親子の絆を深める自然体験キャンプ
更新日: 2023.09.25
投稿日: 2023.09.29
子どもと一緒にキャンプに行き、テントを張ったり料理を作ったりするのは、親子のかけがえのない経験になります。
特にそれが自然豊かな環境であれば、子どもの五感に刺激を与え、好奇心や探検心、想像力、計画性、意欲、粘り強さなどの非認知能力を高めることに直結するでしょう。
また親子や兄弟で自然体験をすることで、コミュニケーションが深くなり、絆も強くなりますね。
さぁ親子で自然のなかへ出かけて、さまざまな体験を通して親子のつながりを強く深くしてみませんか。
もくじ
家族でキャンプをする魅力
家族でキャンプをするのは、「楽しさ」や「非日常体験」以外にもたくさんの魅力やメリットがあります。
ここでは、家族キャンプの魅力について紹介します。
家族内のコミュニケーション力がアップ!
自然の中で寝泊まりし、食事も自分たちで作るキャンプでは、「テントを張ろう」「水を運んできて」「今日はカレーだから野菜を切ろうか」などと、とにかく親子で話すことが増えます。
そして子どもにとっても、「カエルがいた」「滝があるよ」と報告したい発見もたくさんあるでしょう。
いつもはテレビが流れていたり、スマホを見ていたりと、情報を受け取ることが多い現代人にとって、能動的な発見や驚きがあるキャンプは「伝える」「教えたい」「協力する」といったコミュニケーション力がぐんとアップするよい機会。
親子キャンプは親子のみならず、兄弟姉妹やお友だちとの関係性も深まるので、いつもはできない話をゆっくりとするチャンスでもあります。
子どもの積極性が育つ
テレビやゲームから距離を置き、最初は少し手持ち無沙汰な子どもも、すぐに慣れて荷物を運んだり、テントを張ったり、自分にできる役割を果たすようになるでしょう。
キャンプではやるべき仕事がたくさんあり、皆がキビキビと動き回るので、普段は消極的な子も自然と能動的に行動できるようになります。
このチャンスを活かして、自然体験キャンプでは子どもを「遊びのリーダー」にして、楽しいことや冒険遊びの主導権を握ってもらいましょう。
「明日は川に行きたい!」「お皿、洗ってくるね」と、子ども自身から積極的動くようになったら「楽しそうだね!」「助かる」と励ます声がけも忘れずに。
非認知能力が高まる
子どもは自然のなかで、水の冷たさを感じ、虫の声に耳を傾けながら、焚き火の熱さを感じて驚いたり、重くて水が運べない悔しさを経験するかもしれません。
そんな「考える」よりも「感じる」経験を多くすることで、教科書からは学べない「生きる力」、つまり非認知能力を身につけられます。
自然体験により高められる非認知能力は、
・自己管理力
・リーダーシップ
・対応力
・思いやりの気持ち
・計画する力
・課題解決力
このほかにもたくさんがあります。
日常生活で「どうしたら子どもの積極性が身につくか…」と考えるより、週末などを使って家族で自然の中へ遊びに出かければ、楽しく身につけられて一石二鳥。
そして帰りの車や帰宅後に、「何が楽しかった?」「○○美味しかったね」と振り返り、絵日記などでアウトプットすることで、さらに非認知能力を高めることができます。
トラブル予測・対応力が養われる
なかなか薪に火がつかなかったり、突然雨が降ってきたりと、自然を相手にすると思い通りにならないことばかり。
それは「計画どおりにいかない」「できると思ったことができない」といったトラブルや予想を裏切られた時の対応力が鍛えられるということ。
そういった経験を重ねることで、「雲が大きくなって風が吹いてきたら雨が近いかも」「椅子やキャンプ道具を濡れないようにしよう」などと、来るべき事象を予測して、対応する行動が取れるようになるでしょう。
そしてキャンプの準備段階から、「雨の時のためにポンチョを入れよう」「防水スプレーをしておかなきゃ」とさらに前段階からトラブル予測や問題回避のための行動ができるようになります。
感動・驚き・静けさを体感できる
今はテレビやネットを通して様々な風景や自然現象を見ることができますが、実際に体感するのとは大きな違いがあります。
例えば滝のダイナミックさや川の水の冷たさ、真っ赤な夕やけや落ちてきそうな満天の星など、自然体験キャンプでは言葉では説明できない「感動」や「驚き」をたっぷり経験するでしょう。
また意外と大切なのが、「暗闇」や「静けさ」を体感すること。
明かりがなければ10cm先も見えない暗さや、迫ってくるような静けさは、「怖さ」と隣り合わせであることも理解できます。
自然のなかでしか体験できない五感への刺激は、子どもの経験値が格段に広がり、想像以上の実りがあるはずです。
自然のなかで過ごそう! 親子キャンプの楽しみ方
自然体験キャンプでは、親子で一緒にできる遊びやアクティビティがたくさん!
