お手伝いはいいことがいっぱい!「ありがとう」で親子の絆が深まる
更新日: 2025.02.12
投稿日: 2025.02.10

子どもにお手伝いをしてもらうことが、親子にとってプラスになることはわかっていても…
「子どもに頼んでもお手伝いをしてくれない」
「手伝おうとしてくれるけど、時間に余裕がなくて、あまりやらせてあげられない」
など、お手伝いに関する悩みは誰もが感じています。
今回は子どものお手伝いに関して、始める時期やメリットなど、さまざまな角度から考えてみましょう。
もくじ
お手伝いをすると自己肯定感を高められるのはなぜ?
日本の子どもたちの自己肯定感は、他の国々の子どもたちに比べてとても低いということがわかっています。
日本人は他人との関係によって自己肯定感が高まる傾向が強いと言われています。
他人に必要とされている、自分は役に立つ存在であるなど、他者との関係の中で自分の存在意義を見出し、そのことが自己肯定感を高めていくことにつながっているのです。
日本の子どもたちにとって自己肯定感を高めるためには、自分が他人から必要とされていると感じられることが大切なのです。
ご家庭で子どもの自己肯定感を高めるにはお手伝いが有効な方法と言われています。
なぜなら、お手伝いをすることで家庭での‘役割’が生まれるからです。
この役割がキーポイントで、自分が関わることで大人に褒められたり、家がキレイになったりと嬉しい実体験を積み重ねることで、子どもは自己肯定感を育んでいきます。
『「自己肯定感」育成入門』の著者である平岩国泰さんが主催するアフタースクールには、とてもおとなしい小学4年生の男の子がいたそうです。
彼はアフタースクールで料理のお手伝いに熱心に取り組んだことで、それまでの偏食が治り、自信をつけたといいます。
その少年が変わったきっかけとなったのが、料理の先生からの「君がいないと困るんだ!」という言葉だったそうです。
その少年は料理の先生からの言葉が嬉しく、自信をつけたことで成長したのです。
何歳からお手伝いを始める?
「ちょっと早いかな?」と思うかもしれませんが、子どものお手伝いは、意思疎通ができるようになる1〜2歳頃からスタートさせるといいでしょう。
もちろん最初は遊びの延長として始めてみましょう。「やる・やらない」にムラもあるので、あまり期待しないのがコツです。
産業技術総合研究所とミサワホームの共同研究によると、
- 1〜2歳[お手伝い開始期]
- おもちゃの片づけや玄関の靴を揃えるなどの簡単なお手伝いをスタート
- 3〜4歳[お手伝い色々チャレンジ期]
- 遊びの一貫としてお手伝いを覚え始める
- 5〜6歳[お手伝い発達期]
- 火や家電などを使い始める
- 7〜8歳[家事分担移行期]
- 家族の一員として役割を持ち始める
となっており、1〜2歳は遊びの延長としてお手伝いの真似事。3〜4歳からはいろいろ挑戦し、5〜6歳でお手伝いのバリエーションも増えて、7〜8歳は本格的に家事を分担してもらえる時期にさしかかるようです。
お手伝いを始める「きっかけ」とは?
