物分かりの悪い親の方が良い!?子どもが自分の意見を言えるようになるためにできること
更新日: 2023.01.04
投稿日: 2020.03.19
もくじ
意見を言い過ぎる子どもと意見を言えない子ども
小学生低学年くらいになると、この子は自分の意見を言うのが得意かそうでないかわかってくると思います。
子どもが自分の意見を言い過ぎてしまうことも、逆に意見を言えないことも、どちらのケースも親としては心配になりますよね。
自分の意見を言い過ぎる自己主張が強いタイプの子どもは、親や周囲の大人がその子の気持ちを受け止めて、感情のコントロール方法を覚えてもらうなどの方向性が明らかです。
親としては、周囲とトラブルを起こしがちな自己主張の強い子どもに心を痛めてしまいそうですが、どう軌道修正すればいいか目的がはっきりしている分、親としての対応もしやすく、子どもも問題解決しやすいと『「自己肯定感」育成入門』の著者である平岩国泰さんは本著の中で話しています。
自分の意見を言えない子どもの特徴とは
自分の意見を言えない子どもには6つの特徴があります。
- 指示待ち人間
自分で何かをしたいという思いが弱くて、行動に移せず、基本的に誰かの指示がないと動くことができません。
- 受け身である
自己主張することが苦手で、自分がこうしたいと発言したり、行動に移したりできず、常に受け身の姿勢でいます。
- 感情表現が乏しい
自分の感情を抑圧して生きることに慣れているので、喜怒哀楽の感情を表現することができません。
- なんでもいいと言う
自分の感情を知ったり、それを表現したりすることが苦手な上、周りに評価されることを恐れるので、質問しても意思表示をしません。
- 人に合わせる
親や周りの大人、友達との関係の中で自分の意見を通すことはなく、周りの意見に流されて、他人に合わせます。
- 断ることができない
内心嫌だと思っていても、親や友達が不機嫌になるかもしれない、荒波を立てるかもしれないと恐れて、断ることができません。
自分の意見を言わない、まわりに合わせるというのはポジティブに考えれば、協調性があると捉えることができます。
ですが、成長していくにつれて自分の意見を求められることも増えていきます。
状況に応じて、まわりに合わせることも必要ですが、自分の意見も言えるようにトレーニングしておくことが大切です。
子どもが自分の意見を言えるようになるためにできることとは?
自分の意見を言えない子どもは、幼いうちは揉め事を起こすことなく当たり障りなく生きられるかもしれません。
親や周りから「いい子」と言われている子も中にはいるでしょう。
しかし、子ども本人のことを考えたとき、子どもが自分の意見を言えるようになることは、成長していく過程においても、将来大人になって社会に出るときのためにも、とても大事なことなのです。
では、子どもが自分の意見を言えるようになるためにはどのような方法があるでしょうか?
家庭でできる4つの方法についてご紹介します。
物分かりの悪い親になる
自分の意見を言うことが苦手な子どもの背景に、気が利き過ぎる親の存在があります。
子どもの言動や行動パターンから、子どもの意思を汲み取って親が先回りし過ぎていないでしょうか?
もし、子どもが自分の意見を言えないことで悩んでいるのであれば、普段自分がどのように子どもに接しているかを振り返ってみてください。
子どもの気持ちを察して動いていることが多い場合、あえて物分かりの悪い親になることをおすすめします。
物分かりが悪い親とは、子どもがやりたいことなどを先回りして行うことなく、子ども自身が言葉で気持ちを表現することを待てる親という意味です。
「自分の意思を主張できるようになってほしい」と願うのであれば、物分かりが悪いふりをして、子どもが自分の言葉で表現するまで待つことからはじめてみましょう。
会話で意見を聞く
普段から子どもとの会話の中で意見を聞くようにしてみましょう。
子どもの年齢にもよりますが、「今日の夕飯何が食べたい?」、「週末は何して遊びたい?」、などとさりげなく子どもが自分の言葉で語る機会を増やすのです。
最初は子どもがうまく言葉にできないこともあるかもしれませんが、親は気長に子どもが話すのを待ちましょう。
自分の話を聞いてもらえることや、意見を求めてくれていることで、子どもは親が自分を一人の人間として認めてくれていると自信が付き、次第に意見をスラスラと言えるようになるでしょう。
ステップアップ編として、子どもが自分の意見を言えるようになったら、その理由を聞くこともおすすめです。
子どもは説明をする体験を重ねることで、ロジカルシンキングの土台を学ぶことができます。
口出しをせずに見守る
親は子どもの意思を尊重して、口出しすることを控えてみましょう。
例えば、子どもが自由研究の宿題をしているときに、最初から親が手伝ったり、「こうしたらうまくできるよ」、「こうした方がいい」などの口出しをすることはよくありません。
子どもの意思や意見を引き出すためには、まずは見守り、何か聞いてきたときや親のサポートを求めてきたときに対応してあげるのがいいです。
その時もなるべく「どうしたらいいと思う?」、「何で悩んでいるの?」などの問いかけをすると意見を言うトレーニングになります。
親は子どもの主張を頭ごなしに否定したり、先に結論づけて否定したりすることなく、子どもの気持ちを受け止めて、そっと背中を押してあげる存在に徹してください。
口を出さないということは、放任とも無関心とも違います。
子どもにとって家庭が、安心して伸びやかに過ごせて自分の意思を伝えられる場所であるために、子どもをあたたかな目で見守るのです。
眼差しは常に子どもへ向けて、危険なことがある場合は子どもをすぐに守れるように気をつけましょう。
自分で考えさせて選ばせる
会話で意見を聞くと似ていますが、常日頃から自分で考えさせて選ばせることに気を配りましょう。
何回か繰り返すと習慣化し、子どもも慣れてきます。
子どもは最初「わからない」と言うかもしれませんが、洋服やお菓子、旅行で行きたい場所など、複数の選択肢を用意して子どもに選ぶくせを身に付けさせます。
選ぶことは自分の意思を伝えるとても有効なトレーニングになります。
いずれにせよ、すぐに結果を求めることなく、子どもの成長のスピードに合わせてのんびりと親が構えていることも大事です。
・気が利きすぎる親よりも物分かりの悪い親である方が自分の意見を言える子になる。
・自分の意見が言えない子どもは自分で考えて行動に移すことが苦手。
・子どもが自分の意見を言えるようにするには日常のさりげない会話が重要。
子どもがきちんと自分の意見を言えるようになるためには、物分かりの悪い親になるという言葉に、驚かれた方も多いのではないでしょうか。
親は子どもの最大の理解者で、子どもの幸せを願うあまり、子どものことを察してやってあげたくなると思います。
ですが、子どもが意見を言うための練習と割り切って見守ることが大切です。
自分の意見を言えないまま大人になって社会に出たとき、困ってしまうのは子ども自身です。
社会に出たら、自分の意見を問われることや、積極的に動くことは当然のことのように求められます。
また大人になるまでの過程でも、感情にブレーキをかけてしまうことで心にストレスをためてしまうこともあります。
子どもが適切な感情表現をするためにおおらかな心で子どもと接してみてください。
(参考文献)
・自己肯定感 育成入門(著者:平岩 国泰)
・こどもまなび☆ラボ|自主性がない子どもは将来どうなる? 自主性を高める方法とは