自己肯定感も高まる!?子どもの短所を直すよりも長所を伸ばそう
更新日: 2025.05.28
投稿日: 2025.05.23

もくじ
日本人の子どもは自己肯定感が低い!?
こども家庭庁が実施した「わが国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査」(令和5年度調査)によると、日本人の子どもが「自分自身に満足している(そう思う・どちらかといえばそう思う)」と思っている割合は、57.4%。
平成30年度調査の45.1%に比べると、12.3%の上昇となったものの、
アメリカ 73.2%
ドイツ 74%
フランス 75.7%
スウェーデン 72.3%
などの諸外国と比較すると、まだまだ低いことがわかります。
ではなぜ日本人の子どもの自己肯定感は低い傾向があるのでしょうか。
・謙遜が美徳とされ、謙虚さが求められる
・自分を肯定することが「不遜」「思い上がり」と解釈されてしまう
など、文化的な背景や親のしつけの仕方などにも要因がありそうです。
子どもの気になる行動や性格との向き合い方
「なぜうちの子は落ち着きがないのかしら」
「どうして自分の意見をはっきりと言えないの」
「協調性がないのが心配」
子どもに幸せでいて欲しい、幸せな人生を歩んで欲しいと望むあまり、子どもの苦手なことや短所ばかりが気になり、直すにはどうすればいいのかと悩んでいる親は多いのではないでしょうか。
『「自己肯定感」育成入門(平岩国泰著)』に、日本の教育はまだまだ平均的な人間を育てる傾向にあり、苦手なことを克服させて子どもを均一化しようとすると書いてあります。
今の親世代が子どもだった時は出来ないことを出来るようにするという考え方の中で育ってきたので、自分の子どもにも同じように苦手なことを無くそうと考えるのは当然のことです。
そのため、短所を直すことよりも長所を伸ばすことを大事にするという考え方は、なかなか取り入れにくいかもしれません。
まず、親として子どもの気になることをどう受け止めたらいいのか、基本的な考え方を、『「自己肯定感」育成入門(平岩国泰著)』からご紹介します。
本著の中に、子どもの長所と短所について下記のように記述している箇所があります。
どんな子でも「長所しかない」「短所しかない」という子はいません。
短所はその子の個性であり、長所の裏返しでもあるからです
人は一人一人違っているのは当たり前で、子どももそれぞれに個性があります。
子どもの持っている素質を親が短所や長所と区別するのではなく、すべてひっくるめて個性と受け止めてみてください。
自分の意見を通そうとする子どもはきちんと自己主張ができると言えます。
また、頑固な子どもは粘り強く諦めない性格とも言えます。
親が「よい」「悪い」を判断するのではなく、発想を転換して子どもに接することで、子どもの性格や考え方をより深く受け止めることができます。
子どもの成長や発達には個人差があり、幼ければ幼いほど差があるものなので、長い目で見守ることが大切ですね。
長所を伸ばすことは自己肯定感にもつながる
短所を無理に克服させようとするのではなく、長所に目を向けることで、子どもはありのままの自分を受け止めてもらっていることに、嬉しさと自信を感じます。
子どもは得意なことを褒められることで、自信をつけて自己肯定感を伸ばしていきます。
また、苦手と思っていたことでも成長とともに引き上げられて伸びていくこともあります。
『「非認知能力」の育て方』の中で、著者のボーク重子さんはこのように語っています。
これまでの日本の教育には、子どもの欠点を直してオールマイティな子どもにするという発想があったように思います。
今の日本では何でも均等にできる子が難関大学に入りやすいようですが、今後それは大きく変わっていくと思いますし、自己肯定感を伸ばすためには、その子の長所に注目して伸ばすことが重要だと思うのです。
アメリカの学校では、誰にでもできないことや苦手なことがあるのは当然で、そこを無理に直すより、できることや好きなことを伸ばす方がいいという考え方が主流です。
大人でも毎日自分の短所ばかりを言われていたら、やる気や自信を失ってしまいますね。
短所や気になる部分を基準にしてしまうと、日常的に叱ることが増えてしまうでしょう。
無理に短所を改善しようとするのではなく、子どもの長所や好きなことを褒めて伸ばすことを基準にすれば、子どもは自信を身に付け、苦手なことにもチャレンジしてみようと前向きな発想に変わっていきます。
自己肯定感が高まるような声かけをしてみよう!
