親子で学ぶ「成長期×食×心」トータルバランスのとり方
投稿日: 2025.06.24

もくじ
成長期は『体の成長』だけじゃない!『心の発達』も見逃さない
「成長期」と聞くと、身長の伸びや体重の増加をイメージするお父さんお母さんが多いかもしれません。
しかし実際には、この「成長期」は“心の成長”にとっても非常に重要なタイミングなのを知っていますか?
子どもたちは思春期を迎えていこうとする中で、自分の意志をはっきり伝えようとする自我が芽生えたり、お友達との関係や競争意識が複雑になると同時に、自分に自信が持てたり、反対に「自分なんてダメだ」と感じてしまったりと、気持ちの浮き沈みが激しくなる時期でもあります。
そしてその気持ちの浮き沈みをどうしたらいいのかわからない感情として「もやもや」と表現することもあります。
スポーツに取り組む子どもであればなおさら、試合での勝敗、チームメイトとの関係、スタメン争いやポジション争い、指導者の言葉ひとつで気持ちが左右されることもあります。
こうした心の変化に対して、保護者が「寄り添ってあげたい」と思っても、どのように関われば良いのか迷ってしまうことも多いでしょう。
そのカギとなるのが、「日常の食卓」です。
食事は、ただ満腹になる、栄養を届ける、という役割だけでなく、親子がコミュニケーションを取る絶好の機会でもあります。
スポーツを頑張るお子さんの“心”と“体”の両方を支えるためには、「食を通じた心のケア」がとても効果的です。
ここでいう心のケアはメンタルトレーニングとはまた異なり、メンタルケアにあたります。
メンタルケアには「手で触れる、手当する、寄り添う、聞く」などがありますが、ここでは食で出来るメンタルのケアについて考えていきましょう。
ジュニアアスリートの食事、意識すべきは『心の消耗』にも対応すること
成長期におけるジュニアアスリートの食事では、「体づくり」や疲労回復ごはん、試合前のごはん、筋力UPのごはんなどの「コンディショニング」の視点が重視されます。
例えば、練習や試合後の疲労回復期には糖質とたんぱく質をある一定の割合でしっかりとる必要があることや、鉄やカルシウム、ビタミン類の摂取が大切であるといった知識は広く知られるようになってきました。
一方で見落とされがちなのが、『心の消耗、心の疲労』に対する食事でのサポートです。
試合での失敗や指導者からのお叱り、チームメイトとのすれ違いなどによって、子どもたちは目に見えないストレスを抱えていることも多いです。
こうした心の消耗、心の疲労感が食欲の低下や体調不良につながるケースも少なくありません。
食欲は交感神経が優位の状態では湧かず、「副交感神経」が優位のリラックスした状態で初めて湧きます。
練習や試合で交感神経が優位な状態から、いかにしてリラックスした状態をつくり食事を始めるかはとても大切です。
『心の消耗、心の疲労』に対する食事でのサポートでは次のようなことを注意してみましょう。
- 色合い豊かで「おいしそう!」と思える盛りつけ
→ 「おいしい」かどうかは舌ではなく、まずは目でみて感じます。視覚でもおいしさ、楽しさはを感じられるよう複数の色を意識し、「食べる楽しさ」から気持ちも前向きにしていきます。
食材の色は野菜からも皿の色からもピックなどの色からも取り入れることができます。 - 噛む回数が多い食材(根菜・きゅうりまるかじりなど)を取り入れる
→ 噛むことでリラックス効果を得て、気持ちの安定につなげます。
「よく噛んでね」と声をかけて一緒にもぐもぐ噛んで楽しく食べましょう。
噛んだ時の音にも注目です。 - お子さんの好きな味つけを
→ 疲れてそうだな、落ち込んでそうだなというときはまずお子さんの「好きなおかず」を。
「お母さんのごはんで何が1番好き?」と日頃から聞いておくと良いですね。
また「今日は何が食べたい?」と元気のない時、疲れていそうな時にも聞いてみて「これなら食べられそう」というものをぜひ作ってみてください。
また、食事中の会話も重要です。
「今日のエラーはなんでだっけ」「今日はミスしたね」「どこがだめだった?」など決して反省会をしないように。
「今日の練習、どこが難しかった?」「疲れたけど、最後まで頑張ってたね」とお父さんお母さんが『頑張ったね』と声かけしたり、「監督がここが良かったと言ってたよ」「〇〇くんのお父さん上手になったってほめてたよ、ほめられてお母さんうれしかったな」と第3者からの言葉を伝えることでも『心の消耗、心の疲労』を癒していくことができます。
トータルバランスのカギは「日常にある小さな習慣」
スポーツと成長期の食事において、何よりも大切なのは「毎日の積み重ね」「続けること」です。
たとえば、次のような習慣は、食・体・心のバランスを整える強力な土台となります。
①“食の準備”を一緒にする
たとえ5分でも、一緒に野菜を切ったり、盛りつけを手伝ったり、箸を出す、テーブルを拭くなど準備をする時間は、「食」への興味と責任感を育てます。
子ども自身が食に関わることで、「自分の体は自分でつくる」という意識が芽生えます。
②「ありがとう」を伝える
ごはんの準備してくれた人への感謝、頑張って練習や試合をしてきた人(お子さん)へのねぎらいの言葉が、家族間の信頼を深め、『安心できる居場所』としての家庭をつくります。
これは非認知能力(共感力・協調性)の育成にもつながります。
③「体の声」を聞く習慣
お腹が空いているとき、食べたくないとき、疲れているとき…そうした自分の感覚を言葉にして伝えることは、心と体のつながりを理解する第一歩です。
「今日は疲れて食べたくないかも」と言えることを肯定しつつ、その上でどうサポートできるかを一緒に考える時間も、子どもの内面の成長にとって非常に価値があります。
「体の声」を聞いてそれを伝えられるようになったら、次は「そんな時はどうしたらいいか」を一緒に考える時間を過ごしてみてください。
家庭の『日々の食卓』が安心できる居場所になる
スポーツの場では、うまくなること、スタメンになること、スキルや戦術を磨くことに目が向きがちですが、家庭ではまずその競技を頑張っていることそのことがすでに褒められるべきこと、と伝えてあげてください。
特に成長期の子どもは、「できない自分」「変化する体」「人との比較」など、多くの不安を抱えています。
だからこそ、お父さんお母さんが『日々の食卓』を通じて「言える場所づくり」「言える雰囲気作り」「安心していられる場所」をつくることが、安心と自信につながるのです。
家庭でできる成長期のお子さんのサポートは、特別なことではなく、「気にかけているよ」「いつも見ているよ」というメッセージを届けること。
その積み重ねが、子どもたちの未来を支える“非認知能力”として根を張っていきます。
スポーツと食、そして心の健康をトータルに支える存在として、親子で学び合う時間をどうぞ大切にされてください。
コメント
スポーツを頑張る子どもを持つ母親として、子どもたちの体つくり、怪我予防、健やかな成長に欠かせない大切なことを 広く伝えていくべく活動をしています。保護者の皆様がお子さんの一番のサポーターとなれるよう、お子さんの成長を末長くサポートできるよう、「お母さんが、無理をしない」をモットーに掲げて 毎日のごはん作りはもちろん、2018年からはスポーツを頑張るお子さんをお持ちのお母さんの個人サポートに取り組んでいます。