「親バカ」と「バカ親」、どう違う?子どもの成長を応援する親になるには
更新日: 2025.06.03
投稿日: 2025.06.20

わが子を愛する気持ちは、親にとって自然な感情です。
「うちの子が一番!」と思うのは、多くの親が経験することでしょう。
しかし、愛情が行き過ぎて「親バカ」と言われることもあれば、時には子どもの成長を妨げてしまう「バカ親」になってしまうこともあります。
「親バカ」と「バカ親」、この2つの違いはどこにあるのでしょうか。
そして、子どもの成長を心から応援できる「親バカ」になるためにはどうすれば良いのでしょうか。
もくじ
自分を「親バカ」だと思いますか?
あなたは、自分を「親バカ」だと思いますか?
WEBサイト「HugKum」が0~12歳までの子どもをもつママパパに向け実施したアンケートでは、多くのママパパが「自分は親バカだと思う」と回答しています。
「親バカ」エピソードとして、以下のような内容があげられます。
「幼稚園で描いてきた、何が描いてあるのか分からないようなぐちゃぐちゃな絵も、私には有名画家の絵に見えます。全部捨てずにファイルに保存しています(笑)。」
「保育園の運動会で、うちの子だけ逆走。『わが道を行くタイプで面白い!』と感心し、写真と動画を何枚も撮りました。」
「初めて寝返りができた時、思わず『天才!』と叫んでしまいました。その時の動画を何度も見返して、そのたびに涙ぐんでいます。」
「普段は甘えん坊の息子が、園の発表会でたった一人でセリフを言えた時、客席で号泣してしまいました。周りのママ友に引かれましたが、もうどうでもよかったです。」
これらのエピソードは、まさに親が子どもに深い愛情を抱いている証です。
わが子を心から愛し、その成長を喜び、少しでも良いところを見つけては感動する。これこそが「親バカ」の愛おしい姿と言えるでしょう。
「親バカ」と「バカ親」の違い
では、「親バカ」と「バカ親」は何が違うのでしょうか?
一見すると似ているように見えるかもしれませんが、その違いは子どもの成長に大きな影響を与えます。
「親バカ」とは
親バカとは、広辞苑によると、「親が子を可愛がるあまりに理性を失い、他人からは愚かと見える言動をすること」とあります。
意訳すると、「子どもを心から愛し、その成長や個性を肯定的に捉える親」といえるでしょう。
「親バカ」の特徴は、以下の通りです。
・子どもの失敗を責めるのではなく、次の成長につながる学びとして捉える。
・抱きしめたり、言葉で愛情を伝えたりと、子どもに安心感を与えます。
・子どもの自立を促し、必要な時には手を差し伸べますが、過干渉にはなりません。
「親バカ」の具体的なエピソードを紹介します。
「友だちと喧嘩して泣いて帰ってきた息子に、『よく自分の気持ちを伝えられたね』と声をかけ、一緒に解決策を考えた」
「絵が苦手な娘が一生懸命描いた絵を、家族みんなで『素敵な絵だね!』とほめたら、自信をつけてくれた」
微笑ましく、親ならではの愛情を子どもに注ぐ「親バカ」は、子どもの自己肯定感を育み、チャレンジ精神を芽生えさせ、社会性を身につける手助けをします。
子どもは親から無条件の愛情と信頼を得ることで、安心して新しいことに挑戦し、自分らしく成長していくことができるでしょう。
「バカ親」とは
一方、バカ親とは、誤った愛情表現や過度な期待、過保護・過干渉などによって、子どもの成長を阻害してしまう親を指します。