自己肯定感はある日突然身につくものではなく、日々家庭内での声かけや接し方がとても大切になります。
子どもが自己肯定感を感じやすくなるような、具体的な声かけ例をいくつか見てみましょう。
・あきらめないで最後までやり切ったね
・自分のことだけじゃなくて、周囲のこともサポートしてた
・細かいところまでよく気付いたね
・集中力がすごかった
・アイデアが面白いね
・昨日はできなかったのに、できるようになった
・あなたがいてくれて幸せ
・いつでも味方だからね
・話が聞きたいからもっと話して
・あなたがいるから家族が明るくなるよ
・自分のペースでやればいいよ
・あなたが考えた方法でやってみよう
・問題ない、大丈夫だよ
・どんな話でも聞くよ
・失敗してもいいんだよ、大人だって失敗するよ
・焦らないでゆっくり自分のペースでいいよ
・わからなかったら一緒にやるよ
・ここにいるからね
・頑張ってるところ、ずっと見てた
最初はぎこちなくなるかもしれませんが、毎日肯定的な声かけをしていくうちに、子どもの「よい面」が目につくようになってくるでしょう。
励まされて、ポジティブな声かけをしてもらううちに、きっと子どもも前向きな気持ちになり自己肯定感もすくすく育ちますね。
まずは親の意識を変えていこう!
平均的であることを求められてきた親にとって、その考え方を変えることは簡単ではないかもしれません。
しかし、子どもが前向きに自己肯定感を感じるようになるには、まずは親の意識を変えることが大切。
自分の子どもとどう接していけばいいのか、具体的な考え方や親として子どもにできることをまとめてご紹介します。
短所を克服させようとしない
短所ばかりに目を向けて、無理に克服させようとする必要はありません。
子どもの長所や好きなことに着目して、得意分野に時間を割くようにしていきましょう。
自信を持つことがやる気をアップさせ、できなかったこともできるようになる可能性もあります。
親が子どもについて決めつけをしない
「この子はこういうタイプ」「これが苦手」などと、親が一方的に決めつけるのをやめましょう。
子どもには無限の可能性があり、型にはめてしまうことで成長を妨げてしまうかもしれません。
子どもに意見を聞き、本人に選ばせれば、きっと自信がある選択肢を選ぶはず。
前向きに自信のある行動をすることで、成功率はグンとアップし、プラスのスパイラルが生まれます。
親がポジティブな考え方でいる
親がどのような考え方でいるのか、それは子どもにも敏感に伝わります。
親がポジティブな考え方をしていれば、子どもも前向きになり、積極的に物事に取り組み、自信につながっていきます。
子どもが苦手としていることはさておき、楽しそうに取り組んでいるものや「好きなもの」にフォーカスして一緒にワクワクできるのがベストですね。
親が子どもの話を聞ける体勢にする
子どもは本来、お母さんやお父さんに話をするのが好きなはずです。
子どもの話をよく聞いてみれば、「好きなこと」「得意なこと」が何なのかがよく理解できるでしょう。
そして子どもが前向きに楽しんでいることや、目を輝かせて取り組んでいる姿をよく観察してみましょう。
不得意なことを克服するよりも、得意を伸ばす方が何倍も成長することがわかります。
親自身の自己肯定感を高める
親自身の自己肯定感が低いと、否定的なことを言ってしまったり、きょうだいで比べてしまったりと、子どもの自信を奪う言動が増えてしまいます。
子育てをしながら自己肯定感を高めるのは難しいように感じますが、子どもの前向きさや明るさの助けを借りましょう。
・今日あった楽しいこと発表会をする
・くだらない冗談でゲラゲラ笑う
・公園の遊具で本気遊びをする
など、小さな楽しいことを積み重ねて、家族全体の自己肯定感を上げてみるのもプラスになります。
自己肯定感は年齢に関係なく、少しずつ「考え方の癖」を変えることで高めることができます。
親自身が「楽しいこと」「好きなこと」を生活に取り入れることで、「好きなことを深める方がプラスになるな」「得意なことばかりをしていたら、いつのまにか不得意なことが少なくなった」などの副産物があるでしょう。
日々短所に注目してイライラするよりも、できることや長所に着眼して気分を軽くしていきましょう。
・子どもの得意不得意を長所や短所と考えるのではなく、個性と受け止める。
・子どもの得意なことを伸ばすことは自己肯定感を高めることにもつながる。
・親の考え方やどのような環境を与えるかで、子どもは自分の可能性を広げていく。
今回皆さんにお伝えしたかったのは、親が視点を変えることで親子ともに見える風景は変わっていくということです。
親が子どもの苦手なことを直すことばかり考えていたら、親子ともに疲れてしまいます。
誰にでも好きなこと得意なことはあります。
そこに視点を合わせて子どもをたくさん褒めてあげてください。
一番身近な親から認められることで子どもは自己肯定感を高めていきます。
(参考文献)
・「自己肯定感」育成入門(著者:平岩国泰)
・「非認知能力」の育て方(著者:ボーク重子)
・ベネッセ教育情報サイト|子どもの短所は長所にもなる
・LEE|「自己肯定感」の低さとはどう付き合えばいいの?松村亜里さんに聞きました