リーダーシップにも必須! 「周りを巻き込む力」はどう育てる?
更新日: 2023.01.04
投稿日: 2022.02.04
これからのリーダーに求められるのは、周囲を味方につけて他者の協力を得られる力。
まさに「巻き込む力」です。
スポーツでも学校の活動でも、1人でできることに限りはあっても、周囲を巻き込んでチームで動けば、まさに無敵!
しかし「大変だ!」「助けて!」とただ声をあげるだけでは、周囲が迅速に動き、気持ちよく助けてくれるとは限りません。
周囲に「この人と一緒になにかやりたい」「協力したい」と思わせる、パーソナリティとはなにか?
巻き込みに必要な力とはなんでしょうか?
もくじ
これからのリーダーシップ、それは「巻き込む力」
リーダーシップと聞くと、クラスの中でも目立つ子がぐいぐいと周囲を引っ張っていく姿を想像する人が多いかもしれません。
しかしこれからの時代、リーダーシップはずば抜けた力を持つ人が先頭に立ち引っ張るのではなく、チーム全体を束ねて全員の背中を押すような力が求められます。
そのためには、人とコミュニケーションを取り、相手の気持ちに共感したり、厳しい意見にも耳を貸したり、時には自分の弱みを見せることも必要になるでしょう。
例えば、運動会の運営を任された体育係の例で見ていきましょう。
運動会までに踊りやリレーなどの練習をさせ、係の分担もして、当日は誘導やアナウンス、道具の入れ替えなども行わなければいけません。
先生方と交渉して練習場所を確保したり、各クラスの委員長に協力してもらって、クラスごとに練習を進めてもらう必要もあるでしょう。
また当日の運営も、「前の競技終了時は、次の競技を待機している人が片付けを手伝う」など、係以外の人にも協力してもらうルールを作れば、片付けや誘導などもスムーズに進む可能性があります。
つまり体育係だけでは不可能に見える仕事も、台風のように周囲の力を取り込みながら大きな渦にしてしまえば、難なくできてしまうこともあるのです。
では具体的に周囲を巻き込んでいくには、どんな「力」が必要なのでしょうか。
人を巻き込むために必要な力とは?
これまでのリーダーシップは「カリスマ性」や「運動神経」など、生まれながらに備わった力に頼る部分が多かったでしょう。
しかしこの「巻き込む力」は、コミュニケーション力や共感力など、自分の努力や親の関わり方で身につけられる能力が鍵になります。
それは数値では測れない非認知能力と同じ。
人を巻き込み、多くの人を味方につけるためには、どんな力が求められるのでしょうか?
〇発信力
〇聞く力
〇観察力
〇ポジティブ思考
〇弱みを隠さない
発信力
周囲の人を巻き込むには「自分が何をしたいか」「どんな助けがいるか」などを具体的に伝える必要があります。
そのためには聞き手の共感を得て、味方になってもらえるような具体的かつ理解されやすい発信力が求められます。
聞く力
特にチームで動く場合、チームメイトが何を考え、どう感じているか、自分以外の人の意見を積極的に取り入れれば、周囲の人も当事者意識が高まり、巻き込まれていきます。
また不満や反対意見など、マイナスの意見にも耳を傾けられる寛容さも必要です。
観察力
周囲の人たちのキャラクターを理解し、得意・不得意を考えて役割や配置を決めれば、さらにパワーアップした協力が得られます。
また人の長所を発見できる観察力があれば、褒められた人もやる気になり、より協力しようと思うでしょう。
ポジティブ思考
暗くてマイナス思考な人物では、周囲は巻き込まれるどころか、離れていってしまいます。
チームメイトや仲間が失敗した時やくじけている時でも、前向きに励ますポジティブな性格は周囲を明るくよい雰囲気に変えます。
弱さを隠さない
自分の弱さや不得意分野を隠さずにさらけ出せば、周囲の人は親近感を持ち「助けてあげたい」と思うでしょう。
また「正直な人」「率直な人柄」と信頼度も高まり、さらに共感を得られる可能性も。
「巻き込む力」を持つ子に育てるために、家庭でできること
「周囲を巻き込む」「人へ働きかける」というのは、自分と他者との関係です。
子どもにとって、もっとも身近な他者である親や兄弟などの家族との関わり合いは、「巻き込み力」を育てるうえでも大切になるでしょう。
では、多くの味方を得られるような他者への働きかけができるようにするには、どんなことに気をつければいいでしょうか。
ポイントは以下の3点。
◯ 子ども主導で動く
◯ 子どもに説明させる
◯ チームで動く醍醐味を体験させる
子ども主導で動く
人から指示されることが当たり前になると、目標から逆算して行動したり、能動的に動いたりすることができなくなってしまいます。
