子どもが花粉症かも?見分けるためのチェックリスト
投稿日: 2025.03.04

春先になると、子どものくしゃみや鼻水の量が増えたり、目をこすったりする仕草が増えたりすることはありませんか?
その症状、もしかしたら花粉症かもしれません。
近年、子どもの花粉症が増えているといわれています。
この記事では、子どもの花粉症の原因や症状、風邪との見分け方、日常の中でできる対策などについて紹介します。
もくじ
子どもが花粉症かも?見分けるためのチェックリスト
まずは、わが子が花粉症かどうかを見分けるチェックリストを確認してみまししょう。
以下、あてはまるものにチェックを入れてください。
◻くしゃみをよくしている。
◻しょっちゅう鼻をこすっている。
◻透明でさらさらした鼻水が出る。
◻鼻づまりの症状がある。
◻家族にアレルギー(花粉症を含む)のある人がいる。
◻アトピーやハウスダストのアレルギーがある。
◻寝るとき口呼吸でいびきをかくことがある。
◻目をかゆがり、こする頻度が多い。
◻目が充血している。
◻昼間にぼーっとしていることがある。
いかがですか? チェックの数が多ければ多いほど、花粉症の可能性が高いといえます。
子どもは自分の症状に気づきにくい点もあるため、心当たりがある場合は、小児科または耳鼻咽喉科、アレルギー科、また目のかゆみが強い場合は眼科を受診しましょう。
子どもの花粉症が増えている
花粉症は全世代で年々増えていますが、なかでも子どもの花粉症は、20年ほど前から急に増え出しています。
下のグラフの四角で示したように、子どもの花粉症は、この20年で
・0~4歳でも1.7%から3.8%と微増 (約2倍)
となっています。
(1998、2008、2019年の年齢層別スギ花粉症有病率 「鼻アレルギー診療ガイドライン2020」より)
いちばんの原因は「花粉の飛散量が増えていること」だといわれています。
日本気象協会が発表する花粉飛散量は年によって多少の増減はあるものの、総じて増加傾向にあります。
また、子どもの場合、アレルギー疾患自体が増えてきています。
近年、住宅環境の気密性が高くなり、カビやダニが発生しやすくなったことや、衛生環境がよくなりウイルスや細菌に対する免疫力が育まれにくいこと、動物や植物など自然に接する機会が減っているため、自然のものに対する免疫力が低下していることなども、原因として考えられています。
さらに、花粉症を持っているママやパパの子どもは、アレルギー物質への抗体反応が強く出やすく、花粉症になりやすい可能性もあります。
ただこれはあくまでも、花粉症の可能性や傾向があるということです。
親が花粉症だからといって必ずしも子どもが花粉症になるわけではないですし、親が花粉症でなくても子どもだけ花粉症になることもあります。
花粉症と風邪の見分け方
子どもに鼻水やくしゃみなどの症状があるとき、風邪なのか花粉症なのか見分けがつかず、対応に悩むことがありますよね。
ここでは、花粉症と風邪の見分け方について解説します。
それぞれの症状やチェックしてみる
子どもの気になる症状が、花粉症なのか風邪なのか、以下の方法でチェックしてみましょう。
鼻水の状態を確認する
花粉症も風邪も症状として、鼻水がでることがありますが、鼻水の状態が異なります。
風邪で出る鼻水は黄色っぽく粘り気があるのに対し、花粉症で出る鼻水は、透明でサラッとしているのが特徴です。
子どもが鼻をかんだあとのティッシュを確認するのもよいでしょう。
目のかゆみの有無を確認する
花粉症の場合、目や皮膚が花粉によってかゆくなることがあるのが特徴です。
ふだんより目をかゆがる様子がひんぱんに見られる場合は、花粉症の可能性があります。
体温を測る
花粉症が原因で発熱することは少なく、発熱したとしても37度台の微熱で終わることがほとんどです。
それに対し、風邪の場合は38度以上の熱が出ることもあります。
花粉情報や症状の持続期間を確認する
花粉症の症状は、花粉の飛んでいる量が多い季節にあらわれます。
鼻水やくしゃみの症状が気になりだしたら、花粉の飛散量情報をチェックしてみましょう。
また、風邪の場合、通常1週間ほどで症状がおさまるのに対して、花粉症の場合はシーズン中症状がずっと続きます。
発熱はないのに鼻水などの症状が長期間続く場合は、花粉症かもしれません。
このほか、風邪薬を飲み続けても、症状が改善しない場合も花粉症の可能性があります。
病院に行くのか、家で改善できるのか
透明でさらさらした鼻水が出る、くしゃみが出る、目をかゆがるなど花粉症が疑われる症状が2週間以上続く場合は、花粉症の可能性が高いといえます。 花粉症は市販薬で症状を抑えることもできますが、より効果的に対策・治療を行うなら、病院を受診するのがおすすめです。
病院で血液検査や皮膚検査を行うことにより、どの種類の花粉が症状を引き起こす原因となっているのかがわかります。
花粉はその種類によって飛散しやすい時期や地域が異なります。
そのため、子どもにとってどの花粉がアレルゲンなのかがわかれば、飛散しやすいタイミングや場所を調べた上で、花粉避け対策を行えるようになります。
「子どもが花粉症かも」と思ったら、アレルゲンを特定するためにも、まずは病院に足を運ぶのがよいでしょう。
大人と子どもの花粉症の違い
大人も子どもも花粉症の症状に大差はありませんが、
・鼻のむずむずが原因で鼻をひんぱんにいじり、鼻血を出すことがある。
・目のかゆみや充血に加え、目のまわりがむくむことがある。
などの特徴があります。
また、子どもの場合は中耳炎、副鼻腔炎、扁桃肥大を併発することも多いので、「耳が痛い」「のどが痛い」などの症状にも気をつけましょう。
子どもが花粉症になると、日常生活にどんな影響がある?