予約をして参加するようなアクティビティもありますが、ちょっと川遊びをしたり、草むらに目をこらすだけでも新たな発見があります。
親子キャンプの楽しみ方を紹介していきましょう。
夜の散歩
現代の日本では停電することもほぼなくなり、暗闇で過ごした経験のある子どもは少ないでしょう。
明かりがなければ、何も見えないほど真っ暗になるのが自然の環境。
昼間のうちに危険がないかをしっかり下調べして、夜になったらライトの明かりだけで散歩をしてみましょう。
「ライトだけだと狭い範囲しか見えない」「虫が照明に集まってくる」など、普段とは全く違う暗闇での体験ができ、家族でいる心強さも再認識できますね。
たき火
燃え盛る火を間近で見る機会は、子どもにとって貴重な体験。
・火をおこす
・薪に火を移す
・空気を送り込んで火力をキープする
・火がついている間は必ず火の番をする
など、「たき火」には火の取り扱いのポイントがすべて詰まっています。
パチパチと音を立てて燃える火を見つめるのも、日頃はできない思考を深める機会になるでしょう。
アクティビティ
カヌーや釣り、アスレチックや自然観察など、子ども向けアクティビティを用意しているキャンプ場も増えています。
子どもだけ参加させて、大人はのんびり…もいいですが、せっかくなら大人も童心にかえって一緒に楽しむと、よい思い出になること間違いなしです。
「施設の人の話をよく聞いている」「意外と慎重なタイプ」など、子どもの知られざる一面が見られるかもしれません。
大人が一生懸命アクティビティに取り組む姿を子どもに見せるのも、よい刺激になります。
虫捕り
キャンプ場にはカブトムシやクワガタはもちろん、蝶やトンボ、バッタ、トカゲなど多くの昆虫や爬虫類たちが生息しています。
ちょっと草むらをのぞいてみれば、そんな生物たちに触れることができるでしょう。
キャンプ場によってはバナナや蜂蜜などでトラップを仕掛けて、虫取りができるところもあるようです。
「虫が怖い」「触れない」という子も、キャンプに慣れるうちに虫捕りに夢中になるかもしれません。
水遊び
キャンプと言えば水遊びですね。
魚を釣ったり、川に入ってみたり。
自然のなかの水は、夏でも冷たくて驚く子どもも多いでしょう。
ライフジャケットを装着するなど、安全性を確保しながら大人と一緒に川や湖、海などの水辺を探検してみましょう。
親子キャンプの注意点
キャンプはいつもとは違う環境なだけに、熱を出したりケガをしたり、突発的なトラブルも増えます。
トラブルは「起きるもの」として、対策準備をしてキャンプに出かけましょう。
「こんな時、どうしたら?」から「トラブル対応事前準備」まで、まるッとご紹介します。
ケガや虫刺され
キャンプ時はケガ防止や虫除けのために、なるべく長袖長ズボン着用がおすすめ。
切り傷やすり傷なら、傷口をよく洗って消毒し、ガーゼや絆創膏で保護しておくと安心です。
捻挫や打ち身の場合は、すぐに冷やして様子を見たうえで、心配なら医療機関を受診しましょう。
自然たっぷりの環境では、ブヨやアブなどかゆみが強い虫に刺されることも。
虫除けスプレーや蚊取り線香は必ず持参して、こまめなスプレーを心がけましょう。
発熱や体調不良
キャンプなどのイベントがあると、大人も子どもも張り切っているため、現地で体調不良に気づくことも多いもの。
高熱でなければフルーツや飲み物をたっぷり摂って、テントの中で静かに過ごしてもいいでしょう。
