子どものおこづかいは何才から? いくらから? お金教育の基礎知識
更新日: 2025.12.15
投稿日: 2025.12.16
「おもちゃ買って!」「おやつ買って!」と言われたとき、どのように答えていますか?
おこづかいは何才から、いくらから渡しますか?
渡したら、どのように向き合えばいいのでしょう。
子どもが小さい頃から向き合っておきたい、お金教育の基礎知識を紹介します。
もくじ
日常のさまざま場面で「お金」を話題にしよう

「子どもが小さいうちからお金の教育なんて、早すぎる」と思うお母さんお父さんもいることでしょう。
しかし、現金を使うことが減り、電子マネーなど“見えないお金”が増えてきている今の時代だからこそ、子どもたちが小さいときからお金の価値を伝えることが必要です。
難しいことはありません。
・ 親子で買い物にいくとき、「今日はお肉が安いから、晩御飯はお肉料理にしようか」など、お金の話題にふれる。
・買い物をしているときに「〇〇買って!」とねだってきたときは、「今これを買ったら、週末家族でお出かけするときお土産を買うお金がなくなっちゃうね」と“今買えない理由”を伝えるなど、わが家流のお金の使い方を伝える。
・「お金は、お仕事をしてもらえるもの」と教える。
・「お金には限りがあるから、使いすぎると困ることもある」と教える。
など、日常のさまざまな場面で「お金」に関係する話題を取り入れるよう、親が意識するようにしましょう。
子どものおこづかいの渡し方

子どもにおこづかいを渡すとき、どんな方法で渡していますか?
金融広報中央会の調査によると、
● 毎月定額制 小学生:35.5% 中学生:76.5% 高校生:73.1%
● 必要な時に随時 小学生:56.4% 中学生:19.3% 高校生:23.3%
● お手伝いの対価 小学生:2.6% 中学生:1.8% 高校生:0.9%
● 特に決まっていない 小学生:5.5% 中学生:2.4% 高校生:2.7%
という結果になっています。
中高生になると毎月定額がほとんどで、小学生のうちは必要なときに随時渡している人が多いようです。
「毎月定額制」のメリット・デメリット
中高生になると、毎月決まった金額を渡す「定額制」のおこづかいが増える傾向にあります。
行動範囲も広まって友だちと外出する機会も増え、決まった金額のなかでやりくりする訓練のスタート時期としてはちょうどいいのかもしれません。
中学生の平均おこづかい金額は、2,000〜3,000円台が中心。
高校生の平均おこづかい金額は、5,000〜6,000円台が相場になっているようです。
毎月定額制のメリットとしては、
・計画性が身につく
・お金の管理の訓練になる
・子どもに自己決定権がある
・親子のストレスが少ない
デメリットとしては、
・お金を得る苦労が味わえない
・使いすぎる可能性も
・要求額が増える傾向がある
「必要なときに随時」のメリット・デメリット
小学生のおこづかいは、約半数以上が「必要なときに随時渡す」という形式になっています。
これは「使い道を明確にする」「無駄遣いを減らす」などの目的があるようです。
小学生のおこづかいの平均は、低学年で500〜1,000円程度、中高学年になると2,000円近くまで上がります。
必要なときに随時渡すおこづかいのメリットとしては、
・親が使い道をチェックしやすい
・無駄遣いを防げる
・お金管理の基礎を学べる
デメリットとしては、
・計画性が身につきにくい
・親の判断の手間がかかる
・自立心が育ちにくい
「お手伝いの対価」のメリット・デメリット
お手伝いの対価としてだけおこづかいをもらっているというよりも、定額制や都度払いのおこづかいと併用して、「お手伝いをしたときにはボーナス的にお金をもらう」という家庭もあるようです。
仕事の内容や量によって金額は変わりますが、1回30〜100円程度。ポイント制でポイントが貯まるとまとめて1000円など、ルールが各家庭によって違いが見られます。
お手伝いの対価としてもらうメリットとしては、
・お金は労働の対価であると理解できる
・やる気が向上する
・お金の大切さを実感できる
デメリットとしては、
・「家事は家族としての義務」という意識が育たない
・お金が発生しない労働への意欲が低い
・どの仕事をいくらにするかなど、親の管理が大変
今と昔のおこづかい事情の違いはある?

