デジタル社会に親子で向き合う!切っても切り離せないデジタル・シティズンシップ
更新日: 2025.03.13
投稿日: 2025.03.18

インターネットを使用する際の責任ある行動を促すことを目的としたデジタル・シティズンシップ教育。
「インターネットや情報端末が普及している今、子どもたちがこれらを安全に利用しながら健全な成長を図ることが必要である」という考え方が注目されています。
園・小学校低学年時代から、親子でデジタル・シティズンシップについて知り、インターネットや情報端末と上手に向き合っていきましょう。
もくじ
知っておこう! デジタル・シティズンシップの基礎知識
デジタル・シティズンシップという言葉、聞いたことはありますか?
デジタル・シティズンシップは、欧州評議会の「Digital Citizenship Education Trainers’ Pack」で提唱された「デジタル技術の利用を通じて社会に積極的に関与し、参加する能力」とされています。
よりかみくだいて表すと、「インターネットやスマホなどのデジタル技術を使って、社会に積極的に関わり、より良い社会を作るために参加する力」ということ。
例えば、以下のような行動がデジタル・シティズンシップにあたります。
・SNSで社会問題について意見交換したり、署名活動に参加したりする。
・オンラインで地域のイベントに参加したり、ボランティア活動をしたりする。
・インターネットで困っている人を助けたり、正しい情報を広めたりする。
また「デジタル・シティズンシップ教育」とは、「すぐれたデジタル市民になるために必要な能力を身につけることを目的とした教育」をさします。
デジタル・シティズンシップが必要なのは子どもたちだけではなく、その保護者も同様です。
「うちの子にはまだ早いから・・・」と思う前に、まずは保護者として、デジタル・シティズンシップについて知っておくことが大切です。
情報モラルとデジタル・シティズンシップの違い
デジタル・シティズンシップと情報モラルは、どちらもデジタル社会における行動規範を指しますが、考え方や目的が異なります。
⚫️考え方
主に、インターネット上の危険やトラブルを回避するための知識や態度に焦点を当てます。
個人情報の保護、著作権の尊重、ネットいじめの防止など、具体的なルールやマナーを教えることが中心です。
⚫️目的
デジタル技術を安全に利用し、トラブルに巻き込まれないようにすることを目的とします。
どちらかというと、デジタル技術の負の側面に着目し、危険を回避することに重きをおいています。
⚫️考え方
デジタル社会における市民としての権利と責任、倫理観、行動規範など、より広い概念を指します。
単に危険を回避するだけでなく、デジタル技術を積極的に活用し、社会に貢献できるような人材育成を目指します。
オンラインでの適切なコミュニケーション、情報リテラシー、デジタル社会への参加など、ポジティブな側面も重視します。
⚫️目的
デジタル社会において、自律的かつ責任ある市民として行動できるような人材を育成することを目的とします。
デジタル技術を使い、より良い社会を形成していくという考え方です。
情報モラルは「危険回避」に重点を置くのに対し、デジタル・シティズンシップは「社会参加」に重点を置きます。
また、情報モラルは「ルール遵守」を重視するのに対し、デジタル・シティズンシップは「倫理的判断」を重視します。
さらに、情報モラルはどちらかというと受け身の姿勢に対して、デジタル・シティズンシップはより能動的な姿勢を求めます。
情報モラルはデジタル社会における「安全運転」の知識、デジタル・シティズンシップは「良き市民」としての行動規範と言えるでしょう。
近年では、デジタル社会の進展に伴い、情報モラル教育に加え、デジタル・シティズンシップ教育の重要性が高まっています。
家庭でできる!デジタル・シティズンシップ教育 4つのポイント
現代社会において、子どもたちがデジタル機器と上手に付き合い、安全に活用していくことは非常に重要です。
家庭でできるデジタル・シティズンシップ教育の4つのポイントを、具体例を交えながら解説します。
デジタル機器を一緒に使いながら、子どもが自律する基礎を作る
子どもと一緒に動画を見たり、ゲームをしたりする時間を意識して作りましょう。
「面白いね!」「どうしてこうなったんだろう?」など、わが子の感想や疑問に耳を傾け一緒に考えることで、子どもの主体的な思考を促すことができます。
子どもが興味を持ったことをデジタル機器で調べるのを手伝い、情報収集のスキルを教えるのもよいでしょう。
一方的にルールを押し付けるのではなく、一緒にデジタル機器を使うことで、お子さんのデジタル機器への理解を深め、自律的な使い方を促します。
使う時の約束や、おしまいの合図を決める
「1日30分まで」「夜9時以降は使わない」など、使う時の約束を決めましょう。
「タイマーがなったらおしまいね」など、タイマーやアラームなど、時間管理に役立つツールを活用すると、区切りがつきやすくなります。
ルールを守ることで、デジタル機器との適切な距離感を身につけ、使いすぎを防ぐことができます。「ルールを守れた時は褒める」など、ポジティブな声かけを心がけましょう。
デジタル機器を「何かを作るツール」としても使う
デジタル機器は、創造的な活動にも活用できます。
子どもが撮った写真や動画を編集して家族で共有したり、プログラミング学習アプリなどを使って、ゲームやアニメーションを作ってみたりなど、「何かを作るツール」として使うのもよいでしょう。
子どもの表現力や創造性を育みながらデジタル機器の可能性を感じることができます。
デジタル機器を使う目的を意識させる
「今日の宿題で必要な情報を調べよう」「おじいちゃんにビデオメッセージを送ろう」など、目的を意識させながら使いましょう。
また、ゲームをする時も、「集中力を高めるために30分だけ遊ぶ」など、メリハリのある使い方を習慣づけ、デジタル機器との健全な関係を築きましょう。
家族で「デジタルデトックス」も忘れずに!
デジタル・シティズンシップと同様に大切なのが、デジタルデトックスです。
デジタルデトックスとは、デジタル機器から一定の距離を置いて使用しないことにより、心身のストレスを軽減することを指します。
・ 食事の時間、テーブルの上にデジタル機器を置かない。
・ デジタル機器にさわらない日を定期的につくる。
など、家族で話し合い、デジタルデトックスのルールを決めましょう。
デジタル機器はこれからの時代に不可欠なものだからこそ、自分の意志で「使わない」時間を作り、使いこなすことが必要です。
子どもは親のことをよく観察しています。
子どもにだけルールを守らせるのではなく、まずは親がルールを守り、子どもと過ごす時間は子どもに意識を集中させるようにしましょう。
画面の中の世界に夢中になるよりも、目の前の出来事に注意して、家族や自分の気持ちに向き合うことが大切です。
デジタル・シティズンシップとデジタルデトックス。
共に、これからの時代に欠かせない考え方です。親自身も学びながら、子どもと共にデジタル社会を生き抜く力を育んでいきましょう。
・デジタル・シティズンシップは、子どもはもちろん保護者にとっても大切。
・親子で上手にデジタル機器を使いながら、子どもを自律の道へ。
・デジタル・シティズンシップとデジタルデトックス。共にしっかり学ぼう。
参考文献)
「ルールや声かけなど、年齢・発達段階別デジタル・シティズンシップ教育実践ポイント」(出典:FQ Kids)
「家庭で学ぶデジタル・シティズンシップ」(出典:総務省)
「デジタル・シティズンシップとは」(出典:みんなの教育技術)
「夏休み、スマホの使い過ぎ予防!親子でデジタルデトックスに挑戦」(出典:はたかな)