【2024年最新!】夏場の子どもの水分補給、普段からの飲み方が重要!
更新日: 2024.07.04
投稿日: 2024.07.05
今年は春先から暑い日が多く、本格的な夏が始まる前に熱中症予防を意識することも増えています。
昭和元年から令和元年の94年間で日本の平均気温は上昇しており、平成元年以降はスピードを上げて温度が上昇しています(日本気象協会調べ)。
年々気温が高まるなか、熱中症にならないよう、こまめな水分補給が提唱されていますが、特にスポーツをしている子どもの水分補給は気をつけるポイントがたくさんあります。
今回は子どもの運動時の水分補給について、詳しく解説していきます。
もくじ
子どもが大人よりも熱中症になりやすい理由とは
子どもは大人よりも体が小さく、体の様々な機能が未熟であることから、熱中症になりやすいと言われています。
その理由について見ていきましょう。
体温調節機能が未熟
人は暑いと汗をかき、その水分が蒸発する時に熱を奪われるため、体が冷えて体温が下がります。
しかし子どもは大人に比べ、暑さを感じてから汗をかくまでタイムラグがあり、体温が下がるまでも時間がかかるため、体に熱がこもりやすいのです。
子どもの体温調節機能が未熟だと言われる理由は、このためです。
体の水分割合が多い
大人の体は約60%が水分ですが、子どもは70%が水分といわれます。
その分、水分の入れ替わりスピードが速く、水分補給が遅れると熱中症や脱水症状を起こしやすくなります。
そして水分量が高いため気温が体温よりも高くなると熱を放熱しづらく、体の深部温度が急激に上がりやすのです。
また体重に比べて体の表面積が大きいため、熱を吸収しやすくなり、気温の影響をダイレクトに受けてしまうという特徴も。
そのため、大人よりも子どもの方が熱中症のリスクが高まってしまうのです。
地面から近い
晴れて暑い日は地面からの照り返しがあるため、地面に近いほど気温は高くなります。
通常、天気予報で発表される温度は150cmの部分で測っているので、気温が32度だった場合、地面から50cm(乳幼児)やベビーカーの高さでは35度以上になります。
子どもは大人より、ずっと高い温度にさらされていると考えましょう。
脱水症状になりやすい
暑さで汗をかき、水や麦茶などで水分補給をすると、体液濃度が薄まります。
すると体は体液濃度を保とうとして尿を排出するので、体液全体の量が減ってしまい、脱水症状になってしまうのです。
特に子どもは体の水分バランスが崩れやすく、脱水状態に陥りやすいと言われます。
また汗をかいた時に、緑茶やコーヒーなどカフェインのある飲み物を摂取すると利尿作用により同様のことが起こります。
汗をかいた時の水分補給は水や麦茶だけではなく、スポーツドリンクなど塩分の含まれた飲料を摂取するようにしましょう。または、塩分の含まれたあめやタブレットを活用すると良いかもしれません。
熱中症の症状に気づきにくい
暑いところでも友だちと遊んだり、スポーツに熱中すると、子どもは自分の体調の変化に気づきません。
また具合が悪いことを正確に言葉で伝えられず、症状が進んでから発見されることが多いのも子どもの熱中症の特徴。
子どもの顔色や汗のかき方に注意して、大人が適度に休憩や水分補給を促す必要があります。
普段の生活での水分補給について
人の体からは汗や尿で約2300mlの水分が出ていきますが、それに加えて皮膚からの蒸発でも約600ml、呼吸からは約400mlも水分が蒸発しています。
つまり特別に汗をかかなくても、3リットル以上の水分が自動的に体外に排出されているのです。
暑くなってくると熱中症予防のために「水分を摂りましょう」とよく言われますが、実は普段から水分補給をしっかりしておくことが大切です。
「1日に必要な栄養」には基準が決められているのに対し、水分に関しては明確な摂取量が決められておらず、意識して水分を摂っている人は少ないかもしれません。
朝起きた時や寝る前、食前食後、お出かけ前、運動の前後など、行動の前後にコップ1杯の水を飲む習慣をつけておくと、水分補給のリズムが作れます。
水分補給の量やタイミングは?
