なぜ、足の速い子は「速い」の? 子どもの「走る力」は、生まれつき?それとも伸ばせる?
投稿日: 2026.09.11
運動会の徒競走で、毎年気になる「足の速さ」。
同じ年齢でも、スタートからぐんぐん加速していく子がいる一方で、走り方のコツや力の使い方がまだ掴めず、スピードに乗りきれていない子もいます。
では、足の速さは生まれつき決まるものなのでしょうか。
それとも、成長や運動経験によって伸ばすことができるのでしょうか。
この記事では、「足が速い子は何が違うのか」を解説。
家庭でできる運動遊びや、幼児期・小学生の時期に身につけたい「走る力」について紹介します。
「どうしてあの子は、あんなに速いの?」

「どうしてあの子は、あんなに速いの?」――運動会のかけっこを見て、そんな疑問が浮かんだことがあるのではないでしょうか。
足の速さには、生まれ持った体の特徴も関係しています。
その一つが、筋肉です。
筋肉には、瞬発力やパワーが必要な運動を行うときに活躍する「速筋」と、持続的な運動を行うときに活躍する「遅筋」があります。
短距離走では、スタートダッシュや地面を強く蹴る力が必要になるため、速筋の働きが重要です。
ただ、「速筋が発達している子=必ず足が速い」というわけではありません。
小学生の時期は、筋力だけでなく、その力をどれだけ上手に使えるかもポイントです。
特に9〜12歳ごろは、運動の基礎となる神経系が大きく発達する時期で、「ゴールデンエイジ」と呼ばれることもあります。
この時期に、おにごっこやドロケイ、サッカーなどで「急に走る、止まる、方向を変える」といった動きをたくさん経験していると、体を思い通りに動かす力が身についていきます。
かけっこの速さは「生まれつき」だけで決まるものではありません。
生まれ持った筋肉の性質に、運動経験や体の使い方が加わって、「速く走れる」につながっているのです。
参考までに、スポーツ庁が調査した令和7年度における小学生50m走のタイムを男子・女子別に紹介します。

(出典:令和7年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果/文部科学省)
足の速い子に共通する走り方の特徴とは

同じような体格、同じような筋力でも、速い子とそうでない子がいるのはなぜでしょうか。
その違いは、持っている力をどれだけ効率よく走る力に変えられるかにあります。
ここでは、足が速い子に共通する走り方の特徴を見ていきます。
地面に「長く乗らない」
足が速い子は、地面に足をついている時間が短い傾向があります。
地面に足をついている時間は、「接地時間」と呼びます。
速く走るためには、地面に長く乗ってから次の一歩を出すのではなく、短い時間で地面から力を受け取り、素早く次の一歩へつなげることが大切です。
接地時間が長くなると、体の動きにブレーキがかかりやすくなり、リズムも崩れます。
速い子ほど、地面を強く蹴っているように見えて、実は接地時間が短く、軽やかに前へ進んでいるのです。
「脚」ではなく「股関節」を使う
もう一つのポイントが、股関節です。
速い子は、ひざから下だけを一生懸命動かしているのではありません。
脚の付け根にある股関節を上手に使い、脚全体を大きく動かしています。
股関節は、太ももやお尻など大きな筋肉とつながっています。
ここをうまく使えると、脚を前後に大きく動かすことができ、歩幅を確保しながら地面から受けた力を前へ伝えやすくなります。
速く走ることは、脚を速く動かすことだけではありません。
体の中心に近いところから脚を動かすことも重要なのです。
「力み」が少ない
足が速い子をよく見ると、どこか余裕があるように見えることがあります。
もちろん本人は全力です。
でも、必要以上に体を固めてはいません。
大切なのは、すべての筋肉に力を入れることではありません。
力を入れるところと、抜くところを使い分ける。
これも、速く走るための大切な技術です。
「まっすぐな姿勢」が速さを生む
もう一つ見逃せないのが、姿勢です。
足が速い子は、走っているときの姿勢が安定しています。
・腰が落ちない。
・上体が前後に大きくブレない。
こうした安定した姿勢があることで、地面から受けた力を、無駄なく前へ進む力に変えることができます。
「走る力」は、どう伸ばせる?
では、子どもの「走る力」は、どうすれば伸ばせるのでしょうか。
大切なのは、速く走るためのフォームを一から覚え込むことより、自分の体を思い通りに動かす経験を増やすことです。
まずは「まっすぐ」を意識
走るときに意識したいのが、体の軸です。
上体が左右に大きく揺れたり、後ろに反ったりすると、地面から受けた力を前へ進む力につなげにくくなります。
とはいえ、「体の軸を安定させて」と言っても、子どもには少し難しいもの。
「おへそを前に向けて」
など、イメージしやすい言葉で伝えてみましょう。
腕を振ると、脚も動く
もう一つ意識したいのが、腕の振りです。
腕を前後にリズムよく振ることで、体全体の動きがスムーズになり、脚も動かしやすくなります。
「腕を大きく振って!」だけではなく、
「シュッシュッと前と後ろに振ってみよう」
など、子どもが動きをイメージできる言葉にすると伝わりやすくなります。
「強く蹴る」より「軽く弾む」
速く走ろうとすると、「地面を強く蹴って!」と言いたくなります。
しかし、力いっぱい蹴ることだけを意識すると、体が上下に大きく跳ねてしまうことも。
イメージしたいのは、地面から受けた力を使って、前へ軽やかに進むことです。
そこでおすすめなのが、縄跳び。
「ぴょんぴょん高く跳ぶ」よりも、「トントン、トントン」とリズムよく弾むように跳んでみましょう。
走るときの体の使い方を、遊びながら感じることができます。
「走る」以外の動きも大切
走る力を育てるために、走る練習ばかりする必要はありません。
鬼ごっこなら、走るだけでなく、急に止まったり、方向を変えたり、相手をよけたりします。
ケンケンパなら、片足でバランスを取ったり、跳んだりします。
ボール遊びなら、投げる、捕る、追いかけるといった動きも経験できます。
こうした「走る・止まる・跳ぶ・よける」などのさまざまな動きが、自分の体をコントロールする力につながっていきます。
幼児期から小学生の時期は、特別なトレーニングよりも、まず「夢中になって体を動かす時間」を大切にしたいもの。
そして、子ども自身が「もっと速く走りたい」と思ったら、姿勢や腕の振り方などを少し意識してみる。
速く走ることだけを目標にするのではなく、自分の体を思い通りに動かすことを楽しむ。
その積み重ねが、子どもの「走る力」を育てていきます。
子どもの「もっと早く走りたい」を実現するためのサポート

