ふざけてばかりの子は、やる気がない? 実はそこにある“もう一つの気持ち”
更新日: 2026.05.27
投稿日: 2026.06.02
「またふざけているの?ちゃんとやりなさい!」
そう言ったあと、少しだけモヤッとしたことはありませんか。
大事な場面でふざける、話を聞かない、真剣に取り組まない――そんなわが子の姿に、戸惑いや苛立ちを感じるのは自然なことです。
しかし、その行動の背景には、失敗への不安、自信のなさ、注目されたい気持ちといった、言葉にならない内面が隠れていることがあります。
この記事では、日常の具体的な場面で子どもが「ふざける」という行動の意味を読み解き、叱る・正すといった関わりから一歩進んだ非認知能力の育み方を考えます。
「ちゃんとやりなさい!」の前に、少しだけ立ち止まってみる

・失敗したあとに笑ってごまかす。
・注意しているのにヘラヘラする。
そんなわが子の姿を見ると、つい「真面目に取り組まないのはよくない」と感じ、「ちゃんとやりなさい!」とすぐに正そうとしてしまいますよね。
もちろん、その場で行動を止める必要があることもありますが、その前にほんの一瞬、「なぜ今ふざけているのだろう」と立ち止まってみることが大切です。
例えば、発表前におどける子の背景には、「失敗したらどうしよう」という不安があるかもしれません。
テストのあとに明るくふるまう子の裏には、「できなかった自分を受け止めるつらさ」が隠れていることもあります。また、叱られているときに笑ってしまうのは、緊張や気まずさに耐えきれず、思わずそうした反応が出ている場合もあります。
つまり、「ふざける」という行動は、単なる怠けではなく、子どもなりの心の動きが外に現れた一つの形といえます。そう捉えてみると、「親を困らせようとしている」のではなく、「自分の気持ちを守ろうとしているのかもしれない」と見えてくるのではないでしょうか。
この小さな視点の変化が、子どもの本音に近づくための大切な一歩になります。
ふざける子どもに共通する“4つの気持ち”

子どもがふざける行動の背景には、以下4つの共通した気持ちが隠れていることが多いもの。
失敗への不安 ―「傷つかないためのふざけ」
一見、楽しそうにふざけているように見えても、その奥に強い不安を抱えている子は少なくありません。
「間違えたらどうしよう」「笑われたらどうしよう」――そんな気持ちがあると、最初から本気で取り組むこと自体が怖くなります。
その結果、「どうせ本気じゃないし」と思える状態を自分でつくるために、ふざけるという行動を選ぶことがあります。いわば、傷つかないための“予防線”です。
特に、まじめで周囲の目を気にしやすい子ほど、この傾向は強くなります。
自信のなさ ―「本気を出さないことで自分を守る」
「どうせ自分なんて」「やっても無理かもしれない」
そんな思いを抱えている子にとって、“本気を出すこと”はとても勇気のいることです。
なぜなら、本気でやってうまくいかなかったとき、「やっぱりできない自分」をはっきり突きつけられてしまうからです。
それならいっそ、最初からふざけておいたほうがいい――無意識のうちに、そうした選択をしていることがあります。
注目されたい気持ち ―「つながりを求めるサイン」
子どもは、大人や周囲から「見てもらえている」と感じることで安心します。
そのため、関心を向けてほしいときに、あえてふざける行動を取ることがあります。
本当は「話を聞いてほしい」「かまってほしい」という気持ちがあるのに、それをうまく言葉にできず、結果としてふざける形で表れているのです。
時には、叱られることでさえ「見てもらえた」と感じる材料になることもあります。
自己評価を守るための防御 ―「本気を出さない」という選択
子どもは、自分なりに「傷つかない方法」を考えています。
その一つが、「あえて本気を出さない」という行動です。
例えば、テスト前にふざけて勉強に集中しなかったり、試合や発表の場面でわざと力を抜いたりする姿。
一見するとやる気がないように見えますが、その裏には「本気でやって失敗したらどうしよう」という思いがあります。
本気で取り組んでうまくいかなかったとき、子どもは「自分はできない」という評価を強く受け止めてしまいます。
だからこそ、「本気じゃなかったから」という逃げ道をあらかじめ用意しておくのです。
これは怠けではなく、自分の心を守るための“防御”とも言えます。
注意しても変わらない理由は、ここにある

