「スポーツが嫌いな子」「苦手意識がある子」はどうして生まれるのか?
投稿日: 2024.04.05
お子さんは、運動やスポーツすることが好きですか?
習い事のひとつとして、お子さんがスポーツにチャレンジしている家庭も多いと思いますが、そのいっぽうで「スポーツが嫌い」「体を動かすことが苦手」という子どもも増えてきています。
「スポーツが嫌いな子」「苦手意識がある子」はどうして生まれるのでしょうか。
一度「スポーツが嫌い」になったら、二度と好きになれないのでしょうか。
この記事では、「スポーツが嫌いな子」「苦手意識がある子」が生まれる原因と、向き合い方について紹介します。
もくじ
スポーツが嫌いな子、苦手意識がある子が生まれる原因
文部科学省のスポーツ庁が発表している「令和4年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」によると、運動(体を動かす遊びを含む)やスポーツをすることは好きですかという質問に対し、小学生男子は6.6%が、小学生女子は14%が「やや嫌い・嫌い」という結果でした。
子どもが「スポーツが嫌い」「苦手」と感じる原因として、以下が考えられています。
過去の失敗経験で自信をなくしている
「走っているときに友達とぶつかって転び、ひざをすりむいた」「鉄棒から落ちて歯がかけてしまった」「ボール遊びしているときに顔面にあたり、鼻血が出た」など、スポーツによって痛い思いやこわい思いをしたことが、自身の“失敗経験”としてトラウマとなっていることがあります。
このような経験が、スポーツに対する自信喪失や苦手意識につながっていることが少なくありません。
「周りの子と比べて運動能力が劣っている」と感じている
学校で行う体育の授業では、順位をつけられたり勝ち負けが決定したりすることが多く、「競争」として認識してしまいがちです。
そのため、「かけっこで最下位だった」「クラスで自分だけ逆上がりができなかった」など、周りの子と自分を比べて運動能力が劣っていると感じ、スポーツへの苦手意識が高まってしまうこともあります。
スポーツにあまり興味がない・関心が薄い
園・小学校時代は「体を動かすことが好き」という子が多いですが、中には、インドア派で「体を動かすことがあまり好きではない」「スポーツに関心が薄い」という子もいます。
スポーツへの興味や関心の低さが、意欲の低下や参加への抵抗感につながることもあります。
チームワークへのプレッシャーを感じる
小学校の体育の授業は、チームワークが重視されることが多いもの。
しかし、このチームワークが、もともとスポーツが得意ではない子の「スポーツ嫌い」をさらに悪化させる一因として考えられています。
「同じチームの友達の足を引っ張ってしまうのではないか」というプレッシャーや、実際に迷惑をかけてしまった経験から、スポーツに苦手意識をもってしまうようです。
親の言動が、子どもをスポーツ嫌いにさせている?
スポーツは、子どもの心身の発育にとても良い影響を与えます。
しかし、親がスポーツをしているわが子に過度な期待をしたり、周りの子と比べて叱ったりするのはNG。
親の言動が、子どもをスポーツ嫌いにさせていることもあるのです。
過度な期待をかけすぎる
「絶対に負けられない試合だから、全力でやりなさい」「もっと練習しないとレギュラーになれないよ」など、子どもに過度な期待をかけすぎると子どもはプレッシャーを感じ、スポーツを楽しむことができなくなってしまう可能性があります。
また、親の期待を背負おうとして勝ち負けにこだわりすぎ、スポーツ本来の楽しさを味わえなくなってしまいます。
「結果」ばかりを気にして勝ったときもほめない
子どもが出場した試合に負けたときなど、「なんで負けたの?もっと練習しなさい!」「もっと点がとれたんじゃない?」など、結果ばかりに気をとられ、その感想をそのまま子どもに伝えていませんか?
勝ったときや良くできたときも、「頑張ったね!」「上手くできたね」よりも、「もっとこうすれば良かったんじゃない?」という指摘ばかりしていませんか?