子どものためを思っての行動でも、結果として子どもの自立心や社会性を損なってしまうことがあります。
「バカ親」の特徴は、以下の通りです。
・自分の夢や果たせなかったことを子どもに託し、子どもが望まないことまでやらせようとする。
・子どもが自分でできることまで親が手を出したり、子どもの交友関係や行動を細かく管理しようとする。
・子育てについて周囲から指摘されても、「うちはうちだから」と聞き入れない。
・子どもが問題を起こした際に、子どもの代わりに親が謝罪したり、責任転嫁したりする。
「バカ親」の具体的なエピソードを紹介します。
「子どもがテストで良い点を取れなかった時、『努力が足りない』と厳しく叱責し、子どもが勉強嫌いになった」
「小学校の宿題を親が手伝ってしまい、子どもが自分で考える力が育たなかった」
「子どもの意見を聞かずに、親の意向で進路や習い事を決め、子どもが不登校になってしまった」
「公園で子どもが他の子に怪我をさせてしまった時、相手の親に『うちの子は悪くない』と主張してトラブルになった」
このような関わりは、子どもの依存心が強まり、自己肯定感の低さ、コミュニケーション能力の欠如、問題解決能力の低下といった悪影響を及ぼす可能性があります。
子どもは親の顔色をうかがうようになり、自分の意見を言えなくなったり、失敗を恐れて新しいことに挑戦できなくなったりすることもあります。
あなたは「親バカ」?「バカ親」?チェックリスト
自分は親バカなのか、それともバカ親の傾向があるのか、以下のチェックリストで考えてみましょう。
子どもとの日々のやりとりを思い浮かべながらチェックしてみてください。
◻︎子どもが少しでも成長したことを見つけると、それを言葉や態度で伝えている。
◻︎子どもが「これやりたい!」と言ったことに対して、まずは「いいね!」と肯定的に受け止めている。
◻︎子どもが失敗した時、「大丈夫、次があるよ」と励ましたり、「どうしたら良くなるかな?」と一緒に考えたりしている。
◻︎子どもの個性を「面白いね」「そういうところが好きだよ」と肯定的に捉えている。
◻︎子どもを抱きしめたり、「大好きだよ」と伝えたりと、愛情を表現することをためらわない。
◻︎子どものために何かをするとき、見返りを求めず、心から「楽しんでほしい」「喜んでほしい」と思っている。
◻︎子どもの友だちや先生、習い事のコーチなど、子どもの周りの人たちを尊重している。
◻︎子どもが欲しがるものは、どんなに高価なものでもすぐに買い与えてしまう。
◻︎子どもの将来について、子どもの意見を聞かずに自分の希望を押し付けている。
◻︎子どもが自分でできることでも、「危ないから」「遅いから」とつい手を出してしまう。
◻︎子どもの交友関係や行動を、四六時中把握していないと不安になる。
◻︎子どもが学校や習い事で問題を起こした時、「うちの子は悪くない」と子どもの非を認めようとしない。
◻︎子どもが泣いたり、不機嫌になったりすると、すぐに子どもの言いなりになってしまう。
◻︎子どもを叱る時、感情的に怒鳴りつけたり、他の兄弟や友だちと比較したりする。
いかがでしたか?
「親バカ度チェック」に多く当てはまるあなたは、あたたかい愛情を持って子どもの成長を応援できる「親バカ」の傾向が強いと言えるでしょう。
「バカ親危険度チェック」に当てはまる項目があった場合は、子どもとの関わり方を見直す必要があるかもしれません。
度を超えた行動による子どもへの影響は?