子どもが花粉症になると、日常生活に下記のような影響が出る恐れがあります。
生活の質の低下や健康状態の悪化を引き起こす可能性もあるため、十分に注意する必要があります。
注意力・集中力の低下
花粉症によって鼻づまりが生じると、夜に十分眠れなくなる恐れがあります。
睡眠の質が低下すると日中に眠気を感じやすくなり、注意力や集中力が低下しやすくなることも。
それにより、ストレスやイライラを感じる機会が増えるなどのケースも見られます。
花粉以外のアレルギー症状の誘発
花粉症によって鼻の粘膜が過敏になることで、その他のアレルギー症状が引き起こされる可能性も少なくありません。
「スギ花粉症を放置すると、ヒノキなど別の植物の花粉アレルギーを発症する」「食物アレルギーや寒暖差によるアレルギーなど花粉以外のアレルギーを発症する」などの可能性もあるため注意が必要です。
敏感肌、頭痛や下痢などの症状が現れることも
花粉症によって肌症状が現れることも多く、皮膚かゆみに悩まされたり、敏感肌になってしまったりすることも少なくありません。
さらには、明らかな因果関係はわかっていませんが、頭痛や下痢など花粉症とは関係なさそうな症状が現れることもあります。
花粉症の対策
ここでは、子どもの花粉症を防ぐため、親としてどのような対策ができるのかについて解説します。
病院に行く
気になる症状があれば、病院に行くのがいちばんです。前述した通り、かかりつけの小児科または耳鼻咽喉科、アレルギー科、また目のかゆみが強い場合は眼科を受診しましょう。
医療機関では、血液検査などの検査を行うことで個々の花粉症のタイプを特定し、治療を受けることができます。
子どもの花粉症の代表的な治療について、以下紹介します。
・症状をおさえる内服薬、点鼻薬、点眼薬の処方
子どもの症状や年齢により処方されます。錠剤がうまく服用できない子どもには、シロップやドライシロップなどの薬を使用します。
医師から指示された小児の用法・用量をしっかり守り、正しく使えば安全です。
・スギ花粉症を治療する舌下免疫療法
アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく治療法です。
現在、スギ花粉症とダニのアレルギー症状を根本的に治すことができる唯一の治療法で、5歳以上の子どもなら治療の対象となります。
治療には数年かかりますが、根本的に治すことができます。
舌下免疫療法が行えるのは、特定の研修を受けた医師に限られます。
外出時は必要に応じてマスクを着用。帰宅後は洗顔とうがいを
花粉が飛ぶ季節は、外出時は必要に応じてマスクを着用しましょう。
帰宅したら顔を洗い、うがいでのどや鼻に付いた花粉もしっかり洗い流します。
玄関で花粉をはらう
玄関先にブラシを用意しておき、家に入る前に洋服全体をブラッシングして花粉を落とし、室内に持ち込まないようにすることも大切です。
洋服の生地などに気を付ける
外出時のコートや上着には、花粉が付きにくい素材を選ぶといいでしょう。
ウールや綿などよりも、ポリエステル製などで表面がツルツルした素材と加工のほうが花粉は付きにくくなります。
花粉が多い日は外に洗濯物を干さない
花粉の飛散が多い日に屋外に洗濯物を干していると、洗濯物に花粉が付着します。
そのため花粉の季節はできるだけ室内に干すのがおすすめです。
屋外に干す場合は、取り込む前にしっかり花粉を払いましょう。
掃除をこまめにし、空気清浄機も活用
花粉は室内にも入り込んでいます。こまめに掃除し、カーペット、畳、カーテン、ソファなどに付着した花粉を取り除きましょう。
花粉症対策機能のついた空気清浄機を活用するのもおすすめです。
運動する際には、花粉が付着しにくい、または容易に洗濯できるウェアを選ぶことが重要です。
気温にもよりますが、長袖や長ズボンを着用することで、皮膚への花粉の付着を最小限に抑えることができます。
また、十分な水分補給はのどの渇きを防いで気道の乾燥を避け、花粉の呼吸器への侵入を防ぐことができます。
定期的に水分を取ることを心がけましょう。
必要に応じて、練習時間以外はマスクを着用する、スポーツ用の花粉対策メガネを使うなどを検討しましょう。
子どもの花粉症は家族が一丸となって対策を
花粉症は命に関わるような重大な病気ではありませんが、日常生活はもちろん学校生活にも影響が及ぶこともあります。
子どもの様子を十分に観察し、気になる症状があれば、小児科や耳鼻咽喉科、眼科など適切な診療科を受診するようにしましょう。
子どもの花粉症を予防するには、子ども自身が対策に取り組むだけでなく、まわりの大人も一緒になって行う必要があります。
家族が一丸となって花粉症対策を行い、子どもの健康を守りましょう。
・子どもの花粉症はここ20年急激に増えており、5〜9歳で約4倍に。
・花粉症と風邪の見分け方を知り、早めに医療機関を受診する。
・日常生活においても、花粉を家に入れない工夫を施すことが大切。
「子どもの花粉症が増えている!対策や症状、風邪との見分け方」(出典:ハーモニーズwithKUMON)
「子どもの花粉症の治療のポイント」(出典:大正製薬アレルラボ)
「子どもの花粉症を予防する方法は?花粉症にさせないためにできること6選」 (出典:キッズドクターマガジン)
「子どもも花粉症になる?大人との症状の違いと予防方法も解説!」(出典:生活クラブ)
「【病気の情報】子供の花粉症が増加傾向」(出典:小児科 塚原病院)