「ムカつく!」「うるさい!」子どもの乱暴な言葉遣いが心配…親ができることとは?
更新日: 2024.09.19
投稿日: 2024.09.20
子どもが成長していくと、「ウザい」「ムカつく」「お前」など、子どもから乱暴な言葉が飛び出して、驚かされることもあるでしょう。
しかし子どもが人と接し、社会性を身につける過程で「よい言葉」だけに囲まれて成長することは不可能です。
今回は「子どもの乱暴な言葉づかい」について、その原因や親の接し方を考えてみましょう。
もくじ
子どもの乱暴な言葉づかい、気になりませんか?
子どもが「うるさい!」「○○じゃねーよ!」などと乱暴な言葉づかいをするようになると、成長の証だとはわかっていても、「どこで覚えてきたの?」「何の影響?」と心配になること、ありますよね。
集団生活に入り、少しずつ子どもの世界が広がると、家族以外の人から影響を受けることも増えます。
先輩のお母さん・お父さんたちの体験談を聞いてみましょう。
注意すべきなのか、見守るべきなのか、境界線も難しいところ。
意味もわからず「新しい言葉を使ってみたい」という気持ちや、「カッコいい」と強がって使うこともあるでしょう。
今は家族や友人からだけでなく、テレビやYouTube、SNSなどさまざまなメディアからの情報があるため、入ってきた言葉から子ども自身が選び取る必要がありますね。
乱暴な言葉づかいになるきっかけ
乱暴な言葉づかいをするようになるのは、まずはその言葉に触れ、それを吸収することがはじまりです。
そのきっかけについて見ていきましょう。
テレビ
テレビ番組によっては、激しい言葉で相手をからかったり、おとしめるような表現を使うことがあります。
お笑い芸人やタレントが厳しく相手を突っ込むことで笑いをとる姿など、子どもへの影響力は大きいでしょう。
子どもは「注目を集めたい」「ウケけたい」という気持ちから、わざと乱暴な言葉を使うことが増えるかもしれません。
YouTube
(株)モニタスの調べによると、8歳以下の子どもを持つ母親の8割以上が「YouTubeを見せるのに抵抗がある」と感じながら、6割が視聴させているという結果になったのだそう。
*(株)モニタス調べ『約6割が子ども自ら検索してYouTubeを視聴』
ユーチューバーたちは注目を集め差別化を図るために、それぞれ独特の話し方や言葉づかいをしています。
好きなユーチューバーがいたり、好きなゲームの実況を聞くうちに、それを真似したり、言葉づかいに影響を受けることもあるでしょう。
学校や園の友だち
集団生活のなかでは、さまざまな友だちと交流があり、その中でふざけ合ったり、言い合いをすることもあります。
さまざまな家庭の子が集まる学校や園には、自分の家族とは違う言い方・とらえ方をする子もいるでしょう。
お兄ちゃん・お姉ちゃんがいて、大人っぽい言葉づかいをする子もいるかもしれません。
また仲間意識や仲良し同士の共通言語として、大人にとっては少し気になる言葉や単語を使うことも増える時期です。
親の影響
テレビやメディアの影響も少なくありませんが、子どもが一番影響を受けているのはお母さんやお父さんの言葉づかい。
大人同士でキツいもの言いをしていたり、子どもを叱る時につい強い口調になっていたり…気づかないうちに乱暴な言葉を使っていることもあります。
家族の間の言葉には遠慮がない分、相手の受け止め方よりも自分の言いたいことを感情的に放ってしまいがちです。
子どもにとって大好きな親の言動は、「真似してみたい」「同じ言葉を使いたい」と思うもの。
まずは一番身近な家庭内の言葉づかいを見直してみる、よい機会かもしれません。
なぜ、「乱暴な言葉」を言いたくなるのか?