子どもが「もっと速く走りたい」と思ったとき、その気持ちを応援するのも、保護者にできる大切なサポートです。
では、どんなサポートができるでしょうか。
子どもと一緒に「走る」を楽しむ
ただ、「速く走るために練習しなさい」と言うだけでは、なかなか続きません。
大切なのは、子ども一人に頑張らせるのではなく、保護者も一緒になって体を動かすこと。
「一緒にやってみよう」と声をかけ、親子で鬼ごっこをしたり、短い距離を競争したり。
ときには子どもに走り方を教えてもらうのもいいかもしれません。
「練習」ではなく「遊び」として取り組めば、子どもも楽しみながら自然に体を動かすことができます。
子どもに伝わる言葉で声をかける
走り方について子どもに伝えるときは、できるだけシンプルな言葉を使いましょう。
「姿勢はまっすぐね」「腕をしっかり振って」と言われても、小さな子どもには具体的なイメージがわきにくいことがあります。
そんなときは、前述したように、
「腕をブンブン振ってみよう」
「地面をトントンって踏んでみよう」
など、子どもが動きをイメージしやすい言葉に置き換えてみると良いでしょう。
また、「速く走って!」という声かけよりも、「今の走り、腕がよく動いていたね」「前よりスタートダッシュがよくなったね」など、具体的な変化を見つけて伝えることが、子どもの「もう一回やってみよう」という気持ちにつながります。
子どもによって、理解しやすい方法も違います。
実際に一緒に動いてみるほうがわかりやすい子もいれば、動画や写真を見ながら確認するほうがイメージしやすい子もいます。
「どうしたら、この子により伝わるかな?」と考えながら、その子に合う方法を探してみましょう。
必要なら、専門家の力を借りる
親子で楽しみながら取り組んでみても、「どう教えたらいいのかわからない」「走り方を一度きちんと見てもらいたい」ということもあるでしょう。
そんなときは、スポーツ教室などで専門家に見てもらうのも一つの方法です。
専門的な知識を持つ指導者なら、子どもの年齢や体の発達、運動経験などに合わせて体の動かし方をアドバイスしてくれます。
家庭では気づきにくい「こんな動きが得意」「ここを少し変えると、もっと走りやすくなる」といった発見があるかもしれません。
「足を速くするための練習」という目的だけに限定せず、子どもが体を動かすことを楽しむきっかけとして、こうした場を利用してみるのもよいでしょう。
もちろん、必ずスポーツ教室に通わなければならないわけではありません。
・鬼ごっこをする。
・親子で縄跳び競争をする。
そんな日々の小さな経験も、子どもの「走る力」を育てていきます。
そして何より大切なのは、「速く走れるようになったか」だけでなく、「走るのって楽しい」と子どもが思えること。
子どもの「もっと速くなりたい」という気持ちを、親子で楽しみながら応援していきましょう。
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・かけっこの速さは「生まれつき」だけで決まるものではない。
・速く走るには、自分の体を思い通りに動かす経験を重ねることが大切。
・日々の小さな経験が、子どもの「走る力」を育てていく。
(参考文献)
「小学生の足が速くなる方法!自宅でできる裏技と正しい走り方を解説」(出典:JPCスポーツ教室)
「足が速い子の共通点は筋力ではない」(出典:トータルスポーツ)
「子供の足は本当に速くなる?遺伝だけで決まらない理由と伸ばし方」(出典:キャスク)
「足の速さは“生まれつき”じゃない!小学生でも改善できる理由とは?」(出典:BodyDesignstudioアスク)












専門家コメント
フリーライター・エディターとして、育児、教育、暮らし、PTAの分野で取材、執筆活動を行っています。息子が所属していたスポーツ少年団(サッカー)では保護者代表をつとめ、子ども時代に親子でスポーツに関わることの大切さを実感しました。PTA活動にも数多く携わり、その経験をもとに『PTA広報誌づくりがウソのように楽しくラクになる本 』(厚有出版)などの著作もあります。「All About」子育て・PTA情報ガイド。2 児の母。