親が結果ばかりを気にして勝ったときもほめないでいると、子どもはミスをおそれ、思い切ってプレーできなくなることもあります。
周りの子と比べる
「どうして○○ちゃんはできるのに、あなたはできないの?」「あの子を見習って、もっと頑張りなさい」「〇〇ちゃんは上手なのに、あなたは全然ダメね」など、周りの子と比べてばかりいると、スポーツが嫌いになるだけでなく、自己肯定感が低下してしまいます。
練習を強制する
好きなスポーツをしていても、体調が悪かったり、他の遊びに夢中なときなどは、練習に行く気力が薄れるもの。
そんなときでも無理やり練習に連れていったり、それまでの遊びを強制的にやめさせたりしてしまうと、親への反発心や抵抗感が生まれるだけでなく、スポーツに対する自主性や意欲が低下してしまうこともあります。
親の言動は、子どものスポーツに対する意識に大きな影響を与えます。
子どもに対して「良かれ」と思って発した言葉や行動に子どもは傷つき、スポーツ嫌いになってしまうこともあります。これを機に、わが子との日頃の関わりを見直してみましょう。
スポーツ嫌いな子に親はどう関わればいいの?
子どもがスポーツ嫌いになってしまったとき、まずは、その原因を探ることが大切です。
・ついていけずに自信をなくしてしまったのか。
・周りの子と比べて劣等感を感じているのか。
・どんなスポーツなら楽しいと思えるのか。
など、子どもがスポーツに対してどのような気持ちを持っているのか、じっくりと話を聞いてあげましょう。
子どもの気持ちを理解することで、親ができるサポートも見えてきます。
子どもがスポーツ嫌いになったからといって、焦る必要はありません。
無理やりスポーツをさせようとしても、逆効果です。
まずは、子どもが安心してスポーツを楽しむ環境をつくりましょう。
以下、4つのポイントを紹介します。
休日に親子で一緒に遊ぶ
休みの日には外に出て、どんなことでも良いので親子で体を動かし子どもと一緒に遊びましょう。
サッカーが好きな子がいれば、バドミントンが好きな子、ただ走ることが好きな子、砂遊びをすることが好きな子などさまざまです。
わが子が好きなことを優先して遊ぶようにしましょう。
習い事に通って苦手を克服する
「体育の授業でできなかったことを習い事として始めたら、いつの間にか得意分野になっていた」というケースは珍しくありません。
各スクールや教室には指導員がついているためケガのリスクが少なく、ここぞというときにほめてくれるでしょう。
さまざまなチャレンジをする中で、スポーツの楽しさに目覚めるかもしれません。
ただし、無理じいするのはNGです。
あくまでも子どものやる気や意思を優先することが大切です。
小さなことでもできたらほめる
子どもが体を動かしているとき、小さなことでもほめることを意識するようにしましょう。
「公園で楽しく遊べたね」「なわとび、昨日よりも1回多くとべたね」など、どのようなことでも良いので、ほめられるところを見つけてほめましょう。
少しでも前進したら「すごい!」「やったね!」と一緒に喜んであげると、子どものやる気につながります。
運動以外の好きなことを伸ばすことも大切
「運動よりも絵を描くのが好き」というのであれば、その好きなことを伸ばしてあげることも大切です。
親子で一緒に体を動かして遊びつつ、あまり深追いせず、「その分のエネルギーと時間を、子どもの好きなことにつぎこむ」という考え方もあります。
スポーツは、上手にできなければいけないものでは決してありません。
上手い下手に関わらず、まずは、体を動かすことへのポジティブな意識を育むように心がけましょう。
・「痛い」「こわい」経験やチームワークのプレッシャーがスポーツ嫌いの原因に。
・親の何気ない言動が、子どもをスポーツ嫌いにさせていることもある。
・子どもをプレッシャーから解きほぐすことが大切。
参考文献)
「子どもがスポーツ嫌いになる原因とは?親ができる対処法も!」(出典:スポスルマガジン)
「子どもがスポーツ嫌いになる理由は? 苦手意識を持ちにくくするには? 専門家に聞く」(出典:朝日新聞EduA)
「子どもが体育嫌いになってしまう理由は? ママパパの体験談と親ができる対処法」(出典:HugKum)
「体育の授業が苦手・嫌いな子どもにスポーツを楽しんでもらうためのコツ」(出典:DCマガジン)