ただし子どもは夕方〜夜にかけて熱が上がったり、体調が変わりやすくなるので、早めに医療機関に連れて行くと安心です。
キャンプに行く際は、近くの医療機関や休日夜間医療情報を調べておくといいですね。
また厚生労働省の医療情報ネットなども有効利用しましょう。
たき火での注意点
火の扱いに慣れていない子どもは火に近づきすぎたり、火傷などのトラブルになりやすいもの。
「ナイロン製の衣類は溶けるから着ない」「軍手も綿100%のものを使う」「火の粉が隣の人に行かないように注意する」などの注意事項を共有することも大切です。
多少の危険をともなうたき火ですが「火は危ない」と子どもを遠ざけるのではなく、少しずつ慣れて・学んで、火の扱いに慣れていけるように親子一緒にたき火を楽しみましょう。
もし火傷をしてしまったら、可能であれば流水で15〜30分ほど冷やします。
水ぶくれができているようなら、念のため医療機関を受診した方が安心です。
トラブル回避のために大人ができること
病気や怪我などのトラブルに関しては、しっかり準備をしておくことで対応が可能です。
それ以外の突発的なトラブルに関しては、まずは大人が「子どもから目を離さない」ことが大切。
テント設営や料理、水汲みなど仕事の多いキャンプで、常に子どもの様子を見ているのは難しいですが、オートキャンプ場など車の往来が多いキャンプ場もあります。
キャンプ場に到着したら、まずは親子で周囲の探検をして「ここから先は川に落ちる可能性があるから子どもだけで行ったらいけない」などと危険区域を具体的な理由と一緒に伝えたり、「お母さんとお父さんが見えるところにいてね」と行動範囲を決めて共有しておけば、子どもも理解しやすいでしょう。
せっかくの親子の自然体験キャンプ。子どもに小言を言わなくて済むように、大人も余裕を持った気持ちで過ごすように心がけましょう。
家の中でもできるお家キャンプ
遠出をしなくてもできるキャンプ、それがお家キャンプです。
「キャンプ用具を試す」「雨の日のイベント」「子ども連れキャンプの予行練習」など、その目的はさまざま。
家でできるキャンプの注意点やポイントを紹介します。
家キャン(お家キャンプ)
家にテントを立てて、その中で食事をして寝袋で寝れば、それは立派なお家キャンプです。
あえて食事もキッチンではなくカセットコンロで作ってみたり、冷蔵庫ではなくクーラーボックスで飲み物を冷やしたり、食器もキャンプ用を使うなどして気分を盛り上げましょう。
夜になったら電気ではなく、ランタンに明かりを灯し、この日だけはテレビもスマホもちょっとお休み。
そして、最後は寝袋で家族全員で川の字で寝てみたら、もう気分は外にいる感覚。
たき火や花火はできないけれど、キャンプ用具の使い方の練習もでき、親子で楽しめる家キャンは気軽にできる週末のイベントとしておすすめです。
ベラキャン(ベランピング)
ベランダにテーブルや椅子を出し、タープなどを張ってキャンプ気分を味わうこともできます。
※タープとは、日差しや雨、風などを防いだり、テーブルやチェアを置いて食事をしたりくつろいだりする場所を作れる布状の屋根のことです。
その際、ベランダへの窓を開け放して部屋と地続きにすれば、さらにスペースが確保できるうえ、小さい子がいてもおもちゃや遊び道具も用意できるので便利ですね。
ベランダでのキャンプは、家の中よりも風を感じられ、風景も変わるためいい気分転換になります。