能動的に動けない人が、周囲を巻き込んで何かを達成することは難しいでしょう。
例えば…
習い事に出かける時間になっても、あえて親から声をかけない。
「宿題は?」「学校からの手紙はなかった?」など、子どもの行動を促さない。
など親からの働きかけを減らして、いろいろなことを子どもにお任せしてみましょう。
最初は遅刻をしたり、提出物が遅れたりすることで、子ども自身が困ることもあるはずです。
しかし時間が経つと「自分で考えて行動しないとダメだ」と理解し、言われなくても計画や準備をして、行動に移すことができるようになります。
人はコントロールされるより、自分で自分の行動をコントロールしている時の方が気分がよく充実感があるものです。
自分で試行錯誤してうまく行動する快感を覚えると、どんどん主体的に動くようになるでしょう。
子どもに説明させる
周囲を味方につけるには、自分の行動や考えを理解してもらう必要があります。
そのためには「言葉で説明する」ことも大切です。
普段から子どもの話をよく聞き、子どもが自分の気持ちや行動の理由を言語化できるよう、癖をつけておきましょう。
例えば…
サッカーの試合で相手にわざとぶつかった。
友達に意地悪をして泣かせてしまった。
親にとって困った事態になった時も、「どうしてそうしようと思ったの?」「理由を教えてくれる?」と子どもに説明をさせてみましょう。
自分の気持ちを「聞いてもらえる」という安心感は、自己肯定感にもつながります。
また行動を言語化する習慣があると、物事を整理しながら考える癖がつくといわれます。
チームで動く醍醐味を体験させる
チームで何かに取り組むことは、楽しい面もあれば大変なこともあります。
自分勝手に行動できなくなり、チーム全員の意見や希望も聞いて、チームメイトの勝手な行動の責任はチーム全体に及ぶこともあります。
でも仲間と一緒に目標が達成できた時の喜びは、一人の時より何倍も嬉しいものです。
子どもが一番安心できる、一番小さな社会的単位である「家族」というチームで、いろいろなことに取り組んでみましょう。
例えば「週末キャンプ」。
1ヶ月後に設定したキャンプに向けて、子どもをリーダーに「楽しい家族キャンプ計画」を立ててみるのです。
最初は現地でのアクティビティや食事のメニューなど、やりたいこと・食べたいものなど簡単なものから決めていきます。
そのためには何をいつから準備すべきなのか(アクティビティの予約や道具類の買い物)、食材はいつ調達するのがベストなのかなど、親が考えて決めるのではなくリーダーを中心に計画してみましょう。
「妹や弟は小さいけど、軽い荷物なら運べるはず」
「お父さんにどれくらい運転したら交代したいか聞いてみよう」
「道具は買うのと借りるのでは、どっちが得か?」
など役割分担やチームメイトの意見収集なども自然にできるようになり、お金の感覚も養われます。
もちろん分からないことや、初めてのことには、親の助け舟を出してあげましょう。
キャンプが成功したら、「リーダーの働きのおかげだね」「◯◯によく気づいたね」と労いの言葉も忘れずに。
・これからのリーダーシップは「人をぐいぐい引っ張る力」よりも、「周囲を巻き込む力」が必要になる。
・周囲を巻き込むには、発信力・聞く力・観察力・ポジティブ思考・弱みを隠さない、などの力が必要。
・巻き込む力は生まれつきではなく、後天的に努力や考え方で身につけることができる。
・家庭で「巻き込む力」を育てるには、「子ども主導で動く」「子どもに説明させる」「チームの醍醐味を感じさせる」とよい。
リーダシップは、カリスマ性があったり、高い能力を持っていたりとそういう人たちがリーダーシップを発揮して、周りを引っ張ると思われがちですが・・・実は、周りの声に耳を傾け、意見を聞いたり、考え方を引き出したりして、それをまとめることの力の方が重要ということが分かりました!また、その力を子どもに身に付けるためには、与え続けるのではなく、失敗も含め、子どもたちに挑戦させて、考えさせること、そして経験させることが大切ですね!
変化の激しい時代になっているからこそ、様々な変化にみんなをまとめ対応できる力が必要になっていきますので、家庭でもリーダーシップが身に付くように意識しましょう!!
(参考文献)
・『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもずばぬけて活躍できる子を育てる』ミセス・パンプキン著、ダイヤモンド社
・朝日新聞EduA |育てたい子どものリーダーシップ 重要なのは資質ではなかった
・サカイク|普通の子にも求められるリーダーシップをどう育てるか