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非認知能力

知ってる? 子どもの脳に悪影響を及ぼす「マルトリートメント」

2022.12.02

「マルトリートメント」とは、大人の都合で子どもに理不尽な留守番をさせたり、子どもの目の前で激しい夫婦げんかをしたりなど、虐待とは言い切れないものの子どもの脳に悪影響を及ぼす「不適切な養育」を表します。
そもそも、「マルトリートメント」とは何でしょうか。
親のどんな言動が、マルトリートメントにつながるのでしょうか。
マルトリートメントの非認知能力への影響と、その予防法について考えます。

無意識のうちにやっていない? マルトリートメント


「マルトリートメント」という言葉、聞いたことはありますか?

「マルトリートメント」とは、
「不適切な養育」「避けるべき子育て」

を表します。

1980年代からアメリカなどで広まった表現で、子どものすこやかな成長を妨げるといわれています。

・ 罰として長時間正座をさせる。
・ 約束を破ったからと叩く。

などの体罰のみならず、

・ 「あなたのためなんだから!」と、親の意見を一方的に押し付ける。
・ 「もう、本当にあなたはダメな子なんだから!」と否定する。
・ 子どもの前で夫婦げんかをする。
・ 大人の都合で子どもを長時間一人で留守番させる。
・ 子どもに食事や教育を与えない。
・ 嫌がる子どもとお風呂に入る。

など、親の言動によって子どもを心理的においつめたり、子どもに必要なケアを怠ったりすることも、マルトリートメントに含まれると考えられています。

マルリートメントによって、

・ 気分や感情のコントロールを行う脳の「前頭前野」が縮む。
・ 見える情報を取り入れる働きのある脳の「視覚野」が縮む。
・ 右脳と左脳をつないで情報の交換を行う脳の「脳梁」が縮む。
・ 会話やコミュニケーションを司る脳の「聴覚野」が変形する。

など、子どもの脳は簡単に傷つき、将来の心身の行動や健康、非認知能力の育成に影響することがあるといわれています。

近年は、子どもの受験などに熱心になるあまり、塾に行くことを強制したり、テストの順位が下がるとゲームを取り上げたり、ご飯を食べさせなかったりなど「教育マルトリートメント」も問題となっています。

親が、「子どものため」「しつけのつもりで」と関わっていた言動や、日常生活の中でついつい怒りに任せてやってしまいがちなことが、マルトリートメントに結びついていることも少なくありません。

これを機に、日頃の子どもへの接し方について、振り返ってみましょう。

子どもの権利について知り、親自身も自分の人生を楽しむ


「子どもの権利条約」、知っていますか?

1989年の第44回国連総会において採択され、1990年に発効し、日本は1994年に批准しました。
以下、代表的な子どもの権利を紹介します。

生きる権利

住む場所や食べ物があり、 医療を受けられるなど、命が守られること

育つ権利

勉強したり遊んだりして、もって生まれた能力を十分に伸ばしながら成長できること

守られる権利

紛争に巻きこまれず、難民になったら保護され、暴力や搾取、有害な労働などから守られること

参加する権利

自由に意見を表したり、団体を作ったりできること

当たり前ですが、子どもは親の所有物ではなく、立派なひとりの人間です。
子どもたちの権利を知り、わが子をひとりの人間として尊重することに加え、お父さんお母さん自身がどのよう生きているかを振り返ると良いでしょう。

マルトリートメントを防ぐための親の心得5つ


マルトリートメントを防ぐために、親が心がけたいポイントを5つ紹介します。

・子どもからの問いかけに応える。
・子どもと遊ぶときは「遊び」に集中する。
・周りと比べず子どもの存在を丸ごと受け止める。
・自分を整えるよう意識する。
・「つらい」と思ったら、一人で抱えず相談する。

子どもからの問いかけに応える

「ねえねえ、これ見て!」など、子どもは自分が好きなものを親にも見てほしいと感じます。
これらになるべく応えましょう。家事などで忙しい場合は、「今、忙しいから、ちょっと待ってね」「夕飯の支度が終わったらお話を聞かせて」といったように、話を聞けない理由を説明しましょう。

子どもと遊ぶときは「遊び」に集中する

親子で公園に来ているのに、スマホを見てばかりで子どもと遊ばない・・・。
仕事の用事なら仕方がない場合もあるかもしれませんが、せっかく子どもと公園に来たのですから、子どもとの遊びに集中しましょう。

周りと比べず子どもの存在を丸ごと受け止める

「⚪⚪ちゃんはできるのに、なんであなたはできないの?」「お兄ちゃんのほうが上手にできたわよ」など、周りの友達やきょうだいと比べる言葉がけは、子どもの自己肯定感を低下させてしまいます。
子どもの存在を丸ごと受け止めるよう心がけましょう。

自分を整えるよう意識する

忙しい日々のなか、ささいなことでイライラしたことをつい子どもにぶつけてしまっていませんか?
少しの時間でいいので、体を動かしたり、ゆっくり呼吸したり、好きな音楽を聴いたりなどイライラやモヤモヤから早めに脱却し、自分を整えることが、マルトリートメントの予防につながります。

「つらい」と思ったら、一人で抱えず相談する

生まれたときは可愛かった子どもも、自我が芽生えて扱いにくくなったり、自分が子どもの頃に親から受けた言葉を思い出して子育てが辛くなってしまったりする方もいると思います。

家族やママ友など、頼れる人が身近にいない方、子育てで悩みがある方は、子育てサロンや支援センターなどの専門機関に相談、または支援サービスを利用しましょう。

子どもたちは、いきいきと楽しそうに歳を取っていく大人の姿を見たら、希望が湧いてくることでしょう。
まずは保護者である自分が生き生きすることが、マルトリートメントの予防につながります。

まとめ

・マルトリートメントを知り、親としての日頃の言動を振り返ろう。
・「つらい」と思ったら周りに助けを求めことが大切。
・親自身が、自分の人生を豊かにするために一生懸命生きている背中を見せる。

編集部より

皆さんはマルトリートメントという言葉ご存知でしたか?私は知りませんでした。コラムを読んで、確かに世の中のニュースで出る虐待レベルではないにしろ、虐待と言われてもおかしくない親の子どもに対する対応がマルトリートメントでした。恐いと感じたのが、良かれと思ってやっていたことがマルトリートメントになっているなと事例を見て感じたものが本当の所です。改めてこのコラムを読んで、子どもへの対応をしっかりと客観的に見なくてはいけないと、また子どもの様子をしっかりとらえなくてはいけないと感じました。子どもにとっても、親にとってもいい家族関係、環境を作っていきましょう。

参考文献
「やりすぎ教育」(武田信子:著 ポプラ社)
「マルトリートメントが子どもの脳の発達に与える影響について」(出典:母子健康協会)
「子どもの権利条約」(出典:ユニセフ)
「マルトリ予防資料箱」(出典: 防ごう!まるとり マルトリートメント)

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