わが子から、「どうして勉強しなきゃいけないの?」と聞かれたら。 親として知っておきたい「学ぶ」理由とは?
更新日: 2023.01.04
投稿日: 2022.11.25
「なぜ勉強するの?」「どうして宿題しなくちゃいけないの?」と、子どもに聞かれたことはありませんか?
そんなとき、どのように答えていますか?
インターネットや本で調べた模範解答を答えるだけでは、もしかしたら子どもは納得しないかもしれません。
親が自分なりの答えを見つけられるよう、「どうして勉強しなきゃいけないの?」について考えてみましょう。
もくじ
子どもの純粋な疑問「なんで勉強しなきゃいけないの?」に、適当に伝えていませんか?
小学校に入学し、学校で授業がはじまったり宿題が出始めたりすると、わが子から、「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれた経験があるお母さん・お父さんが多いのではないでしょうか。
そんなとき、なんと答えていますか?
「そんなことどうでもいいから、早く宿題しなさい!」など、子どもからの疑問をスルーしてしまうことも少なくないと思いますが、果たしてその答えは子どもは納得し、勉強への意欲をアップさせることができるのでしょうか。
「そんなことどうでもいい」といわれた子どもは、自分の疑問を否定されたように感じ、自分に自信がもてなくなってしまいます。
また、
・「いい高校やいい大学に入るためには勉強が大切なんだよ」
・「学校は、勉強しにいくところでしょ!」
・「今勉強しないで、いつ勉強するの?」
・「今勉強しておかないと、将来苦労するよ!」
などの言葉をかけたことがあるお母さんお父さんもいるかと思いますが、
「いい高校やいい大学に入るためだから」
「将来のためだから」と言われても、たいていの子どもは何年・何十年も先の自分の “将来像” をイメージすることはできませんので、あまり良い答えとはいえません。
なぜ、勉強があるの?なぜ、学ぶの? 日本の教育について知っておこう
そもそも「勉強」という概念は、古代の中国語に由来し、
「励む」という意味だったそうです。
日本では、江戸時代に「勉強=自ら学問に励む」という意味で広く知られるようになり、明治時代に一般的になったそうです。
1871年(明治4年)には文部省が設置され、その翌年の1872年(明治5年)、 日本で最初の体系的な教育法制として「学制」が公布されました。
以来、さまざまな議論をへて、日本における教育の目的は、文部科学省の「教育基本法」に記されています。
これを機会に、教育基本法に書かれている内容について知っておきましょう。
教育基本法には、教育の目的として
(教育基本法第1条:文部科学省より)
と記されています。
さらに、
2 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
3 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
4 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
5 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
という5つの教育目標が掲げられています。
学校教育を受け勉強することで、学力だけでなく豊かな人間性を身につけることができ、子どもの未来や将来の自立につながるのです。
子どもが「勉強しよう!」と思える言葉かけ5つ
わが子から「どうして勉強しなきゃいけないの?」と聞かれたときの、伝え方の一例を紹介します。
「勉強していろんなことを知って、新しいことに興味や関心をもてたら楽しいよね」
勉強すると、さまざまな分野のことに触れることができます。
いろんな言葉、日本や世界の歴史、自然現象や環境のこと……。
今まで知らなかったことを知ると、それだけ世界は広がっていきます。
面白い発想ができたり、新しいことに興味・関心を持つきっかけになることを伝えましょう。
「いろんな勉強すると、将来何になりたいか、たくさんアディアが浮かぶんじゃない?」
将来行きたい大学、なりたい職業、やってみたいことは、自分の知っていたり経験したりしたものの中からしか選べません。
勉強をすると、将来の選択肢を増やすことができるということを、上手に伝えられるといいですね。
「いっしょに買い物に行くときお金の計算ができるのは、算数を勉強してきたからだよね。勉強って、いろんなところで役に立つんだよ」
スマホやパソコンが操作できるのは、ひらがなや英語が読めるから。
料理や買い物ができるのは、算数を勉強してきたからです。
勉強したことは、日々のさまざまな場面で生かされてることを教えてあげましょう。
「勉強すると、自分の好きなことがもっと楽しめるよ」
字が読めればマンガが読めます。算数や理科、歴史などを勉強していれば、ゲームをするときに役立つことがあります。
スポーツをするときも、思考力や発想力、コミュニケーション力が必要です。勉強してさまざまな知識や経験を身につけることで、趣味や遊びなどの楽しいことがもっと楽しめることを教えてあげましょう。
「勉強して、『わかった!』『できた!』が嬉しいよね。自信になると思うよ」
思考錯誤しながらも、問題が解けたり漢字をすらすら書けるようになったりすると、自分に自信がつくもの。周りと比べるのではなく、過去の自分と比べることで、成長を感じられるようになることを伝えましょう。
「あなたはどう思う?」「この知識は、何に役立つかな」など、子どもの意見も聞きながら親子でいっしょに考えてみるのもいいですね。
「子どもだから」といってテキトーに対応するのではなく、一人の人間として真摯に向き合い、寄り添うことで、子どもも前向きに勉強の意味をとらえることができるでしょう。
・「将来のために勉強する」と子どもに説明しても、子どもは理解できない。
・学校教育を受け勉強することで、学力だけでなく豊かな人間性を身につけることができる。
・子どもの意見も聞きながら、勉強の意味や目的について考えてみることも大切。
「なんで勉強しなくちゃいけないの?」という疑問。これはほとんどの親が子どもから言われる言葉ではないでしょうか?また、親自身も子どもの頃、自分の親に聞いたり、思ったりしたことが1度はあるではないでしょうか?改めて、勉強の必要性を考えた時に、親自身が考えさせられる、ためになるコラムでしたね。いい仕事に就くために、いい学校へ行くために勉強をするのではなく、自分の幅を広げることに繋がること、好きなことを見つけることにも繋がることなど、本当の意味で自分のためになるということを気づかせてくれましたね。皆さんの子どもにもぜひ!「なんで勉強するの?」と聞かれたら、子どもが心から素直に納得できるように伝えてみてはいかがでしょうか?
参考文献
「勉強する意味、答えられますか?親から子どもに伝えたいことと伝えるときの注意点」(出典:ベネッセ教育情報サイト)
「教育の目的とは?日本の教育の目的と今必要とされる方向性!」(出典:Teach For JAPAN)
教育基本法(出典:文部科学省)