近年、急速に普及が進んでいるコード決済やタッチ決済などの「キャッシュレス支払い」。
現金を持つ必要がなく、ポイントが貯まるなどのメリットもあるので、大人たちの利用頻度もあがっています。
しかし反面、子どもが現金に触れる機会が減り、お金に対する意識の変化も顕著に現れています。
「お金を触ったことがない」という子どもが増え、お金を渡して商品を受け取り、お釣りをもらうという経験が著しく減っているのです。
また「友だちにお金をあげる(もらう)ことに罪悪感がない」「親のカードで課金してしまう」などのトラブルも増加しています。
深刻なのは、友だちに勝手にお金や物品をあげたり、親のカードを使いすぎることに対し、「悪いことをした」という意識が薄いこと。
社会の流れは止められなくても、金銭感覚の基本は家庭で教えられます。
・小学校低学年のうちは、おこづかいは小銭などで渡す。
・なるべく一緒に買い物にいく。
・買い物を意識的に頼む。
など、お金に触れる機会を積極的につくりましょう。
また最近の物価高で、子どものおこづかいの見直しを考えている家庭も多いでしょう。
実際、子どものおこづかいの値上げをするかどうかは家庭によって考え方がまちまちですが、これまで以上に計画的な使い方が重要になってきます。
「なんとなく使っていた」から、「計画的に」「支出管理をする」方向に変化している、子どものおこづかい。
この機会に、親子でお金について学ぶよい機会かもしれません。
おこづかいの“管理の仕方”も教えよう

おこづかいは、以下の3つに分けて管理するのがおすすめです。
・自由に使うお金
お菓子や安価なおもちゃなど、子どもが買いたい物があったときに使います。
・人のために使うお金
おばあちゃんの誕生日や仲良しのお友達の誕生日に、ちょっとしたプレゼントを送るためにとっておくとよいでしょう。
・いざというときのためのお金
欲しいものができたときに備え、普段は使わずコツコツ貯める大切さも教えましょう。
異なる貯金箱を3つ用意して別々にお金を入れたり、3段分あるミニ引き出しにそれぞれ入れたりなど、お金の貯め方も子どもと相談して決めるとよいでしょう。
また、家族で翌月のスケジュールを確認しながら、「来月は〇〇に行くけど、いくら必要?」など、家族で月に1度“お金会議”を開いて意見交換することで、お金に対する意識も高まります。
近年注目されている「投資」についても、親子で話してもいいかもしれません。
例えば貯金は「りんごをそのまましまっておくイメージ」。いつでも取り出すことができて、いつでも楽しめて安心です。
対する投資は「りんごの木を育てるイメージ」。うまく育てれば、木が大きくなってたくさんりんごが収穫できるかもしれないけど、枯れてしまったり、りんごができない可能性もあります。
というふうに、双方のメリット・デメリットも伝えられるといいですね。
親子でお金について学び・実践する機会を持とう!

近年、「お金・金融の基礎知識やリテラシー」を教えるガイドラインが決められ、公的な教育プログラムに組み込まれました。
社会科などの授業で少し触れたり、専門家による出張授業があったりと、少しずつではありますが、導入され始めています。
家庭内でも、「教える」「理解させる」と堅苦しく考えるのではなく、親のお金事情をさらりと話したり、困りごとを共有したり、オープンにお金のことを話してみましょう。
子どもにとってお金のことが身近になり、より真剣に考える機会になるかもしれません。
子どもが目的をもってお金を貯めたり、だれかのためにお金を使うことが自然とできるよう、ときにはアドバイスもしながら見守っていきたいものです。
・子どもが小さい頃から、家庭の話題に「お金」を取り入れる
・おこづかいを渡す場合は、親子でルールを決める
・家族で「お金会議」を開こう
(参考文献)
・マンガで覚える 図解 おこづかいの基本(八木陽子:監修 つちや書店)
・学校では教えてくれないお金のこと(マンガ、イラスト:関 和之 旺文社)
・リセマム|子どものおこづかい、始める時期は小1最多 5%は電子マネー
・ソニー銀行 | おうちで金融教育
・学研オンエア | 小学生に渡すお小遣い事情&金銭感覚を育てる効果的な渡し方を解説