子どもにとって、夏の水分補給が大切なことはわかっているけれど…
・どのタイミングで飲ませるのがベストか
・何を飲ませるべきか
など、さまざまな疑問がわきますね。
子どもに適切な水分補給の目安を、見ていきましょう。
どれくらいの量を飲んだらいいの?
人の体からは1日に2〜2.5Lの水分が失われるので、それを補うために食事から約1Lを、飲料で1~1.5Lを摂取する必要があります。
小学生なら体重1kgあたり60〜80ml、大人なら体重1kgあたり30~40mlが摂取の目安。
例えば体重20kgなら1.2〜1.6L(食事中の水分を含む)、40kgなら2.4〜3.2Lと、想像以上に体は水分を必要としています。
特に夏の暑い日に運動をする場合は、これ以上の水分を摂るくらいの意識でちょうどよいかもしれません。
一度に大量の水分を摂取しても、体にはうまく吸収されず排出されてしまうので、本人が一度に飲める量(50~200ml)程度の水分をこまめに摂るようにしましょう。
いつのタイミングがベスト?
体内の水分量の5%失うと脱水症状や熱中症になり、10%失うと痙攣や循環不全を起こし、20%では意識不明や死に至ることもあります。
人は1%の水分が失われると「喉がかわいた」と自覚しますが、これはすでに脱水症状を起こしている状態。
ちなみに2%失われるとめまいや吐き気を起こすこともあるので、「喉が渇いた」と思う前の水分摂取を心がけてください。
運動後の体重が2%減少していたら、運動中の水分補給が足りない証拠です。
夏に屋外で活動する場合、子どもは一度にたくさんの水分を摂れないので、15〜20分に1回の頻度で水分を補給するのがベスト。
また水分を摂取してから体に吸収されるまでは20分ほどかかるため、運動や外出の30分ほど前に、多めの水分補給をしておくことも重要です。
日常的に水分補給の習慣づけが、熱中症予防にもつながります。
運動に最適な水分補給って?
「水分補給」とひと言で言っても、大量に汗をかく夏の運動では何を飲ませるのがベストなのか迷ってしまいますね。
真夏の水分補給で補いたいのは、水分と塩分、そしてエネルギー源になる糖分。
ここでは子どもの水分補給の際によく挙げられる、水・緑茶・麦茶・スポーツドリンクについて検証します。
運動中に水を飲むだけでは危険なの?
汗には塩分が含まれるので、水分補給として「水」だけを摂取し続けると、体液濃度が薄まってしまいます。
体液濃度が薄まると、体は濃度を戻そうとして尿を排出したり、喉の渇きを一時的に止めてしまいます。
その結果、脱水症状を起こすことも。
水を摂取する際は「塩あめ」や「塩分チャージタブレット」など塩気のあるものを一緒に撮ることが大切です。
運動中に緑茶は飲んでも平気?
緑茶には、200mlで約40mgのカフェインが含まれるといわれます。
カフェインは、腎臓での水分吸収を抑える「利尿作用」があり、カフェイン入りの飲料を飲むと「トイレが近くなる」と感じる人が多いのはこのためです。
余計な水分を排出し、むくみなどには効果が期待できる利尿作用。
真夏の運動時に摂取すると体への水分吸収が抑えられてしまい、同時に体外へ水分が排出されてしまうため、脱水症状を起こすこともあるのでおすすめできません。
できるだけカフェインなしの飲料で水分補給するようにしましょう。
ちなみにコーヒーや緑茶・ウーロン茶・紅茶などの茶葉から淹れるお茶、コーラ、エナジードリンクにもカフェインが含まれています。
運動中は麦茶がいいの?
カフェインやタンニンが含まれず、ミネラルが豊富な麦茶は赤ちゃんでも摂取OKの水分補給アイテムです。
夏の運動時は塩分の摂取も重要なので、麦茶と併せて「塩あめ」などを摂取すると良いですね。
運動中のエネルギー補給はやっぱりスポーツドリンク?
塩分と糖分が同時に摂取できる「スポーツドリンク」は、運動をする際におすすめされることが多いでしょう。
スポーツドリンクには、「運動前か後に摂るとよいもの」と「運動中に摂るとよいもの」の2種類あることを知っていますか?