では子どもはどんなきっかけで、お手伝いを始めたのでしょうか。
先輩のお母さん・お父さんに聞いてみましょう。
お手伝いは子どもの「好奇心」や「興味」の延長にあると、進んで取り組みます。
また「やらされている」のではなく、あくまでも「自主的に動いている」という意識を持たせると、気持ちよく続けられるようです。
子どもがお手伝いを通して得られること
子どもがお手伝いを通して得られることは、自己肯定感を育むだけではありません。
お手伝いをすることで、子ども成長につながるたくさんのよいことがあります。
一体どんなメリットがあるのでしょうか。
○ 自己肯定感が高まる
○ 大きな自信になる
○ 自立心につながる
○ 責任感が芽生える
○ 自分で考えて行動できる
○ 親子のコミュニケーションになる
自己肯定感が高まる
家の中に自分の役割があることや、大好きな親から「ありがとう」「助かる」と喜んでもらえることで、子どもの自己肯定感が高まります。
また自分の手伝いで親や兄弟が助かっている様子を見ることで大きな喜びを感じられ、「自分にはできる」という気持ちになれます。
大きな自信になる
お手伝いを最後までやり遂げること、またお手伝いを続けていくことで、達成感を感じることができるでしょう。
家族やきょうだいと協力しながらお手伝いを進めることで、社会性や共感力、コミュニケーション力も養われます。
そして家族の中で「自分は役に立つ存在である」と実感し、自信をつけていきます。
自立心につながる
最初はうまくできなかったことも、くり返し行うことで上達したりできることが増えて、子どもの自立心の土台となります。
「やればできる」という経験を積み重ねることで自己効力感が高まり、自分で工夫してみたり、失敗をしながら挑戦する気持ちを育みます。
責任感が芽生える
これは自分がやる仕事だと子どもなりに責任を感じ、お手伝いという自分の使命を全うする経験ができます。
そしてその積み重ねから責任感が生まれ、やり抜く力も育ちます。
自分で考えて行動できるようになる
「どうやったらもっと上手にできるだろう」「時間を短縮できる方法はないか」と考える癖がつき、工夫する知恵が働きます。
そして自ら率先して考えるようになり、自分の考えに基づいて行動できるようになります。
そのために、親はある程度子どもに仕事を任せて、見守ることも必要になります。
親子のコミュニケーションになる
大好きな親や兄弟から「ありがとう」「助かる」と言われることは、子どもにとってとても嬉しいことです。
このやりとりから、親子の絆をより深めることができます。
また「手伝うと喜んでもらえる」という経験を通して人とのコミュニケーションを学び、成長してからも周囲の人たちを助けたり、反対にSOSを出したり、人との関わり方を自然に身につけられるでしょう。
このように、お手伝いすることで得られるメリットはたくさんあります。子どものやる気やモチベーションを保ちながら、無理のない範囲でお手伝いしてもらうことが大切です。
【年齢別】どんなお手伝いをしてもらうか?
実際にどんなお手伝いをしてもらうか、子どもにも具体的に紹介します。
最初からしっかりお手伝いできる子はいないので、親も焦らずに進めることが大切。
1〜2歳[お手伝い開始期]
お手伝いをスタートさせる1〜2歳は、とにかく「やってみたい」「真似したい」という気持ちがある時期です。
・おもちゃの片づけ
・ゴミをゴミ箱に入れる
・こぼしたものを拭く
・テーブル拭き
・タオルなどの洗濯物をたたむ
・玄関の靴を揃える
・カーテンの開け閉め
など、家でのルールを少しずつ覚えるようなお手伝いがいいでしょう。
3〜4歳[お手伝い色々チャレンジ期]
まだまだお手伝いが遊びの延長の時期です。子どもの興味をしぼませないように、好奇心を刺激しつつ手伝ってもらいましょう。
・まぜる・こねるなどの簡単な調理
・食後の食器運び
・ゴミ拾い
・簡単な拭き掃除
・洗濯物をたたんでしまう
・カーテンの開け閉め
・花の水やり
など、お母さんやお父さんをサポートするようなお手伝いを一緒にやらせてみましょう。
5〜6歳[お手伝い発達期]
少しずつお手伝いの難度があがってきます。
同じお手伝いを続けていると、「飽きた」「他のお手伝いがいい」と言い出すかもしれませんが、手をつけたお手伝いは最後までやり切ってもらいましょう。
・卵を割る
・調理の手伝い
・野菜洗い
・お箸ならべ
・家族の配膳
・床や窓拭き
・タオルなどの簡単な洗濯物干し
・新聞や郵便の運搬
など、「お手伝いらしさ」が出てくる時期です。
子どもには「助かる」「準備が早く進む」など、役に立っているという気持ちを盛り上げるようなコメントを。
7〜8歳[家事分担移行期]
この時期には、ほとんどのお手伝いができるようになり、「家族の役割を担っている」という意識も持ち始めます。
・お米とぎ
・ごはんをよそう
・包丁を使う
・簡単な食器洗い
・リサイクルの分別ゴミ捨て
・お風呂掃除
・上履き洗い
・タオル交換
・ひとりでおつかい
など、家事分担としてのお手伝いをしてくれるでしょう。
