「優しい気持ち」や「思いやりの心」を身につけさせる方法とは?
更新日: 2023.01.04
投稿日: 2022.10.28
自分の子どもには、「人に優しくできる子になってほしい」「思いやりを持って周囲に接してほしい」と、親なら誰しも願うことですね。
それらの気持ちは生まれた資質ではなく、育つ環境や声かけなどで育てられるといわれています。
今回は、子どもの一生の財産になる「優しさ」「思いやり」を家庭で育むポイント、身につける方法を考えてみましょう。
もくじ
「優しさ」を育てるには「優しさ」が最良の教科書
優しさや思いやりは生まれつきではないとはいうものの、確かに優しい子のお母さんやお父さんには、優しい人が多いように感じます。
それは普段から「人を思いやる」「相手の気持ちを想像する」という習慣が家族のなかにあり、その接し方が優しい子を育てるのかもしれません。
脳科学者の黒川伊保子さんは、その著書『息子のトリセツ』の中で、「脳は人工知能と一緒なので、“優しい言葉”をインプットしなければ出てこない」と解説しています。
日頃から、
・飲みものをこぼした子には「何やってるの!」ではなく、「こぼしちゃったね、一緒に片付けよう」などの共感の言葉。
・友だちとケンカした子には「いつまで怒ってるの」ではなく、「くやしかったね、○○ちゃんも同じ気持ちかな」などの相手の気持ちに寄り添う言葉。
・子どもの優しい行動に「ありがとう」「嬉しい」などの、プラスの気持ちを表現する言葉。
を伝えると、優しさや思いやりの心が子どもの心の中に芽生えやすくなります。
そのためには、大人が子どもの困った行動や、感情の揺さぶりに引っ張られず、冷静に対応することも大切です。
大人の「優しい言動」や「思いやりのある考え方」が、子どもの「優しさ」「思いやり」の最も身近で真似しやすい教科書になるでしょう。
「優しい気持ち」「思いやる心」が育つのは何歳ころから?
わが子が友だちの悪口を言っているのを聞いたり、
試合に負けたのを「あいつが失敗したからだ」と仲間のせいするのを見たり、
虫や動物をいじめたり、
そんな姿を見ると悲しい気持ちになり、「この子は冷たい子なの…?」と不安になります。
しかし相手の気持ちを想像して優しく接するようになるには「想像力」をはじめ、「共感力」や「対話力」など、さまざまな力が必要。
子どもに「優しさ」「思いやり」が芽生えるのはだいたい3歳頃、身近な人や友だちに優しくできるようになるのが4歳頃、身近ではない人でも心配したり、思いやったりできるようにはるのは、おおよそ5歳頃といわれます。
幼い頃は、大人が心配するような自分勝手な行動も、心や脳が発達途中であるため、「相手にも自分と同じ感情がある」と理解できずにそうしていることが多いのです。
日々の暮らしの中で、少しずつ、根気強く心を育てる必要があるようです。
「優しさ」「思いやり」を育てるための接し方とは?
