「片付けなさい!」とうるさく注意…子どものだらしなさを克服する親のアプローチ
更新日: 2024.06.21
投稿日: 2024.06.18
子どもの散らかった部屋や持ち物にうんざりしていませんか?
「片付けなさい!」と注意しても、一向に改善されずに悩んでいるのは、他のお母さんたちも一緒です。
多くの保護者が、子どものだらしなさに頭を悩ませています。
しかし、「片付けなさい!」と叱るだけでは、問題は解決しません。
むしろ、子どもは反発したり、自信を失ったりしてしまう可能性があるでしょう。
この記事では、子どもの自己管理力を養い、だらしなさを克服するための親のアプローチについて紹介します。
もくじ
子どもがだらしないと思っている親は何割?
「子どもがだらしない」と思っている親は、どのくらいいるのでしょうか。
「ベネッセ教育情報」編集部が行ったアンケートによると、
「あなたは、お子さまの整理整頓に満足していますか?」の問いに対し、「とても満足している」と回答したのは、わずか2.8%。
「満足していない」と回答した保護者が、80%近くを占めました。
子ども部屋がどれくらい片付いているかについての質問では、「すっきり片付いている」という保護者は、わずか5.4%。10人中1人に満たない割合です。
一方、「服や教科書などが乱雑に落ちている」という保護者は、45.5%。「足の踏み場もない」を合わせると50%を超えます。
・ 子ども部屋がちらかっている。
・ 子どもがだらしないと思っている。
という保護者が非常に多いことがわかります。
片付けができない原因
ここでは、「なぜ子どもが片付けができないのか」について、いっしょに考えてみましょう。
片付けの意味がわかっていない
部屋が綺麗だと必要な物がすぐに見つかる、掃除がしやすいなど、片付けのメリットを認識できていない場合があります。
特に、子どもの頃は、「散らかしたほうが自由で楽しい」と感じることも多く、片付けの必要性を理解することが難しい場合があります。
遊びを中断したくない
大人は、「そろそろ出かけるから」など次の予定への見通しが立てることができますが、子ども時代はそのような感覚が未熟です。
遊んでいる最中は、「片付けよりも目の前の遊びに集中したい」という気持ちが強く、片付けを後回しにしてしまうことがあります。
特に、遊びに夢中になっているとき、友達と遊んでいるときなどは、なかなか切り替えることができません。
収納場所まで物を移動するのが面倒
子どもは体が小さく体力がないため、「収納場所に背が届かなかったり、重い物を持ち運んだりだりするのが大変」という理由で、片付けを億劫に感じてしまうことがあります。
また、収納場所が物の近くにない場合、わざわざ移動するのが面倒で、片付けを後回しにしてしまうこともあります。
一方的に片付けを強要されるのが嫌
親から一方的に片付けを命令されると、子どもは「自分の意見を聞いてもらっていない」と感じ、反発心を抱いてしまうことがあります。
特に、子どもは「自分で考えて行動したい」という気持ちがもともと強いため、一方的な指示に従うことを嫌がる傾向があります。
「片付け」の基準がよくわからない
「片付けなさい」と言われても、具体的に何をすればいいのかわからず、どうしたらいいか迷ってしまうことがあります。
整理整頓の基準が大人とは異なるため、何をどこへ片付ければいいのか、片付けの基準が理解しにくい面もあるでしょう。
整理と整頓の違い
そもそも、「片付け」とは、使ったものを元の場所に戻すこと。
片付けと似た言葉に「整理」「整頓」がありますが、それぞれの違いを知っていますか?
