子どもの「嘘」に気づいたら…親はどうすべきか
更新日: 2022.12.12
投稿日: 2022.12.16
わが子が嘘をついていることに気づいたら、親としてはショックですね。
しかも自分を守ったり、逃げたり、卑怯な嘘ならなおさら「どうにかしなくては」と思います。
しかし子どもの「嘘」は、願望であったり、叱られたくないからだったり、親を心配させたくないという気持ちが背景にあることが多いもの。
今回は子どもの嘘について、一緒に考えていきましょう。
もくじ
子どもの「嘘」にも理由がある
大人と同様、子どもも「嘘」をつきます。
それは自己防衛や逃げであったり、時には親の嘘を真似て嘘をつくこともあります。
大人からすると悩ましい子どもの嘘ですが、子どもには子どもの理由があり、必要があるから嘘をついていることが多いようです。
では子どもの嘘にはどんな種類があるのか、見てみましょう。
◯ 注目されたい・褒められたい嘘
◯ 叱られたくない嘘
◯ 邪魔されたくない嘘
◯ 願望の嘘
◯ 心配させたくない嘘
注目されたい・褒められたい嘘
「今日、学校で一番になったよ」「ウチのお父さん、社長なんだ」といった人からの注目を集めたい時、親に褒められたい時につく嘘。
あまり深く考えず、つい口をついて出てしまうことが多い嘘です。
これが習慣になると、周囲からの信頼を失ってしまうこともあります。
叱られたくない嘘
「もう歯磨きは終わった」「コップを割ったのは私じゃないよ」といった、失敗を隠したり、叱られるのを避けるためにつく嘘。
嘘をついておかないと叱られる、小言を言われるからという自分を守るための嘘です。
「正直に言っても叱られない」という安心感があると、この嘘は減っていきます。
邪魔されたくない嘘
遊びに行くのを止められて「行かないと仲間外れになっちゃうから」「もう宿題終わったから」。
ゲームの終了時間を「(もう終わっているのに)あと10分残ってる」という嘘。
自分がやりたいこと、優先したいことを邪魔されないためにつく嘘です。
自分の希望を優先した結果、痛い目に遭ったり、嘘が周囲にバレたり、自分ツケに返ってくるようになると、このような嘘は少なくなるでしょう。
願望の嘘
「今度家族と旅行に行くんだ」「この絵本、私の家にもあるよ」といった、「こうだったらいいな」という強い気持ちからつく嘘。
幼稚園くらいまでは願望と事実が混ざってしまい、嘘をついてしまうことがあります。
子どもの成長と共に願望と現実の区別がつくようになるので、心配ありません。
心配させたくない嘘
友だちとの関係がうまく行っていなくても「仲良くしてるよ」。
「学校の勉強はよくわかる」など、心配をかけたくない時につく嘘
これは子どもの優しい気持ちや、プライドを守りたい気持ちがベースにある嘘です。
ただし問題が大きくならないうちに解決した方がいいこともあるので、子どもの様子を注意深く観察しましょう。
嘘に気づいたら…親がつい取ってしまう行動に注意!
子どもが辻褄の合う嘘をつけるようになるのは、9〜10歳頃、小学校の中学年以降頃といわれます。
親は子どもの嘘に気づくと、「嘘つきな人に育ったら困る」「今のうちにしっかり教えなければ」という責任感から、
・「嘘をつくなんてダメな子ね」「ウチの子じゃない」などと子どもを否定する
・「謝りなさい」と謝罪させる
など、強い態度を取ってしまいがちです。
しかし子どもには子どもの嘘をつく理由があり、必要を感じて嘘を言っていることも多いのです。
そして、「嘘をつくと周囲の信頼をなくす」「嘘をつくことが平気になると、これからも嘘をつくようになる」といった正論で諭そうとしても、あまり子どもの心には響かないことが多々あります。
では、子どもの嘘に気づいたら、親はどうしたらいいのでしょうか。
嘘に気づいた時こそ冷静に、「親の気持ち」を伝える
カナダの大学が、3〜7歳の子どもを対象に「何をしたら子どもの嘘が減るか」という実験をしました。
嘘ばかりついた男の子が誰にも信用されなくなった『オオカミ少年』、
嘘をつくと鼻が伸びる『ピノキオ』、
そしてお父さんの桜を切ってしまったことを正直に話して褒められた『ジョージ少年と桜の木』
など教訓がテーマになった物語をいくつか聞かせたところ、『ジョージ少年と桜の木』を読んだグループの子どもが一番多く「嘘」をついていたことを告白したそうです。
つまり「嘘をつくと誰にも信用されなくなる」という正論や、「自分に返ってくるよ」という脅しよりも、「あなたが正直になってくれたことが嬉しい」という親の気持ちが子どもの心を動かしたことがわかります。
また「嘘はよくない」という漠然としたアドバイスよりも、「何が正しい行動か」というわかりやすい方向性を具体的に示してあげることも大切です。
すぐバレてしまう嘘は、子どもの「メッセージ」であることが多いと言われます。
子どもの嘘に気づいた時は、静かにその理由や子どもの気持ちを聞いてみましょう。
そして「話してくれてありがとう」「正直に言ってくれて嬉しい」と伝えることで、「嘘をつかなくても大丈夫だ」「正直になることはいいことだ」ということが子ども心に理解できます。
すぐに子どもの嘘がなくなる訳ではないかもしれませんが、じわりじわりと親の気持ちが浸透していくことが大切なのかもしれません。
・子どもは、叱られたくない時や注目を集めたい時、心配させたくない時にも嘘をつくことがある。
・嘘に気づいても、叱ったり子どもを否定しないほうがいい。
・子どもが嘘をついた時は、親の気持ちを正直に伝えよう。
今回のコラムを読んで自分自身の子どもの頃を思いませんでしたか?私は正直、子どもの頃ここに書いてある嘘をついてしまっていたな~と思い出しました。親になった今では子どもがなんでこんな嘘をつくんだろう?嘘をついても良いことないのにな・・・と思いますが、自分の子どもの頃を置き換えた時に確かに、ついた嘘には自分なりの理由があったなということを思い出しました。またそれと同時についた嘘やその理由を思い出すということは自分にとっても後悔の念があったのかなと考えさせられました。このコラムを読んで親として子どもが嘘をついた時にどの様な受け止め方、導き方ができるかが今後の子どもの成長に繋がるのかなと感じました。子どもの嘘には理由があることを感じながら、子どもの話を聞いて、また正しい行動が何かということを子どもに伝えてみてはいかがでしょうか?
(参考文献)
コクリコ | 子どものウソは親のウソや叱り方が原因? ウソを減らす3つの方法を公認心理士が伝授
All About | ウソを減らしたい! 子どもが真実を言いたくなる親ワザ
Victoria Talwar | Journal of Experimental Child Psychology (2015). 「The effects of punishment and appeals for honesty on children’s truth-telling behavior」