子どもも大人も必要! 「サードプレイス」の見つけ方
更新日: 2026.02.10
投稿日: 2026.02.06
園・学校や職場、家庭。私たちの生活は、知らず知らずのうちに「役割」で区切られています。
子どもは知らず知らずのうちに「いい子」を求められ、大人は「ちゃんとした社会人」であることを求められる。
そんな毎日のなかで、肩書きや評価を一度手放して、ただ自分でいられる場所はどれくらいあるでしょうか。
近年注目されている「サードプレイス」という考え方は、忙しく生きる現代人にとって、心と体を整える大切な居場所として再評価されています。
この記事では、「サードプレイスとは何か」「なぜ子どもにも大人にも必要なのか」「どうすれば自分に合ったサードプレイスを見つけられるのか」を、3つの視点から紐解いていきます。
もくじ
家庭でも園・学校、職場でもない、第三の居場所「サードプレイス」

「サードプレイス」とは、家庭でも園・学校、職場でもない、第三の居場所のことを指します。
アメリカの社会学者、レイ・オルデンバーグの著作『サードプレイス』(みすず書房)で生まれました。
私たちの生活には、
・遊びや学び、仕事を通じて社会と関わるセカンドプレイス(園・学校、職場)
があります。
そしてそのどちらとも違う、役割や評価から少し距離を置き、自分らしくいられる場所がサードプレイスです。
かつては、近所の公園や商店街、地域の集まりなどが自然とその役割を担っていました。しかし現代では、サードプレイスが失われつつあると言われています。
その背景には、核家族化やデジタル化の進行があります。
核家族化により、地域の中で共に育つといった概念が薄れ、デジタル化でより対面での偶然の出会いや雑談の機会が減りました。
また、人間関係も「必要な人とだけつながる」傾向が強まり、関係性が浅くなりがちです。
さらに、子どもも大人も常に「評価される環境」に置かれていることも大きな要因です。
学校では成績や態度、職場では成果や数字が求められ、家庭でも「良い子」「良い親」であることを無意識に意識してしまう。
そんな日常のなかで、失敗したり弱音を吐いたりできる場所は、意外と多くありません。
だからこそ、サードプレイスは今、あらためて必要とされています。
失敗しても受け入れてもらえる場所。
学校とは違う大人や仲間と出会うことで、多様な価値観に触れ、「自分はここにいていい」という感覚を育むことができます。
仕事や家庭とは別の「自分」に戻れる場所。肩書きを外し、純粋に楽しんだり、身体を動かしたりする時間は心に余白を生み、日常を前向きにしてくれます。
スポーツなどの習い事や地域コミュニティは、こうしたサードプレイスになり得る存在です。
サードプレイスがもたらす変化

サードプレイスを持つことができると、どのような変化が生まれるのでしょうか。
以下、具体的に紹介します。
日常から離れ、気持ちを切り替えられる
仕事や家事、学校生活など、私たちは日々さまざまな役割を背負って過ごしています。その中で、嫌な出来事や思い通りにいかないことを避けて通るのは難しいもの。
サードプレイスがあると、そうした日常から一度距離を置き、気持ちをリセットする時間を持つことができます。
ありのままの自分でいられる
家庭では親や配偶者として、職場では社員や上司として、私たちは常に何らかの役割を求められています。
子どもも、学校生活においては評価がつきもので、時にはプレッシャーを感じる場面もしばしば。
サードプレイスは、そうした肩書きや期待から一歩離れ、「何者でもない自分」でいられる場所です。
頑張らなくても受け入れてもらえる経験は、子どもにとっても大人にとっても心地よく、自己肯定感を支えてくれます。
小さな挑戦が積み重なり、前向きな変化が生まれる
サードプレイスには、失敗を過度に恐れなくてよい空気があります。
そのため、「やってみよう」と一歩踏み出すハードルが下がり、自然と挑戦が生まれます。学校や職場では目立たなかった人が、ここでは生き生きと活動したり、自分の強みを発揮したりすることも少なくありません。
こうした成功体験が、自信にもつながっていきます。
人とのつながりが広がり、視野が広がる
サードプレイスでは、年齢や立場、所属を越えた人間関係が生まれます。
普段の生活では出会わない人と関わることで、新しい考え方や価値観に触れる機会が増えます。固定化された人間関係から少し外に出ることで、子どもも大人も、自分の世界を広げていくことができることが多いです。
支援の必要な子どもが社会とつながることができる
子どもを取り巻く環境はさまざま。
一人で抱えきれないほどの困難な状況にいる子どもには、周囲や行政の支援が必要です。
ニーズに合った適切なサードプレイスにつながることができれば、勉強を教えてもらったり、ご飯を仲間と一緒に食べることができたり、行政サービスと接点を持つことができたりなど、本人の置かれた状況を改善していく機会が増えます。
子どもも、大人も! 自分に合ったサードプレイスの見つけ方