お母さんやお父さんの役割の一部を手伝うことで、「いつもこんなふうにしてくれているんだ」と感謝の気持ちも持てる時期です。
子どもにお手伝いをさせるときのコツと注意点
実際に子どもにお手伝いをしてもらうときの、コツと注意点についてご紹介します。
子どもにお手伝いを頼むと時間がかかったり、うまくできなかったりすることもあるかと思います。
親としては自分がやってしまった方が早いと思うこともかもしれません。
大切なのは、成果ではなくお手伝いをするという体験です。
また、お手伝いすることで得られる達成感や自信につなげることです。くれぐれも親子ともに無理することなく、身の丈に合ったところから挑戦してみましょう。
子どもの年齢に合ったものにする
子どもの年齢やその子の性格を把握した上で、どんなお手伝いができそうか考えてみましょう。
最初はハードルを下げて、簡単な「遊びの延長」のようなお手伝いからスタートしていくのがおすすめです。
お手伝いをさせすぎない
お手伝いが良いからといって、あまりにも多くのことを子どもにやらせると負荷がかかりすぎます。
一日の中で、一週間の中で、無理のない範囲でお願いするように気をつけましょう。
子どもがやりやすいように工夫をする
お手伝いにもよりますが、食器を下げるのであれば子どもが届く場所を指定したり、掃除用具なども大きさや重さが子どもに合っているか、子どもの目線で確認してみてください。
子どもが手伝いをしている様子を、大人はよく観察することも大切です。
「お手伝いが長続きしない」のは、もしかしたら環境が整っていないせいかもしれません。
100%を求めない
子どものお手伝いは、親がやるよりも時間もかかり、完成度も低くなってしまうでしょう。
大切なのは「経験の過程」や「親子のコミュニケーション」なので、成果を求めるすぎるのは禁物です。
またお手伝いをしてもらう時は、大人側に時間的にも精神的にも余裕がある時にするといいですね。
焦ってお手伝いを頼むと、「ちゃんとやって!」「なんできちんとできてないの!」と文句が先に出てしまい、子どものやる気を奪ってしまいます。
ポジティブな言葉と態度を意識する
大人も褒められたら嬉しくてもっとやりたくなりますよね。
「ありがとう」「すごい」「いいね」「助かる」「あなたがいてくれてよかった」など、子どもへの声かけはハッピーで前向きな言葉にしましょう。
子どものタイプによって声がけを変えてみる
褒められると動く子なら「やってもらえると助かる」「この前すごくよかったから、またやってくれる?」と、少しおだて気味な声かけを。
一緒に楽しみたいタイプなら「一緒にやろう!」と誘ってみると、乗り気になる可能性も。
目的などを理解した方がスムーズに動く子なら、「家族の一員として役目がある」と伝えた方がいいかもしれません。
それぞれ子どもの個性やタイプを見極めて、適切な声がけをしてみましょう。
『「非認知能力」の育て方』の中で、ボーク重子さんはお手伝いに関するこのようなエピソードを紹介しています。
小学生になってから、日曜日の朝食づくりは娘の仕事になったのです。
でも、まだ小学生ですからガスや火を使うのは危険です。
そこで娘には火を使わずに朝食を作ってもらうようになりました。サンドイッチやサラダ、果物のプレートなど、娘なりに工夫をしてつくってくれたものでした。
こうしたことでも、子どもの想像力や行動計画を立てて実行し結果を出すという実行機能が育まれます。
親も子どもの性格を理解した上で、お手伝いを始めるタイミングや、夢中になれるお手伝い、子どもの気分が乗るようにどうすればいいか、考えてみることも大事なことです。
朝食を子どもに? と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、任せられた子どもは自分にこんなことをやらせてもらえるんだと張り切ってやってくれるかもしれません。
・お手伝いで子どもの役割を作ることが子どもの自己肯定感を高めることにつながる。
・子どもはお手伝いから、自信、自立心、責任感、行動力を身に付け、親子の絆も深まる。
・親は子どものお手伝いに成果を求めずに経験と捉えると良い。
現代はAI化が進んで、食洗機やロボット掃除機などが家庭に普及して以前に比べると家事をする機会も減ってきているかもしれません。
それでも「お手伝いを子どもに」と声をあげている人が多いのは、そのことが子どもの成長や親子の触れ合いに良いからなのです。
親は忙しい毎日の中で子どもにお手伝いさせることが難しいときもあるかもしれません。
そんなときは無理をせず、週末の時間があるときに限定をするなど、工夫をしてみてください。
子どもがお手伝いしてくれたら、親からの「ありがとう」や「とっても助かる」といった言葉をかけてください。
その経験と言葉がお子様の成長につながります。
(参考文献)
・「非認知能力」の育て方(著者:ボーク重子)
・「自己肯定感」育成入門(著者:平岩国泰)
・ベネッセ教育情報サイト||お手伝いが子どもにもたらす効果とは
・産業技術総合研究所 ミサワホーム | 子どもの行動特性調査〈お手伝い〉