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成長期に思うようにスポーツができなくなる「クラムジー」を知っておこう

更新日: 2024.08.21
投稿日: 2024.08.27

成長期に思うようにスポーツができなくなる「クラムジー」を知っておこう

「クラムジー」とは、成長期の子どもに起こる一時的な運動能力の低下をさします。
クラムジーは何歳くらいに、どのように起こるものなのでしょうか。
なぜ、クラムジーが起こるのでしょうか。わが子がクラムジーに陥ってしまったらどうすればよいのでしょうか。
スポーツを頑張る子どもを応援する保護者として知っておきたいことを厳選して紹介します。

クラムジーの基礎知識〜何歳くらいに起こる? その原因は?〜


「クラムジー」という言葉、聞いたことはありますか? ここでは、クラムジーの基礎知識について紹介します。

クラムジーとは

クラムジーとは英語で「ぎこちない・不器用な」といった意味があり、スポーツの世界においては、成長段階における一時的な運動能力の低下を指します。

クラムジーになると、

・ 以前は敏捷な動きだったのに、いつのまにか動きが鈍くなる。
・ 技術の伸びが見られない。
・ 今までできていたプレーができなくなる。
・ 体が硬くなる。
・ 短距離走のタイムが落ちる。

などがしばしば起こります。
真面目に練習に取り組んでいてもそうなってしまうことがあり、指導者や親からは「なんで出来ない!」などと責められ、スポーツを辞めてしまいたくなる選手もいるようです。

何歳くらいに起こる?

クラムジーが起こるのは、小学校高学年頃から高校生ごろと言われています。
さまざまなスポーツの中でも、

・ バスケットボールやバレーボールなどジャンプを伴う競技
・ 野球、サッカー、陸上など走る動作が多い競技

は、クラムジーが起こりやすいと言われています。

また、クラムジーの期間については、個人差がありますが、1〜2年ほど継続することが多いようです。

オスグッド病とは

クラムジーと背景が似ている症状として、「オスグッド病」があります。
オスグッド病は、体の急成長によりひざの周辺に痛みが出る疾患です。
筋骨格系の急激な成長に脳の神経応答が追いつかず、膝の周辺に痛みなどを引き起こします。
クラムジーと同様、ジュニアスポーツの現場で、子どもたちを悩ます現象として知られてます。

クラムジーの原因は?

クラムジーの原因は、すばり、「身体の成長」です。
成長期で身長が急激にのびると、身体の運動を司る脳が、身体のサイズを正しく認識することが間に合わなくなることがあります。
つまり、これまでの小さい身体を動かすのと同じ指令を大きくなった身体に出し、運動させようとするのです。

そうなると、これまで出来ていたスムーズな運動はできず、ぎこちない動きになってしまうのです。
それだけでなく、新しい技術を習得することもスムーズにはいかなくなってしまうというわけです。

クラムジーの対処法と、クラムジーの時期にやってはいけない練習


この記事を読んでいるお母さんお父さんのお子さんたちは、まだ低年齢で、クラムジーに悩む時期ではないかもしれません。
しかし、スポーツを続けるうちに、いずれこうした課題と向き合うときがくることもあるでしょう。

そのときのために、お子さんが小さいうちから、クラムジーになったときの対処法を知っておくことが大切です。
以下、クラムジーの対処法を紹介します。

焦らず、身体の成長を待つ

クラムジーは、身体の成長に自分のプレーの感覚が追いついていない状態であり、一時的なものです。
クラムジーの期間は焦らずに身体の成長にプレーの感覚が追いつくまで待つことが大切です。
プレーがうまくできないからといって、今まで以上の量の練習をこなすのではなく、これまで身につけてきた技術の復習に取り組むなどしましょう。

子どもに、クラムジーについて教えてあげる

クラムジーのことを知らない子どもも多いでしょう。
悩んでいる様子や焦っている様子が見られたら、「もしかしたら、クラムジーかもしれないね。クラムジーっていうのはね・・・・」など、クラムジーの概要について教えてあげるのも一案です。
教えることがパフォーマンス低下の解決に直接つながるわけではありませんが、不安や焦りの気持ちを和らげることができるでしょう。