集合住宅のベランダでキャンプをする場合、最初に気をつけたいのが避難経路を邪魔しないようにキャンプ用具を設営すること。
そして騒音や煙を出さないように注意しましょう。
庭キャン(庭キャンプ)
庭キャンプなら、よりキャンプに近い擬似体験ができます。
テントやタープを張り、テーブルや椅子をセットして食事をしたり、大人はちょっぴりお酒を楽しんだり…。
突然雨が降ってきても、テントの中にこもって家族でトランプやボードゲームを楽しむなど、キャンプに行ったらこんな風に過ごすかな…をやってみることができますね。
「忘れ物した!」「お風呂に入れない」という心配もなく、子どもがいても安心してキャンプ気分が味わえるのも、庭キャンプのいいところ。
夜になったら、もちろんランタンやランプで「夜」そのものを体感。
「虫の鳴き声がこんなにするんだ」「意外と星が見えるね」など、新たな発見があるかもしれません。
集合住宅の場合は管理規約などを確認してから使用しましょう。
自然遊び&自然体験は子どもの教育的効果が高い
自然の中へ家族で出かけて行って、そこで虫やどんぐりを発見したり、大声で笑って走り回ったり、そんな何気ないことが、実は子どもの感性を磨くために非常に大切です。
また計画を立てて準備をし、実際にキャンプを決行して、撤収して帰ってくるという一連の流れから、「計画性」「実行力」「思いやり」「判断力」「想像力」「リーダーシップ」などのさまざまな非認知能力を高め、発揮できる場面が多くあります。
そして自然は予測できないことが多いため、フレキシブルな対応や柔軟性、課題解決力が鍛えられるでしょう。
自然体験で子どもの非認知能力を伸ばし、豊かな経験をさせるには、親の「環境づくり」も大切です。
子どもが昆虫好きなら海よりも山へのキャンプにする、水を怖がるようなら慣れるために水遊びができるキャンプ場を選ぶなど、子どもが伸び伸び楽しめる、子どもにプラスになるような計画を立てたいもの。
また、せっかく自然の中に行ったのに、大人が「スマホに夢中」「テント設営ができずにイライラ」なんてことがないように、余裕のあるスケジュールで決行しましょう。
テント設営に挑戦したり、協力し合って料理を作ったり、親子の共同体としての絆も実感できる自然体験キャンプは、教育的効果が高いうえに家族で楽しめるメリットの高いイベント。
最近は道具を持たずに楽しめる「手ぶらキャンプ」や、ホテルに泊まるような感覚でできる「グランピング」も盛んです。
少しずつ過ごしやすくなるこの季節、今しか経験できない親子キャンプの計画を、早速立ててみませんか。
・家族で自然体験キャンプに行くと、子どもの感性が刺激されたり、非認知能力が鍛えられたり、家族同士のコミュニケーション力がアップしたりと、いいことがたくさんある。
・宿泊をともなうキャンプなら、夜に散歩に行ったり、現地でアクティビティに参加したりと子どもの体験の幅も広がる。
・体調不良や虫さされ、火傷など、予測できるものは対応方法を考えてから行き、キャンプ場近くの医療機関も事前にチェック!
・家にいてもキャンプ体験はできるので、予行練習や週末イベントの感覚でキャンプを楽しもう。
(参考文献)
MY HOME Magazine | 非認知能力とは? 自然遊びで子ども「非認知能力」を育む方法を専門家が解説
Hinata | ファミリーキャンプが子どもに与える6つの効果! 将来にも影響!?
日本キャンプ協会 | キャンプの効果と意義
Oriori | キャンプで非認知能力を育もう