この違いはズバリ、浸透圧。
「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」について解説します。
● アイソトニック飲料
私たちが「スポーツドリンク」と思っているもののほとんどは、アイソトニック飲料です。
アイソトニックとは「等張液」という意味で、安静にしている時の体液と同じ濃度・浸透圧でできています。
具体的には塩分が0.1〜0.2%、糖分が4〜6%の飲料、つまり1Lの水に塩1〜2g、砂糖40〜80g含まれたものです。
安静時、つまり運動をしていない時の体の状態に合った飲み物なので、ハイポトニック飲料に比べると吸収の速度が少し遅くなります。
そのため通常時や練習の前後に飲むのに適しています。
● ハイポトニック飲料
ハイポトニック飲料は安静時の体液よりも濃度が低く、浸透圧も低く作られています。
アイソトニック飲料よりも塩分も甘さも薄くなった味です。
ハイポトニックは「低張液」という意味で、体液よりも低い浸透圧の飲料を飲むことで体液との濃度の差ができ、その差によって体に早く吸収される仕組みになっています。
運動中や大量に汗をかいた時にハイポトニック飲料がおすすめなのは、この吸収速度が早まるため。
運動前後や運動中で飲料の種類を変えるのも、有効な熱中症対策の一つです。
● スポーツ飲料との向き合い方、飲み方
アイソトニックのスポーツドリンクは馴染みがあり、運動時以外でも飲用する子どもは多いでしょう。
しかし、ペットボトル1本分のスポーツドリンクに含まれる砂糖は25〜30g、角砂糖にすると約5〜6個分にもなり、糖質の多さや虫歯を心配する声も多く聞かれます。
スポーツドリンクに糖分が含まれるのは、「飲みやすさ」のためもありますが、糖分は塩分と一緒に摂取することで腸管での水分吸収を促進するから。
汗を大量にかく真夏の運動時であれば、スポーツドリンクを2〜3倍に薄めて濃度を低くすることで、吸収力をアップさせることもできます。※スポーツドリンク用の粉末で作る際も記載の水の量より少し多めに作ると良いです(お好みで)。
ちなみに手作りのスポーツドリンクで、甘さやフレーバーを変えることも可能です。
その場合、水1Lに対して食塩3g(小さじすりきり1杯)、砂糖は大さじ3〜5杯をお好みでよく溶かしましょう。
グレープフルーツやレモンなど柑橘類の果汁を絞って入れると、スッキリした味わいの熱中症予防ドリンクが作れます。
子どもの熱中症チェックリストと簡単な対処法について
子どもが熱中症になりやすいことは、先に述べました。
「暑い」と感じても主張できなかったり、遊びに夢中になると水分補給を忘れたりしがちな子どもは、夏の間は大人のサポートが必要です。
子どものサインを見落とさず、適切な対処で熱中症を防ぎましょう。
● 顔が赤い
● 体温が高い
● 不機嫌・泣く
● おとなしい・元気がない
● ぐったりしている
● 手足がつる
● 頭痛・腹痛などを訴える
● 手足がけいれんしている
● めまいや立ちくらみ
● いつもより興奮している
などの状態が見えたら、まずは日陰や風通しのいい場所に移動し、服をゆるめるなどして休ませましょう。
氷や凍らせたペットボトルなどがあれば、太い静脈が通っている首・脇の下・足の付け根の「3大局所」を冷やします。
太い静脈を冷やすと冷えた血液が体に戻るので、効率的に体を冷やすことができます。
3歳以上なら、大人が水分を摂らせるのではなく水分を与えて様子を見ます。自分で飲めるようなら安心です。
「意識がない」「名前を呼んでも反応がない」「水を自分で飲めない」場合は、救急車を呼びます。
水分補給以外の日常でできる熱中症対策は?