子どもが乱暴な言葉づかいをする時、その意味を深く考えずに使っている場合がほとんどです。
では親が「使ってほしくない」と感じてしまう乱暴な言葉づかいを、なぜ子どもはするのでしょうか。
○ 仲間との連帯感
○ 周囲の反応
○ かっこよく思える・自分が強くなったような気がする
○ 複雑な気持ちの表現
仲間との連帯感
友だちと過ごす時間が増えてくると、その中で流行している言葉やテンポよくポンポンと喋れる言葉などの共通言語ができてきます。
その言葉を仲間うちで話すことが連帯感を高め、一緒にいることが「楽しい」という気持ちになるからです。
他人が「理解できない」ことや眉をひそめるような言葉だからこそ、より仲間意識を強くすることもあるでしょう。
周囲の反応
子どもが発する乱暴な言葉を聞いて「そんな言葉づかいダメでしょ!」「なに言ってるの!」と、大人が強い反応を示すことがおもしろく、わざと乱暴な言葉づかいをする時期もあります。
また強い口調や言葉づかいをすることで周囲の注目を集めたり、要求が通った経験をすると、繰り返すこともあるでしょう。
大人は過剰な反応をせず、静かな態度を維持することも大切です。
かっこよく思える・自分が強くなったような気がする
乱暴で強い言葉を使うことで、大人の仲間入りをしたような、かっこよくなったような気分になることもあります。
また、これまで使ってこなかった乱暴な言葉は子どもにとっては新鮮で、それを言うことで自分が強くなったような気がするものです。
テレビやYouTubeなどでも「毒舌」や「激しいツッコミ」が面白がられるシーンもあるので、そういったキャラクターに憧れているのかもしれません。
「いつまでも親の言うことを聞く子どもじゃない」「自分には自分のスタイルがある」と主張するのは成長の証でもあります。
「乱暴な言葉づかい=かっこいい」ではないということを、時間をかけて子どもに理解させましょう。
複雑な気持ちの表現
本当は、「寂しい」「怖い」「心配」「不安」などの気持ちがあるのに、それを隠すために乱暴な言葉で虚勢をはることがあります。
また
「色々なことがあり気持ちの整理がつかないから、今はそっと見守ってほしい」
「自分でも状況がつかめず、混乱している」
といった説明が難しいけれど、モヤモヤしている気持ちの時に、「うるさい」「うざい」「黙れ」といった簡単な言葉でとりあえず親を遠ざけようとすることもあるでしょう。
子どもの発する一語一語に過敏に反応するよりも、少し離れて子どもの様子を見ることも大切です。
言葉づかいを注意するときのポイント
乱暴な言葉づかいの裏には子どもの複雑な気持ちがあったり、あまり深く考えずに使っていることはわかりました。
しかし親としては、「その言葉が人を傷つけることがある」「その言葉が原因で自分が危険な状況に追い込まれることがある」ということを伝えなければいけません。
乱暴な言葉づかいを注意する時のポイントを紹介します。
○ 反射的に怒らない
○ 「言われた人の気持ち」を伝える
○ 静かに冷静に注意する
○ 子どもの想像力を育てる
○ 使ってはいけない言葉・場所・相手を教える
○ 別の表現方法を教える
○ やさしい言葉の蓄積を
反射的に怒らない
心無い言葉を子どもが使った瞬間は、大人でもつい頭に血が上ることもあります。
しかし反射的に起こってしまうと厳しすぎる言い方になってしまったり、「なぜその言葉づかいをしてはいけないか」という一番大事なことが伝わらないことが多くあります。
子どもも、ただ「怒られた」から止めるだけで、また同じことを繰り返すでしょう。
子どもの言葉づかいに驚いた時は、ひと呼吸おいて気持ちを落ち着けてから注意をするように心がけましょう。
「言われた人の気持ち」を伝える
「そういう言い方は傷つくなぁ」「今、とても嫌な気持ちになったよ」「そんなことを言われたら悲しいわ」と、乱暴な言葉が相手を傷つけたり、悲しい気持ちにさせることをしっかりと伝えましょう。
乱暴な言葉を使うことで、「相手を怒らせて喧嘩になるかもしれない」「友だちがいなくなってしまうかも」という可能性も、理解させる必要があります。
また「嫌な言葉を言われたら、大人でも悲しくなる」「大人でも傷つく」ことも、きちんと伝えることが大切です。
決して脅すのではなく、「言葉には相手を傷つける力がある」ということを根気強くわかってもらうことが大切です。
静かに冷静に注意する
子どもがギョッとするような乱暴な言葉を使ったら、頭ごなしに叱りたくなりますが、ここはガマン。
感情的に叱ると、子どもは自分が否定されたと感じて、親からの言葉を受け取れなくなってしまいます。
まずはどんな意図でその言葉づかいをしたのか確認し、もしも間違えた用途で使っているようなら、それを訂正します。
子どもが主張したいこと、伝えたいことがわかったら、それは「○○って言うといいよ」「相手も聞いてくれるよ」と静かに冷静に伝えましょう。
子どもの想像力を育てる
日頃から、子どもの想像力を育てておくと乱暴な言葉づかいに歯止めがかかることも。
「それを言われた時の○○ちゃんは、どんな気持ちだっただろうね…」
