子どもの「なんで?」「どうして?」にどう答えるか。子どもを伸ばす親の対応とは
更新日: 2023.01.04
投稿日: 2022.10.14
3歳頃から始まる、子どもの質問攻撃。
「雨ってどうして降るの?」
「なんでウチには弟がいないの?」
「人は死んじゃうとどこにいくの?」
子どもから質問攻めにされて、困っているお母さん・お父さんは多いのではないでしょうか。
これは「なぜなぜ期」「質問期」とも呼ばれ、対応次第で子どもの自己肯定感や探究心、自ら学ぶ力を養えるチャンスでもあります。
しかし「面倒がらずに答えてあげたい」「一緒に答えを見つけてあげよう」と思ってはいても、なかなか理想どおりには行かないもの。
子どもの年齢や成長段階に合わせて子どもと上手く向き合っていきましょう。
もくじ
なぜなぜ期は「自ら学ぶ力」を養う準備
子どもは1歳半〜2歳の頃、いろいろなものを指差したり、「これなーに?」と名前をたずねることで言葉を覚え、自分の中に溜め込んでいきます。
その時期が過ぎ、3歳頃になるとやってくるのが「なぜ?」「どうして?」といった、ものごとの原因や結果、意味などを次々と質問する「なぜなぜ期」。
興味や関心の幅が広がり、因果関係を知りたがる…まさに脳がぐんぐん成長する時期ともいえます。
同時に、「親は自分が聞いたら答えてくれる」という安心感・信頼感を持ったり、大人と一緒に考えることを楽しんだり、大人とのコミュニケーション活動の一つでもあるのです。
この時期に、「知らないことを知るって楽しい」という学びに対するプラスの感情が根付くと、その後の学習活動がスムーズになり、「探究心」や「自ら学ぶ力」「主体性」などが育ちます。
そして親と一緒に調べたり、人に聞いたりして解決することで、「わからないことは調べればいい」「質問すると解決する」という次の学びへの指針にもなります。
質問されて困ることもありますが、「子どもの成長のステップ」「自分で学ぶ力を蓄えている時」なのだと、前向きに考えられるといいですね。
子どもの質問を受けた時、できれば避けたいこんな対応
急いでいる時に限ってしつこく質問してくる…
何度も同じ質問をして楽しんでいる様子がみえる…
など、つい「イラッ」としてしまうこともあります。
しかし、なぜなぜ期の子どもの質問には、以下の3つの対応が大切。
◯ ごまかさない
◯ 正解を与えなくてもいい
◯ 怒らない
ごまかさない
忙しい時や体調が悪い時など、「なぜ今?」と思う時ほど子どもは食い下がってくるもの。
そんな時はごまかさず・はぐらかさず、「明日、時間がある時に一緒に考えよう」「この用事が終わったら、調べようね」と、今、答えられない理由を正直に伝えるのがいいでしょう。
そして「明日」や「用事が終わったら」という約束は、必ず守ろうとすることも大切です。
子どもからの「なぜ?なに?」の質問は、信頼している相手にこそ投げかけるもの。
適当にやり過ごそうとする大人の態度は、すぐに見透かされて信頼を失いかねません。
せっかく芽生えた好奇心の種ですから、親も誠実に対応したいですね。
正解を与えなくてもいい
「きちんと聞いてあげたい」「正しい答えを用意してあげたい」と真面目に考えているお母さんやお父さんほど、面倒に感じたり、深刻な気持ちになってしまいがちです。
でも常に正解を与える必要はなく、自分の知識で対応できない時は「わからない・知らない」でOK。
「大人でも知らないことがある」と安心するかもしれませんし、一緒に調べたり不思議がったりする方が子どもは心強く感じるでしょう。
「なんでだろうね」「どう思う?」と逆に聞いてみると、ユニークな答えが返ってくるかもしれません。
「面白いこと考えるなぁ」「うちの子、天才かも」と少し気楽に考えてみましょう。
怒らない
「わからない、と言ってもしつこく聞かれる」「何度も同じ質問をする」など、こちらもイライラしてくることもあるでしょう。
また「なんで学校に行かないとダメなの?」「どうして勉強するの?」など、当たり前に思えることをあえて聞いてくることもあります。
もしかしたら、それは子どもが親を試しているのかも。
その質問の裏には、
「お母さんは怒らないで話を聞いてくれるかな」
「本当は学校で嫌なことがあるんだけど、わかってくれるかな」
といった本音が隠されているかもしれません。
子どもの力を伸ばす 「なんで?」「どうして?」への対応とは?