熱中症は水分不足に加え、食欲低下で食事を抜いたり、睡眠不足になっても起こります。
ここでは水分補給以外の熱中症対策について考えましょう。
身につけるものを工夫する
・帽子をかぶる
・冷却機能のあるウエアを着る
・吸水性・速乾性のある衣類を着る
など、熱や日差しから体を守る衣類を身につけるだけで、熱中症予防になります。
また「黒や紺などの濃い色のウェアを避ける」だけでも、服の表面温度が15℃以上違うというデータもあります(国立環境研究所調べ)。
「襟元をゆるめる」「ゆったりサイズのウエアを着る」などの小さなことでも、体感温度に違いが出るので工夫が必要です。
水分補給時に休憩も取る
運動を長時間続けたり、疲れを感じても休憩を取らないと、熱中症の危険性はさらに上がります。
首に巻く冷却タオルや氷嚢を用意しておき、水分補給時に休憩もしっかり取って、首や脇下を冷やしましょう。
休憩する場所は木陰やシェードを張るなど、日陰で風通しのいい場所に設置してください。
子どもの様子を細かくチェック
運動時は子どもも夢中で、喉の渇きや暑さなどに気がつかないことが多いはず。
習い事やスポーツ教室であれば、指導者やコーチが頃合いを見て水分補給や休憩指導が入りますが、友だちと遊んでいる時などは保護者が子どもの様子を見て、顔色や体調をチェックしましょう。
食事と睡眠をしっかりとる
睡眠不足や体調がすぐれない時は、熱中症になる確率がグンとアップします。
また暑さで食欲が減退して、食事を摂れていない場合も熱中症になりやすくなります。
大量に汗をかく夏は、ナトリウムやカリウムなどの電解質が体外に排出されやすいので、食事からも塩分を摂取することが重要です。
暑さに負けない体力を維持するためにも、栄養のある食事を摂り、睡眠環境を整えて夜ぐっすり眠れるようにしましょう。
適度な外遊びをする
夏が近づくと「熱中症が心配」という理由から、子どもを屋外で遊ばせないようにする保護者が増えます。
冷房の中で体を動かさずにいれば熱中症の危険性は少なくなりますが、自律神経のバランスが崩れたり、運動不足になったり…実はデメリットが多いのです。
反対に、暑さが本格的になる前から日常的に外遊びをして汗をかく習慣をつけておくと、夏の暑さに慣れて体温調節機能も鍛えられます。
この暑さに慣れることを、「暑熱順化」といいます。
暑熱順化が進むと、発汗量や皮膚血流量が増えて、体の表面から熱を逃す「熱放散」がしやすくなり、熱中症になりにくくなるのです。
現在の自然環境を考えると、今後も夏はますます暑くなっていくことが予想され、この暑さに少しずつ慣れておくことが子どもにも必要になってくるでしょう。
子どもには適度な外遊びをさせて、暑さに強い体をつくりたいですね。
親自身のケアも忘れずに
暑さが本格的になってくると、子どもを心配してケアするあまり、保護者自身の熱中症予防をつい忘れがちです。
しかし子どもと同じ暑い環境にいれば、保護者にも同じように水分補給や日差し避け、休養が必要になります。
子どもより先に、自分の具合が悪くなって病院に運ばれる…ということがないように…
・子どもと同じタイミングで保護者も水分補給する
・同時に塩分や糖分も摂取する
・帽子や日傘、日よけカバーなどで直射日光を浴びないように工夫
・シェードがある場所や木陰、風通しのよい場所にいるようにする
など、子どもから目を離さないようにしながら、大人も熱中症ケアにも細心の注意を払いましょう。
・子どもは体温調節機能が未熟で、体内水分バランスが崩しやすいため、熱中症になりやすいので、大人が様子をチェックしてあげよう。
・水分補給はこまめに行い、水か麦茶などの水分と塩あめや塩分チャージタブレットなどの塩分を同時に摂るのがベスト。スポーツドリンクは2〜3倍に薄めて摂取すると、吸収率がアップする。
・濃い色のウェアを着ない、襟元をゆるめるなどの工夫も必要。
・保護者の熱中症ケアも忘れずに。
(参考文献)
・国立成育医療研究センター | 子どもの病気 熱中症
・千葉県営水道 | 健康を支える「水」 正しい飲み方って?
・くらしスタイル研究所 | 暑さに負けない! 子どもの熱中症対策と水分補給について
・日本経済新聞 | 脱水しやすい子どもの熱中症予防 運動15分ごとに水分
・ウェザーニュース | 熱中症対策の水分補給「水分だけ」より効率的な方法は?
・日本気象協会 | 熱中症の予防・対策
・クラシエ | わが子を暑さから守る! 子どものための熱中症対策・予防法
・アスレシピ | スポーツドリンクには2種類ある、アイソトニックとハイポトニックの選び方
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