サードプレイスという言葉を知ると、「理想的な居場所を見つけなければ」と構えてしまう人もいるかもしれません。
しかし大切なのは、「特別で完璧な場所」かどうかではなく、無理なく関わり続けられるかどうかです。
サードプレイス探しで大切な3つの視点
「楽しい」よりも「安心できる」かどうか
最初の判断基準は、刺激的かどうかよりも、落ち着いて過ごせるかどうかです。
多少うまくいかない日があっても、「また行ってもいい」と思える安心感がある場所は、自然と足が向くようになります。
サードプレイスは、「いつも楽しい場所」というより、「疲れていても受け入れてくれる場所」であることが多いものです。
週1回でも通える距離・頻度か
どれほど魅力的な場所でも、通うこと自体が負担になってしまっては長続きしません。
自宅や職場、学校から無理なく通える距離にあるか、生活リズムに組み込みやすい頻度かどうかは重要なポイントです。
サードプレイスは、「特別な場所」ではなく、日常の延長線上にあることが理想です。
人との相性が合っているか
サードプレイスの居心地を左右するのは、場所そのものよりも「人」であることが少なくありません。
指導者やスタッフ、そこに集う仲間と話しやすいか、無理をせず関われるか。相性の良さは、安心して自分を出せるかどうかに直結します。
子どものサードプレイスを選ぶときのポイント
子どもにとっての代表的なサードプレイスとして挙げられるのは、以下です。
学童クラブ
ゲームやおもちゃ、まんがなど、子どもが楽しめるものがたくさんあることが多く、また、異年齢の子どもやそれを見守る職員など、多くの人との関わりがあります。
祖父母や親戚の家
祖父母や親戚は、子どもにとって家族に次いで親しみの持てる存在です。
保護者とは立場が異なるため第三者としての視点があり、ある程度客観的に子どもと接することができます。
児童館など放課後の居場所
児童館や地域の放課後の居場所は、学校が終わったあとに子どもが安心して過ごせる場所です。
自由遊びやイベント、学習スペースなどが用意されており、その日の気分や状態に合わせて過ごし方を選べることが特徴です。
習いごと
好きなことや得意なことでつながる仲間との交流は、子どもの健やかな成長を助けてくれるでしょう。
学校以外の友達ができることで、広がる世界もあります。
習い事の場合、保護者が良かれと思って選んだ場所が、必ずしも本人に合うとは限りません。
大切なのは、親の価値観を押し付けすぎないことです。
通ったあとに「また行きたい」と言っているか、表情が生き生きしているか。
そうした小さなサインから、子ども自身がその場所をどう感じているかをくみ取ることが大切です。
大人のサードプレイスの見つけ方
大人の場合は、「昔やってみたかったこと」や「一度離れたけれど気になっていたこと」に立ち返るのも一つの方法です。
学生時代に好きだったスポーツや、興味はあったけれど始められなかった活動は、サードプレイスのヒントになります。
ボランティア、地域コミュニティといった活動も、立派なサードプレイスになるでしょう。
ここ数年、自分の職業スキルを活かして社会貢献するボランティア、「プロボノ」という活動が日本にも広がっています。
ボランティアや地域活動に会社の肩書は関係なく、もちろん上下関係もありません。
いろいろな立場の人と交流する楽しみが、そこにはあるのではないでしょうか。
働き方が多様化する中、従業員が快適に働ける第3の居場所として「サードプレイスオフィス」を導入する企業も増えています。
オフィス内にリラックススペースを設けたり、コワーキングスペースを活用したりなど、取り組み方はさまざまです。

サードプレイスを持つことは、生活を大きく変える決断ではなく、人生の質を少しずつ高めていく選択です。
最初の一歩は小さなものでOK。
気になる場所をのぞいてみる、体験に参加してみる、週に一度通ってみる。
その積み重ねが、気づかないうちに人とのつながりを広げ、日々の充実感を高めていきます。
子どもも大人も、自分らしくいられる「第三の居場所」を持つことで、毎日はもっと豊かになっていくでしょう。
・核家族化、デジタル化が進む現代は、子どもも大人もサードプレイスが必要。
・サードプレイスは「自分」を取り戻し、心身の状態をポジティブに導く。
・子どもも大人も、その子、その人ならではのサードプレイスを探してみよう。
参考文献)
「子どもの「サードプレイス」ってどんなところ? その重要性と活用の方法とは」(出典:学研)
「子どもの居場所はありますか?「サードプレイス」とは?ファーストプレイス、セカンドプレイスについても解説」(出典:みらいいメディア)
「持ちたいのは家庭でも職場でもないサードプレイス。自分のスキルを生かした“プロボノ“や、集える“シェアハウス”で広がる40代の可能性」(出典:東洋経済オンライン)
「子どもに重要なサードプレイスとは?ウェルビーイングを高める4つのキーワード」(出典:ベネッセ教育情報)