ここまで見てきたように、子どもの「ふざける」という行動の背景には、不安や自信のなさ、注目されたい気持ちなど、さまざまな心の動きが隠れていることがわかります。
そう考えると、次に浮かんでくるのが、多くの保護者が感じているこの疑問です。
「何度注意しても、どうして同じことを繰り返すのだろう?」
けれどそれは、子どもが言うことを聞かないからではなく、「行動の奥にある気持ち」が変わっていないからかもしれません。
例えば、不安が原因でふざけている子に対して、「ちゃんとしなさい」と繰り返し伝えても、その不安そのものは解消されません。
それどころか、「ちゃんとできない自分はダメなんだ」と感じてしまい、結果として、さらにふざける行動が強まってしまうこともあります。
つまり、表に見えている行動だけを正そうとしても、その行動を生み出している“内側の理由”にアプローチできていなければ、同じことが繰り返されやすいのです。
一時的にその場は収まったように見えても、根本的な解決にはつながりにくい――もどかしさの背景には、このズレがあります。
行動を変えるカギは「叱る」より「任せる」

では、子どもとどのように関わればよいのでしょうか。
ふざける行動を変えようとするときに大切なのは、「行動をコントロールすること」ではなく、「その行動が必要なくなる状態をつくること」です。
そしてその土台になるのが、「叱って動かす関わり」から、「任せて引き出す関わり」へのシフトです。
子どもを変えるのではなく、子どもが自分で動き出せる余地をつくる――そんな関わり方には、いくつかの視点があります。
「やらせる」より、「逃げ道ごと任せる」
ふざける子の多くは、「できなかったときに傷つくこと」を怖れています。
だからこそ、大人がすべてをコントロールするのではなく、「どのくらいの力でやるか」も含めて子どもに任せてみます。
「まずは半分くらいの力でやってみようか」
完璧を求めるのではなく、力の入れ方をゆだねることで、「やってみてもいいかもしれない」という気持ちが生まれます。
任せることで、安心して一歩を踏み出せるのです。
「正しさ」より、「選び方を任せる」
「ちゃんとやりなさい」という正しさを伝えるだけでは、子どもは受け身になりがちです。
そこで、「どうするか」を子どもに任せてみます。
「このやり方と、こっちのやり方、どちらがやりやすそう?」
選択を委ねることで、行動は“自分ごと”に変わります。
小さくても「自分で決めた」という感覚が、主体性の芽を育てていきます。
「できた・できない」より、小さな変化を言葉にする
評価するのではなく、「自分の変化に気づく経験」を子どもに返していくことも、任せる関わりの一つです。
さっきまではふざけていたけれど、一瞬だけ話を聞けた。
全部は無理でも、一部分だけ取り組めた。
そのときに、
「さっき、少し集中してたね」
と事実を伝える。
評価を押しつけるのではなく、気づきを手渡すことで、子どもは自分の中にある変化を感じ取れるようになります。
叱った後こそ、関係をつなぎ直す
叱ることが必要な場面もあります。
ただし、叱ったあとに関係をどうつなぎ直すかも、大切にしたい“任せる”視点です。
「また一緒にやろうね」
このような言葉が安心感につながり、次の一歩に進むことができます。
叱ることで一時的に動かすことはできても、任せることでしか育たない力があります。
「どう動かすか」ではなく、「どう任せるか」。
その違いが、子どもの“外からの行動”ではなく、“内側からの変化”を生み出します。
この視点の転換が、子どもの内側からの変化をゆっくりと引き出していきます。
「ふざけ」の奥にある気持ちに目を向けて

ふざけてばかりいる子どもを見ると、つい「やる気がない」と感じてしまいます。
でも、その奥には、不安や自信のなさ、そして「わかってほしい」という気持ちが隠れていることが少なくありません。
大切なのは、行動だけを正すことではなく、その背景にある心に目を向けること。
少し立ち止まり、少し任せ、少し見方を変える。
その積み重ねが、子どもの非認知能力をゆっくりと育てていきます。
そして気がつくと、あれほど気になっていた「ふざける姿」が、少しずつ変わっているかもしれません。
・ふざける子どもの心の中を読み取ろうとすることが第一歩。
・「子どもをどう動かすか」ではなく、「どう任せるか」が大切。
・親が少し立ち止まる「余白」を作ろう。
「子どもの弱点が親の思い込みかもしれない理由 人に迷惑をかけず時代や社会に順応できるならOK」(出典:東洋経済オンライン)
「子どもが勉強しない・やる気が出ない理由と親の関わり方|教育心理と脳科学で解説」(出典:シルテラ)
「子どもはなぜ“ふざける”のか。ちゃんとしない理由を理解し、長期で育てるために」(出典: スポーツクラブA-cos)
「子どもを叱ってもヘラヘラ…ふざけるのはなぜ?親ができる対応法は」(出典:あんふぁん)











専門家コメント
フリーライター・エディターとして、育児、教育、暮らし、PTAの分野で取材、執筆活動を行っています。息子が所属していたスポーツ少年団(サッカー)では保護者代表をつとめ、子ども時代に親子でスポーツに関わることの大切さを実感しました。PTA活動にも数多く携わり、その経験をもとに『PTA広報誌づくりがウソのように楽しくラクになる本 』(厚有出版)などの著作もあります。「All About」子育て・PTA情報ガイド。2 児の母。