子どもの成長に月日がかかるように、「優しさ」「思いやり」の気持ちを育くむにも時間がかかるもの。
普段の生活での親の接し方のポイントは3つ。
◯ 人の気持ちを想像する癖をつける
◯ 親が「優しさを発揮する相手」になる
◯ 子どもの「優しさ」にアンテナを張る
人の気持ちを想像する癖をつける
人に優しく接するには、相手の気持ちを汲み取り、想像する力が必要ですが、なかなか周りの人に関心が持てない子もいます。
大人が上手に伝えることで、「自分以外の人も同じようにいろいろなことを感じている」「人の気持ちは自分とは違う」と理解できるようになるでしょう。
絵本を読んだりテレビを観ながら、「この子はお母さんと離れて心細かっただろうね」「そんな風に言われたら、頭にきちゃうよね」と話したり。
友だちや習い事の仲間に関して、「今日の◯◯ちゃん、元気がなかったなぁ」「◯◯くん、練習中くやしそうにしてたね」などと、周囲の人たちの気持ちを想像できるような言葉がけをしてみましょう。
そのうち親が伝えなくても、「きっとあんな気持ちだったに違いない」と想像力をめぐらせ、人の痛みや心を慮(おもんばか)る気持ちが育つでしょう。
親が「優しさを発揮する相手」になる
子どもが4〜5歳になると、お母さんが泣いていたり、痛がったりすると、「大丈夫」「痛いの痛いの飛んでけ〜」などと、大人の真似をして声をかけてくれることがあるはずです。
そんな時、「心配してくれてありがとう」「優しいね」「お母さん、嬉しい」と、少し大袈裟でもいいので、強めに反応してみましょう。
子どもは「人に優しくすると、喜ばれる」「共感してあげると嬉しそうにする」ということを体験し、次もまた同じような行動を取ろうとします。
交友関係の広がりと同時に、相手の様子を見ながら優しく接することができるようになるでしょう。
子どもの「優しさ」にアンテナを張る
例えば、
「◯◯くんが具合悪そうだったから、一緒に保健室に行った」
「交差点でおばあさんが困ってたから、みんなで手伝ってあげた」
など、子どもが友だちや知らない人に優しくしたという話を聞いたら、
「きっと◯◯くん、一緒について来てもらって安心だったと思うよ」
「おばあさん、きっと喜んでるよ。みんな優しいんだね!」
と、この機会に「よく気がついた」「相手は喜んでいる」「人に優しくできてすごい」「人に優しくすることは大切なこと」というたくさんのプラスのメッセージを子どもに伝えましょう。
子どもは「注目された部分」がよく育ちます。
子どもの「優しい行動」「思いやりの気持ち」に親が注目することで、「大切なこと」とインプットされ、次第に習慣化されます。
そのためには親がアンテナを張り、子どもの優しさと思いやりに敏感になる必要がありますね。
「優しさ」と「親切」は違う?
「優しさ」と「親切」の違いを調べてみると、
優しさ…相手のことを考えて、温かく接する行為や言葉がけ。
親切…困っている人や手助けが必要な人を助ける行動のこと。
と説明されています。
この二つは重なり合う部分が多いため、混同されやすい言葉です。
しかしこちらの判断で手助けする「親切」と違い、相手のことを思って行動する「優しさ」は、時には厳しさを伴うことも。
・友だちが試合でルール違反をしたら注意する
・テストや宿題の答案を見せるのではなく一緒にやろうと促す
など、本当の「優しさ」は相手に理解されないことがあるかもしれません。
子どもが毅然と「優しい行動」をした時は、親がたっぷり認めてあげましょう。
・優しい子を育てるには、親の優しい行動や声かけがよいお手本になる。
・優しい気持ちが育つのは、4〜5歳頃から。
・子どもの優しい行動に注目し、相手の気持ちを想像するように誘導すると、次第に思いやりや優しい気持ちが育つ。
今回は、子どもの「優しさ」「思いやり」に焦点をあてたコラムでした。心がほっこりしたのではないでしょうか?優しい子というのは、持って生まれた資質ではなく、育った環境のなかで身に付く力ということが分かりました。またそのさいこうのおてほんになるべきは、お母さんやお父さんということでしたね。親が背中で「優しさ」や「思いやり」を見せてあげることで、子どもは自然と身に付けていくことができるとのことです。夫婦間で思いやりを持ちながら、優しく接し合うというのも子どもにとって嬉しい姿であり、見習おうと思う姿ではないかな?とも感じました。まずは家族の中でお互いに「優しさ」と「思いやり」を持って過ごしてみてはいかがでしょうか?そんな家族が増えれば、自然と世界中の子どもたちが「優しさ」と「思いやり」であふれていきますね。
(参考文献)
・『息子のトリセツ』(黒川伊保子著・扶桑社新書)
・未来へいこーよ | 幼児や小学生が残酷な行動をするのはなぜ? 理由&親のとらえ方も紹介
・学研 キッズネット | 思いやりのある優しい子に育てるために