「バカ親」と言われるような度を超えた行動は、子どもの成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、過度な期待、過保護、過干渉は、子どもの健全な発達を妨げることが多いといえます。
自分の意見を言えなくなってしまう
親が常に子どもの意見を否定したり、親の価値観を押し付けたりすると、子どもは「自分の意見を言っても無駄だ」「どうせ聞き入れてもらえない」と感じるようになります。
その結果、自分の考えを表現することが苦手になってしまいがちです。
自己肯定感が低下する
親が子どもに対して過度な期待をかけ、達成できないと厳しく叱責したり、他の子と比較したりすると、子どもは「自分はダメな子だ」「何をしても褒めてもらえない」と感じ、自己肯定感が低下します。
自分の存在価値を認められなくなり、何事にも自信を持てなくなってしまいます。
問題解決能力が育たない
過保護な親は、子どもが困ったときにすぐに手を差し伸べ、子ども自身に問題解決をさせようとしません。
これにより、子どもは自分で考え、工夫し、困難を乗り越える経験を積む機会を失います。
結果として、ちょっとした困難に直面しただけでパニックになったり、他人に依存したりするようになってしまう傾向があります。
依存心が強くなる
過干渉な親は、子どもの行動範囲を制限し、友達選びにまで口を出すことがあります。これにより、子どもは親に常に依存し、自立心が育ちません。親がいないと何もできない、決断できないといった状態になり、社会に出てからも周囲に流されやすくなる傾向があります。
挑戦することに臆病になる
親が子どもの失敗を極度に恐れ、リスクを回避しようとするあまり、子どもが新しいことに挑戦する機会を奪ってしまうことがあります。
「危ないからやめなさい」「失敗するからやめておきなさい」といった言葉は、子どもの好奇心や探求心を削ぎ、挑戦することに臆病な性格を形成してしまうこともあります。
社会性が身につかない
子どもがトラブルを起こした際に、親が子どもの責任を認めず相手に謝罪しなかったり、責任転嫁したりする姿を見ていると、子どもは社会のルールやマナーを学ぶ機会を失います。
また、過保護な環境で育つと、他者との協調性や共感性が育ちにくく、人間関係でつまずきやすくなることがあります。
「親バカ」と「バカ親」、愛情の向け方とその影響
親バカとバカ親の大きな違いは、愛情の向け方とその影響にあります。
親バカは、子どもを信じ、その成長を心から応援するポジティブな愛情であり、子どもの自己肯定感や自立心を育みます。
一方、バカ親は、誤った愛情や過度な期待によって、子どもの成長を阻害し、自己肯定感の低下や依存心の強さを招いてしまう可能性があるといえるのではないでしょうか。
親バカ心は家族内で共有するのがおすすめ
「うちの子が一番!」という親バカ心は、家族の絆を深める素敵な感情です。
夫婦間で子どもの自慢話を共有したり、祖父母と孫の可愛いエピソードを語り合ったりすることで、家族全体の幸福感が高まるでしょう。
家族みんなで子どもの成長を喜び、応援する姿勢は、子どもにとって安心感と自信につながります。
SNSでの載せ方には注意
現代では、SNSで子どもの写真を共有することも一般的になりました。
学校や園、習い事でのわが子の活躍ぶりなどをSNSで発信する保護者も少なくありません。
しかし、子どもの個人情報保護やプライバシーには十分注意が必要です。
大前提として、子どもの顔がはっきりとわかる写真や、学校・園名、住所が特定できるような情報は避けましょう。
SNSに子どもの写真を投稿する際は、以下に注意しましょう。
・個人が特定できる情報の記載を避ける。
・不特定多数が見る可能性があることを認識する。
・子どものネガティブな情報を載せない。
子どもの成長を喜び、愛情を注ぐことは素晴らしいことです。
しかし、その愛情が間違った方向に向かないよう、常に子どものことを一番に考え、健全な「親バカ」を目指しましょう。
あなたの子どもへの愛情は、きっと子どもの未来を明るく照らす光になるはずです。
・「親バカ」と「バカ親」は「似て非なるもの」と知っておこう。
・親として、「親バカ」傾向にあるのか、「バカ親」傾向にあるのか客観的に知ってみよう。
・子どものすこやかな成長のために、「健全な親バカ」をめざそう。
参考文献)
「私って、親バカかも…? 愛情溢れすぎたママ・パパのエピソード集」(出典:HugKum)
「子どもを伸ばす“親バカ”の特徴とダメにする“バカ親”の違いとは?」(出典:SHNGA FARM)
「子どもを開花させる”親バカ”と、潰す”バカ親”の違い」(出典:オールアバウト)
「親バカぎみの親の子のほうが着実に伸びる…心理学者子供の能力を引き出す”禁断の声かけフレーズ”」(出典:プレジデントオンライン)