競技練習よりもストレッチやフィジカルトレーニングを

クラムジーの時期は、専門としている競技の動作を上達させるための練習よりも、

・ ストレッチ
・ 体幹を鍛えるエクササイズ
・ スクワット
・ 回転ジャンプ
・ シャトルラン

など、運動能力の伸びやすいフィジカルトレーニングを優先させるとよいと言われています。
今やっているスポーツ以外のスポーツを楽しむのもよいでしょう。

クラムジーの時期にやってはいけない練習

クラムジーの時期にやってはいけない練習は、以下です。

・ 体に無理な負荷をかけるトレーニングや練習
・ 新しいことを覚えるトレーニングや練習
・ 癖や違和感を直そうとする練習

クラムジーは最初に述べた通り、「体の成長が、脳や神経系、感覚器がついていけていない」状態です。
そんな時に、新しいことを覚えようとしたり無理に負荷をかけたりすると、今までの運動経験をより混乱させてしまうことにつながります。

あのスポーツ選手も乗り越えてきた!クラムジー


「もっと上手になりたい!」とスポーツを頑張っている子ほど、クラムジーの状態になってしまうと、良いパフォーマンスができないことで気持ちが落ち込み、先が見えない状況に陥ってしまうかもしれません。

しかし、クラムジーを乗り越えている選手はたくさんいます。

例をあげましょう。
サッカー元日本代表に名を連ねていた清武弘嗣選手や高橋秀人選手は、インタビューなどでクラムジーに悩まされた時期があったことを語っています。
清武選手は中学1、2年生時にオスグッドに苦しみました。しかしその後、当時の育成アドバイザーから指導を受け、克服したそうです。

また、高橋選手はクラムジーによって以前のスピードを失ってしまったそうです。しかし、それをきっかけにボランチとして活路を見出し、天職を見つけたといいます。

さらに、現在サッカー日本代表の鎌田大地選手は、中学校の3年間で身長が25cmものび、クラムジーに陥りました。
しかし高校生になり、寮生活を通して仲間やチーム全体に意識が向いたことをきっかけに、乗り越えることができたそうです。

クラムジーに陥った時は、前述した通り、焦らず、特別なことをしないことが一番の対処法です。
時間が経過するにつれて、身体の成長にプレーの感覚が追いついてくるため、少しずつ以前のようなプレーができるようになることが多いと言われています。

クラムジーは、誰もが直面する可能性のある“伸び悩み”の時期。
そんな時期がやってきたら、クラムジーという現象、子どもの成長にはそういう時期があることを思い出して、

「悩んでいるのはあなただけではないと思うよ」
「一時期的なものだし、スポーツが下手になったわけではないよ」
「焦らなくて大丈夫」

など、おりにふれて声をかけてあげるとよいですね。

大きくジャンプするためには、一度身をかがめる動作が必要です。
スポーツだってそれは同じです。悩んだ分だけ、身をかがめた分だけ、次のステップはより大きく飛躍できるはずです。

クラムジーは、防げられるものではありません。
「クラムジーが終わってから活躍するために、今は耐え時」と考えること、おおらかな気持ちで子どもを見守る親の姿勢が大切であることを、心にとめておきたいですね。
 

まとめ

・クラムジーは、「成長期の子どもに起こる一時的な運動能力の低下」
・ クラムジーの時期は、体に無理な負荷をかけるトレーニングや練習はNG
・ おおらかな気持ちで子どもを見守る親の姿勢が大切

参考文献)
「クラムジーとは? 言葉の意味から具体的な対処法まで解説」(出典:サカイク)
「成長期に思うようにスポーツができなくなるクラムジー その症状とケア方法は」
(出典:朝日新聞EduA)
「成長による不調と対策 事例③成長期を襲う不調クラムジー」(出典:理学療法士 西川匠のブログ)
「【鎌田大地 切り拓く選手道】体の成長に苦しんだ中学時代 仲間、チームを意識した高校時代」(出典:サンスポ)
「ある日突然、思い通りにプレーが出来なくなった。それは成長期に訪れるクラムジーかも知れません」(出典:サッカーキング)

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