子どもの成長には欠かせない「なぜなぜ期」の質問。
では、子どもから「なんで?」「どうして?」と質問攻めにされた時、どんな対応をしたら子どもの力を伸ばすことができるのでしょうか。
ポイントは5つ。
◯ その場で反応する
◯ 子ども目線で考える
◯ 気づいたことを褒める
◯ 時にはネットに頼らない調べ方を
◯ 勉強につなげようとしない
その場で反応する
子どもの心にふと浮かんだ疑問は、時間がたつとすぐに忘れてしまいます。
子どもの好奇心を鎮火させないように、なるべくその場で答えてあげるのがベストです。
答えを知らなくても「なんでだろう」と一緒に考えたり、「雨は空が泣いているのかも」「星がキラキラするのは笑ってるからかな」など、楽しくて想像力を育むような返答をしてあげたいですね。
子ども目線で伝える
「どうして空は青いの?」
この答えは「大気中に浮遊している微粒子のうち、もっとも強く広く散らばるのが波長の短い青だから」ですが、子どもは常に正解が知りたい訳ではありません。
子どもが小さければ、「神様が一番好きな色なのかな」と空想の世界に飛んでみたり。
小学生になったら、「本当はいろんな色が飛んでいるんだけど、青だけが人の目に届いてるみたい」と簡単なヒントを教えてあげるなど、年齢によって伝え方を工夫してみましょう。
気づいたことを褒める
「どうしてだろう?」と疑問に思うのは、探究心や自ら学ぼうとする気持ちの表れであり、興味の対象が広がっているからです。
まずは「いい質問だなぁ」「よくそこに気づいたね」と、質問した子どもを全面的に認めてあげましょう。
そうすれば「疑問を持つことはいいことだ」「興味を持った自分ってすごい」と、自己肯定感が高まります。
まずは褒めてあげて、答えがわからない時は一緒に調べれば、さらに理解が深まります。
時にはネットに頼らない調べ方を
今の時代、PCやスマホに聞けば、子どもがわかりやすいように説明された答えがたくさん出てきます。
すぐに答えが知りたい時、忙しい時はそれもいいですが、余裕があれば図書館や博物館、動物園やプラネタリウム、科学館などに足を伸ばしてみるのもいいですね。
行った先の専門的な知識のある人に話を聞くことができ、会話の中からさらなる疑問が生まれる可能性も。
あえて時間をかけた遠回りな調べ方が、子どもの興味・関心を広げることもあるでしょう。
勉強につなげようとしない
子どもが様々な質問をし始めると、
「知的好奇心が育った今が勉強のチャンス」
「雑学ドリルを買ってみようか」
などと、つい勉強につなげそうになりますが、ここは我慢のしどころ。
せっかく子どもから生まれた好奇心の芽は、無理に方向転換させるとしぼんでしまい、その後の学びにも興味が持てなくなるかもしれません。
あくまでも子どもの関心やワクワクの延長線上に、本来の「学び」があります。
子どもの質問を一緒に楽しんだり、成長を喜ぶ気持ちにとどまりましょう。
・疑問や質問ばかりの「なぜなぜ期」は脳が著しく成長する時期。
・子どもの質問は全て正解を求めている訳ではないので、時には「わからない」もOK。
・しつこい質問にも、怒らず、ごまかさない対応で。
・子どもの質問は、そう思えるほど大きくなった証。褒めて認めてあげよう。
今回の子どもの「なんで?」「どうして?」の質問、親であれば誰しもが通る道ではないでしょうか?大人からするとなんの疑問にも持たないことも、子どもからするとものすごく興味・関心を持つことだったりします。ここの親から子どもへの対応次第で、今後の子どもの成長や興味・関心につながることが分かりました。面倒くさいと思ったり、分からないけど適当に回答してしまったりしてしまうのか?それとも、子どもの素直な「なんで?」に対して、真摯に対応したり、一緒に答えを調べたりするのか?子どもの興味・関心、好奇心を思う存分に活かせるような対応を心がけてみましょう。
(参考文献)
ベネッセ | 【専門家監修】「なんで?どうして?」3歳ごろからの第二質問期「なぜなぜ期」とのつき合い方
Oriori | 子どものなぜなぜにどうやって答える?質問期の子どもへの対応の仕方とNG対応
SODATTE | 子どもの素朴な疑問にどう答える? 専門家直伝の“上手な答え方”で考える力を育む