「その時、○○くんはどんな顔してた?」
などと普段から相手の気持ちを考えたり、想像するような質問を子どもに投げかけて想像力を働かせる習慣を身につけておきましょう。
また普段から本を読んだり、テレビを見ながら人の感情を思い描く練習をしておくといいですね。
言葉づかい対策だけでなく、コミュニケーション力や共感力、想像力、などの非認知能力も同時に育ちます。
使ってはいけない言葉・場所・相手を教える
「死ね」「殺す」などの命に関わる言葉や、「キモい」「ウザい」など相手を否定する言葉、「デブ」などの容姿に触れる言葉は、絶対に使ってはいけないと厳しく注意をします。
また
・食事中は汚い話をしない
・電車やバスの中では(周囲が嫌な気持ちになるので)言葉づかいに注意する
・目上の人(先生や祖父母など)には乱暴な言葉を使わない
などの最低限のルールは教えておきましょう。
別の表現方法を教える
「うるせえ!」ではなく、「わかってる」「それ以上言わないで」
「早くしろよ」ではなく、「○時までに終わらせて」「遅くなると困る」
など乱暴な言葉を使わなくても、相手に自分の意思を伝える方法があることを教えましょう。
高圧的で乱暴に言った方が、相手が聞いてくれると勘違いしている場合は、それが間違っていることも同時に伝えます。
コミュニケーションの基本は双方が気持ちよく言葉のやりとりをすること。
「自分がほしい結果をより早く、より効果的に得る」には、乱暴な言葉は不要だということをゆっくりと教えていきたいですね。
やさしい言葉の蓄積を
乱暴な言葉も丁寧で美しい言葉も、まずは「言葉の蓄積」がなければ、そもそも言葉が出てきません。
子どもの中にたくさんの「やさしい言葉」「相手を思いやる言葉」「言われて嬉しい言葉」が蓄積されている場合と、相手を責めたり、傷つけたり、見下すような乱暴な言葉ばかりがある場合では、どちらの方が出てきやすくなるか…答えは明白です。
日常の親子の会話では、やさしく思いやりのある言葉を使うように心がけてみましょう。
子どもは吸収力が高く、大好きな親の言動は真似するので、根気強く対応すれば子どもの乱暴な言葉づかいは減ってくるでしょう。
子どもは失敗をしながら自分らしい言葉づかいを習得していく
わが子が乱暴な言葉づかいをしている場面に出くわすと、大人は驚き、悲しく不安な気持ちになりますね。
子どもが乱暴な言葉を使ってしまうことで、大事な友だちと喧嘩をしたり、相手の信頼を失ってしまうこともあるかもしれません。
しかし様々な種類の言葉に触れ、その中から自分が使う言葉を選び取るのは子ども自身の選択。
「相手を傷つけてしまった…」「友だちをなくした」という失敗や、「何気なくかけた言葉で相手に喜んでもらえた」といった経験を通して、自分がどんな言葉づかいをしたらいいのかを学んでいくでしょう。
大人にできるのは、子どもに「やさしい言葉」や「思いやりの言葉」をたくさん浴びさせて、よい言葉の蓄積をたっぷり作っておくこと。
また乱暴な言葉づかいの裏には、「親に注目してほしい」「不安なことがある」など、子どものSOSが隠れているかもしれません。
子どもの様子を見ながら声をかけ、気持ちを引き出すなど、本心を探ってみることも大人の役割です。
子ども時代の乱暴な言葉づかいは一過性のものと考え、「絶対にダメな言葉を使った時だけ叱る」など、ルールを決めておけばキリキリしなくて済みますね。
言葉づかいは「今すぐ直るものではない」「成長しながら獲得していくもの」と、おおらかに構えておくことも必要です。
・子どもはテレビやYouTubeの言葉づかいを真似することがあるが、家庭や友だちの言葉づかいからも多く影響を受ける。
・乱暴な言葉づかいをするのは「仲間同士の連帯感」を感じたり、周囲の反応が面白かったり、強くなったような気持ちになるから。
・子どもの乱暴な言葉を聞いたら、反射的に怒らず、静かに冷静に注意をする。
・また普段から子どもの想像力を育み、言葉を言い換えるヒントを伝えておくといい。
・家庭ではやさしい言葉・人が言われて嬉しい言葉を、子どものなかに蓄積させておく。
(参考文献)
・たまひよ | 「うっせえ!」「バカ!」「クソ!」子どもの乱暴な言葉遣いどう注意してる?
・ベネッセ | 親野先生に聞いた!子どもの乱暴な言葉遣いが気になる!どう受け止めて対応すればよい?
・学研 | 【知らぬ間に親も使っている⁉️】子どものが乱暴なことばづかいをしはじめた時にオススメする6つの対策
・oriori | 子どもの言葉遣いが悪いのはなぜ? 直し方と注意点
・東洋経済オンライン | 「子どもの乱暴な言葉遣い」を指摘する簡単なコツ
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実用書の編集・ライティング、人物インタビューを中心に活動中。子育てや街紹介のポータルサイトでは1000件以上の学校や教育施設、子育て支援施設を取材。「学業とスポーツは必ず両立する」を信条に、息子2人を大学まで野球漬けに育てあげる。趣味は、はた織り・耳かき・スポーツ観戦。好きな言葉「中庸」。