整理
「整理」とは「いるものといらないものを分け、いらないものを捨てる」こと。
「おもちゃの片付けが苦手」という子どもの場合、自分が管理できる分量を超えたおもちゃを持っている可能性が高いものです。
「まずは、使わないおもちゃをひとつの箱にまとめて押入れにしまう」など、使わないものを選別する「整理」が先なのです。
整頓
「整頓」とは、「必要なものをいつでも誰でも取り出せるよう、秩序だてて配置する」こと。
おもちゃの整理で要るものを分けたら、「バスケットやボックスを使って種類ごとに収納する」など、出し入れしやすい状態にするのが、「整頓」です。
また、「整頓」では、要るものの使いやすさを考えて、置く場所のルールを決めます。
子どもに片付けを教える際は、この2つの原則を忘れないでおきましょう。
親ができるサポート
ここでは、子どもの自己管理力を養い、だらしなさを克服するために親ができるサポートについて、解説します。
環境を整える
まずは、子どもが片付けやすい環境を整えることが大切です。
収納場所にラベルを貼ったり、絵を描いたりして、わかりやすくしておきましょう。
また、子どもが自分で簡単に出し入れできるよう、低い位置に収納場所を設けることも効果的です。
遊んだ後は片付ける習慣が身につくよう、遊びスペースの近くに収納場所を設けるのも一案です。
時間を決める
毎日決まった時間に、片付けの時間を作るようにしましょう。
ただ時間を決めるだけでは取り組まないこともあるため、毎日決まった時間になったらタイマーや音楽が鳴るようセットしておき、それを合図に片付けをするようにしましょう。
このとき、親がいっしょに片付けに参加することで、子どもは片付けの仕方を学ぶことができます。
親が模範を見せる
子どもは親の姿をよく見ています。
リビングやキッチンなど、子どもがよく目にする場所は物を置きっぱなしにしないように心がけましょう。
ただし、完璧をめざす必要はありません。
親自身が整理整頓を心がけ、可能な範囲で行動に移すことで、子ども自然と真似するようになります。
習慣化させるコツ
子どもの片付け、できれば習慣化させたいですよね。
ここでは、子どもの片付けを習慣化させるためのコツを紹介します。
お手本を見せながら一緒に片付ける
最初は親が片付けを率先して行い、その様子を子どもに見せることが大切です。
その後、徐々に子どもといっしょに片付けをするようにしましょう。
「ぬいぐるみはこの棚にしまうよ」「絵本はここにまとめようね」など、片付け方や整理整頓の仕方をていねいに教えることで、子どもは自然と真似をするようになります。
片付けを遊びにする
歌を歌ったり、音楽をかけたり、宝探しのようにゲーム感覚で取り組んだりすることで、片付けを楽しくすることができます。
「おもちゃを片付ける競争をしよう!」「制限時間内に片付けられたらおやつにしよう!」などと声をかけるなど、遊びの延長のような形で片付けできるような声かけを工夫してみましょう。
片付けやすい工夫をする
収納場所を低くしたり、収納するものの名前を書いたラベルを貼ったりするなど、子どもが自分で片付けやすくなるような工夫を施しましょう。
子どもの力ではふたが開けづらいような収納ボックスを使ったり、箱を細かく分類し過ぎたりすると、片付けのハードルが上がってしまいますので注意が必要です。
片付けるタイミングを決める
「遊びが終わったら」「ごはんの前」「お風呂に入る前」など、片付けるタイミングについて子どもと話し合い、決めておきましょう。
片付けのタイミングを明確にすることで、おうち時間の過ごし方のリズムができ、習慣化につながりやすいといえます。
「一時置き場」を作る
親子で決めた収納場所に片付ける習慣がつかない場合は、一時的に片付けるものをまとめておく「一時置き場」を作るのも一つの方法です。
カゴやバスケットを活用するのはもちろん、「床にプレイマットや段ボールを広げてその上に一時的に置く」などもよいでしょう。
子どもができる範囲で
最初は、「おもちゃを箱に入れる」など、シンプルな片付けから。
無理やり最初から最後までやらせようとせず、ときには親が手伝ってあげてもOK。
子どもができる範囲で片付けを習慣づけしていき、少しずつ難しい整理整頓にチャレンジしていきましょう。
スモールステップで進めていくことで、自信につながります。
片付けられたらたくさんほめる
少しでも片付けることができたら、「きれいに片付けられたね」「一人でちゃんとできたね」などと言葉をかけ、しっかりほめてあげましょう。具体的な行動をほめることで、片付けに対するモチベーションを高めることができます。
親子で楽しく整理整頓
子どものだらしなさを克服し、片付けを習慣化するには、根気よく続けることが大切です。
しかし、単なる義務感では長続きしません。
親子で協力しながら楽しく片付けられる環境をつくることができれば、 子どもにとっても貴重な経験になるでしょう。
整理整頓は、部屋がきれいになることはもちろん、自己管理力や集中力、「自分でお片付けできた!」という自信や自己肯定感など、子どもの成長に必要なさまざまな力を育む効果があります。
片付けや整理整頓を通して、子どもと一緒に成長していく時間を楽しめるとよいですね。
・「子どもが片付けない」。これには子どもなりの理由がある。
・「片付けを楽しむ」マインドを子どもにもたせることが大切。
・親が根気よく向き合い、片付けを習慣化させることが、子どもの自己管理力の向上につながる。
参考文献)
子どもの「整理整頓」、保護者の8割が不満!(出典:ベネッセ教育情報)
子どもに片付けを習慣化させたい!片付けができない理由と習慣化のコツをご紹介(出典:学研教室お役立ち情報)
「片付けができない子ども」をどうする?片付ける子になるための親の工夫(出典:キッズカウ)
【片づけ】永久保存版!「片づけと掃除」「整理と整頓」の違いをわかりやすく解説!(出典:サンキュ!)