もよくなります。
② 爪の生え際を左右に挟んで刺激する。
など、ピンポイントでツボを押すというよりも、爪や爪の周辺を全体的に刺激するといいでしょう。
ストレッチ
普段から首や肩周りの筋肉をストレッチしておくと、血行がよくなって緊張しづらい体になり、頭痛や不調も起きにくくなります。
② 両腕の力を抜いて下に下ろしたまま、肩甲骨を中央に寄せるように両肩を後ろに引き、胸をグーっと開きます。5秒キープしたら、力を抜きます。
これを5セット繰り返しましょう。
③ ばんざいをするように手の平を内側に向けて両手をまっすぐ上に伸ばし、5秒間キープ。
今度はそのまま左に傾け5秒間、中央に戻して右に傾け5秒間ストレッチします。
これを3セット繰り返しましょう。
もう頭痛や不調は怖くない! 気圧変動に負けない体づくり
気圧による頭痛や体調不良は、血管の拡張や神経が興奮することで起こるため、自律神経をしっかり整えておくことで症状自体が軽くなることがあります。
普段から
・朝起きたら日光を浴びて、朝食をしっかり摂る。
・朝・昼・晩と栄養バランスのよい食事を心がける。
・日中にウォーキングやストレッチなどの軽い運動をする。
・半身浴やぬるめのお湯などに入り、寝る前はリラックス。
・規則正しい生活で、質の良い睡眠をとる。
・ストレスを溜めない工夫をする。
など一見当たり前のようですが、日中はしっかり体を動かし、夜は深く眠るという生活が自律神経を整え、頑健で気象の影響を受けにくい体づくりの基本です。
子育てや仕事で忙しいと、自分のことは二に次になりがちですが、少しでも機嫌よく不調のない日を増やす工夫をしたいもの。
自分の体をちょっぴり労り、気圧や天気の変化に負けない体づくりを心がけましょう。
・気圧や天候の変化による頭痛や体調不良は、「気象病」「天気痛」と呼ばれる。
・耳の奥の「内耳」が気圧変化を察知し、頭痛を引き起こしている。
・自分の不調のリズムを知ることで、頭痛や不調に備えることができる。
・普段から自律神経を整えておくと、頭痛や体調不良になりにくい体になる。
(参考文献)
・NHK クローズアップ現代 | 体の不調 天気のせいかも⁉︎ 新研究で分かる対処法
・ココカラクラブ | 低気圧になると頭痛・関節痛が起こる「気象病(天気病)」とは?
・大正製薬 | 天気痛を防ぐには体のある部分をマッサージすると効果的